主人公の男子高校生が、貧乏に負けず青春を謳歌する学園コメディ。主人公・山田太郎は私立一ノ宮高校に特待生として通う1年生だ。成績優秀・眉目秀麗・スポーツ万能と三拍子揃っており、女子にもモテモテである。この日も太郎は複数の女生徒から手作り弁当をもらい、嬉々として帰宅する。そんな彼を待ち構えていたのは、あばら屋に暮らす6人の弟妹であった。何を隠そう、太郎の唯一の欠点は「貧乏」だったのである。2007年にテレビドラマ化。
弟たちが太郎がもらってきた弁当に歓喜する中、元お嬢様である母・山田綾子は謎の絵画を携えて帰宅する。その絵画は、太郎がタンスに隠していた弟たちの給食費を使い購入したものだった。行方不明の父の描く絵に似ていたからと涙を流す彼女に太郎は怒ることが出来ず、バイトを増やそうと決意する。そんな彼の窮状を知る者は幼なじみで親友の御村託也(みむらたくや)ぐらいだ。太郎は、御村や太郎に想いを寄せる同級生・池上隆子らの支えもあり、持ち前の明るさで学園生活を謳歌する。スペックは抜群なのに昭和感たっぷりの「山田太郎」という名前とのギャップが面白い。さまざまな登場人物に振り回される太郎のドタバタな日常もクスリと笑える要素たっぷりだ。
問題児が揃う女子校に赴任してきたさえない男性教師が、独自の方法で彼女たちを教育していく学園ストーリー。季園(すえぞの)女子高校の1年A組は「地獄」と呼ばれ、教師たちに恐れられていた。そこには問題児(モンスター)たちが跋扈し、担任の教師は嫌がらせを受け次々と辞めていったからだ。ある日、そんなA組の新しい担任として自見(じみ)太郎が赴任してくる。存在感ゼロで見た目も暗そうな太郎に、さっそく魔の手が襲い掛かるのであった。
赴任早々、太郎は、クラスのボス的存在である花中桃(はななかもも)に「先生は童貞ですか?」と問われ辱めを受ける。しかし「自分は生涯童貞・生涯教師である」と告げ、歯牙にもかけない。プライドを砕かれた桃は彼を辞めさせるため、二人きりの時に下着姿になり襲われたふりをしようと画策する。それを見た太郎は自ら半裸になり、自分が彼女に襲われたと叫び教室を飛び出すのであった。想定外の事態に泣き出す桃に、太郎は諭すように語りかけ「改心」させるのであった。その後も彼は「教師(しごと)ですから」と言いながら、問題児たちの心の闇を暴き教育していく。太郎が冷酷なまでに生徒たちを追い詰めていくさまは恐ろしくもある。だが、そのミステリアスなキャラクターがまた、魅力的だ。
サラリーマンとプロボクサーを兼務する青年の、成長と奮闘を描いたスポーツ漫画。主人公・吉野太郎は「つくし信用金庫」に勤める新人である。入行早々寝坊で遅刻した上、早退を申し出るなど掟破りの行動を起こすため同期からも白い目で見られる始末だ。ある日太郎は、先輩である森崎みほとぶつかった拍子に、手に持っていたボクシングの試合のチケットを落としてしまう。実は、ダメ職員である太郎には、プロボクサーという別の顔があったのだ。
信用金庫に内緒で太郎はボクサーとの二足のわらじを履いていた。デビュー戦のチケットを1枚も売ることができないまま、同じく新人ボクサーであるジロー・ガルシア・ロメロと対戦することに。客席には、怯むことなくパンチを繰り出す太郎を見守るみほの姿があった。実は、彼が落としたチケットを偶然拾い秘密を知ってしまったのである。秘めた理由を抱えながらボクシングを続ける太郎は、みほの支えを受け終わりなき闘いの渦に身を投じていく。平凡な信用金庫職員であった太郎が、目的のために強くなろうとさまざまな困難に抗うさまは、王道のスポーツ漫画特有の熱さを感じることができる。ガルシアら次々と現れるライバルたちとの闘いや因縁も、丁寧に描かれており見どころたっぷりだ。
怪物の国「怪物ランド」からやってきた王子と、人間の少年とのふれあいを描いたドタバタギャグ漫画。ある満月の晩、「怪物ランド」からやってきたドラキュラ・オオカミ男・フランケンがアパート「荒間荘(あらまそう)」を探し徘徊していた。王子である「怪物くん」こと怪物太郎も加わり、彼らはやっと荒間荘を探し当てるが、怪物くんが引っ越してきた部屋の隣に住む少年・市川ヒロシと偶然出会ってしまう。1968年、1980年にテレビアニメ化。2010年に実写ドラマ化された。
小学生のヒロシは早くに両親を亡くし、姉と二人暮らしをしている。ある晩、怪物に襲われる夢を見てしまい夜中に恐る恐るトイレに向かった際に、偶然引っ越してきたドラキュラたちと遭遇する。ヒロシはアパートを飛び出すも、更に怪物くんに脅かされ気絶してしまう。怪物くんたちの姿を見てしまったヒロシは捕らわれの身になるはずだったが、怪物くんの、ヒロシと友達になるという鶴の一声で難を逃れるのであった。半ば無理矢理友達にさせられたヒロシは、怪物くんたちが巻き起こすドタバタ劇に巻き込まれていく。種族を超えた二人の少年の奇妙な友情が、ギャグを織り交ぜながら微笑ましく描かれている。また、ドラキュラは血の代わりにトマトジュースを飲むなど、それぞれの怪物にユニークな特徴があるのも面白い。
女子中学生が、「マニア」な彼氏に振り回されるド変態ラブコメディ。主人公・吉川泉はごく普通の中学生だが体格のわりに大きな胸にコンプレックスを抱いていた。クラスの男子たちから好奇の目で見られ、自分が変わっていく苦しみに耐えられず小さい下着をわざと着用するほどだ。そんな泉は、いとこの大学生・沢村太郎に密かに想いを寄せている。この日も家庭教師のため自室を訪れる太郎を勝負ワンピースで出迎える泉であったが、彼の反応は意外なものであった。
泉のベッドに寝転がっていた太郎は、動揺する彼女に追い討ちをかけるべくドSな言葉で罵倒する。お気に入りの服も「色気付いている」と一刀両断だ。惚れた弱みか、逆らうことのできない泉であったが、太郎もまた女として変わりゆく彼女に恋心を抱いていた。紆余曲折を経て晴れて二人は付き合うことになるが、太郎の要求はエスカレートするばかりである。一抹の不安と恥を抱えながら、泉は彼との仲を深めていくのであった。太郎は泉の入ったプールの水を飲んだり、クリスマスの晩に雪の中でパンツ1枚になり気を引こうとしたりと、泉以外眼中にない。また、身悶えながら言いなりになる泉も歪んでいると言わざるを得ない。普段経験することのないアブノーマルな恋愛観に浸れる一作だ。