ニート女子が優しい家族と共に自宅で過ごす日々を描いた日常系ホームコメディ漫画。ニー子こと新戸眠子(にいとねむこ)は就活に失敗して以来自宅で引きこもり生活を送っている23歳のニート女子。ファミレスでバイトをしている高校生の妹・いも子こと、ひかりに劣等感を抱きながらも、ニート生活から抜け出せずにいる。厳しくも何かと世話を焼く優しい母と、優しすぎる父の深い愛情に包まれながら過ごすニー子のほのぼのとした日常を描いた物語。
本作の主人公のニー子は、働かなくてはいけないことは解っていながらも無職の引きこもり生活から抜け出せずにいる。それは、過去に受けた面接の際に生じた心の傷が未だに癒えておらず、就活にとスーツを身につけると腹痛に襲われるからだ。ニー子は楽な方に流されてしまうダメダメな性格ではあるものの、可愛い面もたくさんあり、妹のいも子や元クラスメイトのまりもからは溺愛されている。また、両親からも心配されており、作中、母親がニー子へ厳しく接するのは愛情の裏返しなのだ。時折近所に回す回覧板用のチラシなど簡単な仕事をニー子に任せて、やればできるという自信をつけさせようとしているのが窺える。可愛いニー子と、彼女を温かく見守るアットホームな家族愛を感じることができる作品だ。
30代半ばの独身女性が失職後、自分で期間を決めて無職生活を送るヒューマンドラマ。主人公の34歳の無職さんが勤務していた会社が倒産。だが、すぐに次の働き口を探すことはせず、1年間は何もしないと決めて、無職生活が始まった。スーパーの特売に目を光らせ、家電も多少の不具合は自分で直しながら節約を心掛けている。無職でもだらけずに大人の女性として家事はきっちりこなしながらもどこか抜けていておっちょこちょいな無職さんの生活を描いた物語。
誰からも注意されない一人暮らしの無職生活は自堕落な生活に陥る可能性があり、下手をすればとことん堕ちていってしまう。しかし、本作の主人公の無職さんは、朝は目覚まし時計をセットして起きて、掃除、洗濯、炊事なども毎日しっかりとやっている。無職さんは独り身だが、実はバツイチで娘もおり、元夫と住んでいる娘との距離感がつかめず、悩んでもいた。無職さんが1年間何もしない生活を送ると決めたのは、様々なしがらみから解放されたかったから。無職の今だからこそ見えてくるものもあり、無職生活の中で様々な想いに駆られた無職さんがどのような生き方を選択していくのか。穏やかな生活の中に現実の厳しさや世知辛さが垣間見え、リアリティを感じる仕上がりになっている。
春から無職になった青年と謎めいた家出少女の触れ合いを描いたSFラブコメディ。春野漱介(はるのそうすけ)はデザイン事務所に勤めていたが、色々思うことがあり、退職して無職になった25歳の青年。しばらくはのんびりゆっくり暮らそうと思った無職のはじまりの日に彼が出会ったのは、尻尾付きの不思議な家出少女だった。春野は派手な印象の彼女のことを「ゴクサイちゃん」と名付けるが、なぜか彼女から求婚され、不思議な交流が始まった。
主人公の春野は、ある日出会った派手な髪色と顔立ちの不思議な美少女に対して極彩色のイメージを持ち、「ゴクサイちゃん」とあだ名をつけた。何の職にも就いていないということは、裏を返せばこれから何者にでもなれる無限の可能性を持っている「無色」の状態ともいえる。そういう意味で春野はゴクサイちゃんから「ムショクさん」と呼ばれるようになった。ゴクサイちゃんと出会ってから春野は夢を見る機会が増え、デザイン職を目指すきっかけとなった教師・立川英子のことも夢の中で触れられていく。初対面のはずなのに春野を特別視するゴクサイちゃんは一体何者なのか。リアルとファンタジーが交錯し、読み進めるうちに現実と夢の狭間にいるような不思議な感覚になっていく。
労働に支配された時代に立ち向かうニートたちのあがきを描いたSFロボットアクション漫画。不働遊(ふどうゆう)は高校を中退し、現在は無職の17歳。働かない無職の者は「無職罪」という罪に問われる時代であり、遊は強制就職(デスマーチ)軍によって連行されてしまう。だが、車内には無職同盟(リガ・ジョブレス)に属する少女のネル・ネラレルも乗車していたことが遊の運命を変えた。遊は無職同盟の一員となり、ワークマンと呼ばれる人型兵器のパイロットとして活躍するのだった。
本作の舞台となるのは労働暦という年号が使われ、働く意志のない者は強制就職軍によって強制的に就職させられてしまう世界だ。主人公の遊は無職同盟に招かれ、特別な力を持つ「N.E.E.T」として活躍することになる。遊は無職でいるために命をかけて戦っているが、普通なら大人しく働く方がマシだと考えるのが自然だろう。しかし、たとえボロボロになっても絶対に働きたくないという強い意志が遊の生きる原動力となっている。一方、強制就職軍を率いるのはイケメン社畜のワーカー・ホリック少佐。睡眠よりも職務優先で、寝なくても平気というタフな体力の持ち主だ。無職同盟はやがて、ネルと深い関わりのあるオフトゥーン・デ・ネラレル共和国を目指すようになる。
二人揃って無職の兄妹が自宅でまったりとした生活を送るハートフル日常系コメディ。石井守・春子の兄妹は、働かずに家で過ごしているニート兄妹。お金はないが、ヒマと時間と親からの愛情は十分あり、ゲームをしたりテレビを見たりして毎日を好きなように過ごしている。妹の春子は対人恐怖症で外出は極力避けているが、兄の守は普通に友人もおり、社交的。そんな兄のことを春子は憧れの目で見つめ、エリート的ニートという意味と敬意をこめて、「エニート」と呼ぶのだった。
本作ではニート兄妹の守と春子を中心に、両親やお隣さんのOLの倉木、守の友人の丸山や遠藤など、彼らの周囲の人物も含めて和やかに展開していく。母親は春子が身なりを全く気にしていないことを心配し、美容院に連れていき、高い服も買い与えている。しかし、極力外出を避けている春子にとってオシャレにお金をかけることは無駄なことに思えてしまう。一方、兄の守は社交的で、積極的に友人を家に呼び、街をぶらぶらするなどコミュニケーションをとっている。二人ともニートだがタイプは正反対。しかし、兄妹仲は良好でほのぼのとした空気が二人の間に流れている。読めば読むほどこの独特な空気感を持っているニート兄妹に癒やされ、陰から見守りたくなる気持ちにさせられる。