山田風太郎の小説『甲賀忍法帖』を原作とする忍術バトルアクション漫画。甲賀卍谷衆と伊賀鍔隠れ衆は宿敵の仲。両衆を統率する服部のもとで刃を納めていたが、服部が仕える徳川家からの命で、両衆から十人を選抜しての闘いが始まる。だが、その名簿に記された甲賀の男・弦之介と伊賀の娘・朧は相思相愛の仲であった。2005年テレビアニメ化。第28回講談社漫画賞一般部門受賞。
表題となっている「バジリスク」は、蛇の王と呼ばれる想像上の生き物だ。ヨーロッパ各地に様々な伝承が伝わり、旧約聖書にも登場している。強い毒を持ち、視線だけで石化や死をもたらすと言われている。本作の主人公・弦之介は、彼に殺意を持つ者を視線だけで自滅させる「瞳術」の使い手。さらにヒロインの朧は優しく闘いに向かない性格だが、見つめるだけで相手の忍法を破る「破幻の瞳」を生まれつき持っている。主人公もヒロインも「バジリスク」のように視線に強い力を持つ存在なのだ。後継者問題に悩む徳川家は、伊賀と甲賀から十人の精鋭を選んで闘わせ、その結果で跡継ぎを決める事とした。その十人の中に、弦之介と朧も本人たちの知らぬところで選ばれていた。かくして相思相愛の二人は、命をかけて闘うことになる。忍術バトルと人間ドラマが絡み合う、見どころ満載の作品だ。
21世紀となった東京を舞台にした、オカルト・ミステリー漫画。1999年、世紀末と呼ばれていた時期に国連の平和維持活動に従事していた特殊部隊の5人が、トルコの辺境ギョレメ渓谷にて消息不明になる。その後、21世紀となった世界は紛争にあふれ、移民や難民たちが東京へ押し寄せた。そのような中、消息不明だった特殊部隊のメンバーの一人、三溝耕平が東京に戻ってきた。
表題となっている「リヴァイアサン」は、旧約聖書のヨブ記などに登場する海の怪物。名前は「渦を巻いた」という意味のヘブライ語が語源である。またリヴァイアサンは世界の終末を想定して生み出された怪物である。新世紀を迎えた世界では、あらゆる地域で戦争や紛争が勃発していた。比較的平穏だった東京には、全世界から移民や難民が押し寄せてきていた。その中には人間離れした異形の者たちもいて、猟奇殺人なども多発し、東京は混沌とした街となっていた。国連の平和維持活動に従事していた特殊部隊のメンバーだった三溝耕平は、つぎはぎだらけの体となって帰還してきた。三溝は、心霊専門の医師として働きながら、持ち込まれる難事件を解決していく。物語の中盤から、この東京の謎が明かされていく。そして「光に近いモノ」と「闇に近いモノ」が東京の支配権を巡って争うことに。三溝たちはそんな陰謀に巻き込まれ、東京を護るために戦っていく。
人間世界と共存するケンタウロスの生活を描いたショートコミック集。メインとなるのは馬具メーカーの営業で働く、ケンタウロスの健太郎の物語だ。ケンタウロスが暮らす田舎から都会へ就職した健太郎。体が大きいために人間用のエレベーターに乗れなくて苦労したり、新入社員ならではのミスで先輩に注意されることも多かったりするが、一人前の営業マン目指して日々奮闘中だ。
表題となっている「ケンタウロス」は、ギリシャ神話に登場する、人間の腰から下が馬になっている半人半獣の生き物。性質は出自によって様々で、好色で乱暴者もいれば、賢者と呼ばれる者も存在する。本作に登場するケンタウロスたちはもっと身近で、人間臭い性格をしている。馬ではないので「馬刺し」を食べ、寝る時は藁ではなく布団を使う。ケンタウロスは人間より遥かに長い寿命を持っているため、忘れられない人の名前を自分のミドルネームとして残していく。本作はコメディタッチな話が大半だが、上半身だけ「人間」として使われることに悩むモデルのケンタウロスや、人間たちに混じって働くことに疑問を持つケンタウロスの話など、感動系のエピソードも楽しめる一冊だ。
少年兵と女武器商人の旅を描いたガンアクション&人間ドラマ漫画。兵器によって両親を喪った少年兵・ヨナ。彼は銃を憎みながらもその力を理解し、銃に頼って生きていた。ヨナは「世界平和」を目指す若き女武器商人のココに拾われ、彼女の部下のひとりとなる。やがてヨナはココの「ヨルムンガンド計画」を知る。2012年テレビアニメ化。
表題となっている「ヨルムンガンド」は北欧神話に登場する巨大な蛇で、「ミドガルズオルム」とも呼ばれる。人間の世界を一周するほどの大蛇だ。本作の扉では「世界蛇」という別名や、「すべての陸と海を手に入れても空まではその力が及ばなかった」ことを示唆する言葉が書かれている。本作の主人公・ヨナは武器を憎みながらもその力を理解し、使いこなす凄腕の少年兵。もうひとりの主人公であるココは、武器商人でありながら世界平和を考えている鬼才。ココは世界中で武器を売りさばきながら、彼女の理想を叶えるべく「ヨルムンガンド計画」を秘密裏に進行していた。ココはヨナが計画の障害となることを理解しながらも自分の陣営に招き入れ、「ヨルムンガンド計画」の内容を明かすのだった。
人間世界で太ってしまったエルフと整体師の、ダイエット&健康コメディ漫画。整体医院「スマイリーボア」で働く青年・直江友厚。ある日、店にサングラスにニット帽の謎めいた客・絵留札(えるふだ)が「ダイエット整体コース」の施術にやってくる。絵留札は太ってしまったために異世界ゲートをくぐれなくなったエルフの女性だった。
表題となっている「エルフ」は、ヨーロッパの伝承に登場する神の種族。長命で美しい外見をしており、魔法の力を持っている。本作のヒロインである絵留札も美しい女エルフなのだが、お腹周りの肉付きがかなりぽっちゃりだ。原因はフライドポテト。元々エルフは菜食生活なのだが、調理法や野菜の種類が限られていた。そのため人間世界のフライドポテトのおいしさにハマってしまったのだ。人間世界でフライドポテトを食べまくった絵留札は、元の世界に戻るためにダイエットを決心。直江の指導の元、見事に元の体重へ戻って故郷に帰還したのだが、再び人間界へやってきてフライドポテト生活に。笑いあり、ためになる知識あり、ぽっちゃりヒロインたちの魅力たっぷりな一冊だ。