見た目は怖いけど実はシャイな男子高校生と、面倒見の良いしっかり者の女子高生のピュアラブストーリー。野花(のはな)は高校1年生。月ヶ丘(つきがおか)ハイツという団地に住んでおり、団地に住んでいる子どもたちとよく遊んでいた。夏休みが始まり、子どもたちと遊ぶために公園へやってきた野花。そこには金髪にピアスと、どう見ても不良そうな少年、タローが立っていた。少年が連れていた幼い弟、次郎を押し付けられた野花は、2人が最近引っ越してきたばかりだと知る。ある雨の日、野花は捨てられていた子猫を見つめるタローを見かけるのだった。
鉄板のギャップと言えば、不良少年が実は優しいというものだろう。タローは常に眉間にしわが寄っているような、眼光鋭い少年である。しかも金髪にピアスと、見た目の不良要素はばっちり。近寄りがたい雰囲気だが、最初から特大のギャップをかましてくれるのだ。野花とタローは、公園で初めて顔を合わせる。不良少年と公園といっても、悪さをするわけではない。タローは引っ越してきたばかりで友達のいない弟ジローのために、公園デビューの付き添いをしていたのだ。正直余計近寄り難いのでは、と思ってしまうような雰囲気だが、苦手意識のありそうな公園に付き添う姿を見ると、実は弟想いなのだなとギャップを感じてしまう。ここで兄も友達がいないのでは、というまっとうなツッコミを入れてはいけない。根は真面目でシャイなタローは子どもたちにも好かれているが、対人関係では苦労している様子。ジローが社交的なだけに不憫さも感じるのだが、その大きな違いに魅惑があるのかもしれない。
容姿端麗かつ文武両道と完璧ながら、家は極度に貧乏な主人公と家族の日常を描く、極貧ホームコメディ。山田太郎は眉目秀麗、成績優秀、スポーツ万能な完璧少年。人当たりも良く貴公子然とした容姿に女生徒のファンが多い太郎であったが、実は家がとても貧乏。太郎は10人きょうだいの長男として、弟妹たちと力を合わせて家計を切り盛りしていた。ある日、弟たちの給食費を母が使い込んでしまった。頭を抱える太郎のもとに、少女が訪ねてくる。彼女の渡した小包には、大金が入っていた。2007年テレビドラマが放送、台湾でもドラマ化している。
子どもをひとり育てるのにかかる金額は、約3000万円だと言われている。大学進学を含めた数字だが、太郎にとっては途方もない金額だろう。山田家は10人きょうだいという大所帯である。両親はあまり頼りにならないため、家計も家事も切り盛りしているのは太郎を中心とした子どもたち自身だ。太郎をはじめとして、山田兄弟は皆美形で、彼らは自分たちの容姿と優秀な頭脳をフルに活用し、日々を過ごしている。太郎も黙って立っていれば良家のおぼっちゃまに見えるので、女生徒のファンも多いが、学園のアイドルというよりも王子様的存在だ。家では三角巾に継ぎはぎだらけの割烹着姿なため、王子度はかなり下がる。しかし、学園にいるときよりも家にいる太郎の方が、親しみやすく感じられるだろう。生活環境が特大のギャップである太郎だが、苦労している割に荒んだところはない。だからこそ、王子様のような優雅さが損なわれないのだろう。とりあえず、心労を和らげるためにお弁当の差し入れをしてあげたくなる。
天使のように優しく純朴な性格をしているものの、見た目が凶悪なせいで極悪人と誤解されがちな主人公の学校生活をコミカルに描いた、学園コメディ。北野誠一郎(せいいちろう)は高校1年生。成績優秀、真面目で心優しく、正義感に溢れた優等生だ。しかし、一見すると悪魔のような顔立ちのせいで誤解されることが多かった。転校先で心機一転、友達を作ろうと、「内気な小心者です」と控えめな自己紹介をするが、教室内は静まり返ったまま。受け入れられたかと思っていた誠一郎のもとに、学校の番長という男が訪ねてくるのだった。
誠一郎は、心優しい青年である。困っている老人がいれば手を貸すといった、誰かの助けになればという信念で行動する誠一郎の心は天使がごとき清らかさだ。しかし、顔を見ると本当に心優しいのか、と疑問がわくだろう。人を外見で判断してはいけないのだが、全面的に信用することを躊躇してしまうようなビジュアルというのは否定できない。極端に小さな黒目に、肌はかなりの色白。年中目の下にクマがあるせいか、薬物依存症の患者のような顔色の悪さで、眉毛が薄いせいもあり、爬虫類のような独特な風貌になってしまっていた。悪魔的と表現されているが、あまり近寄りたくない顔立ちではある。誠一郎本人はいたって善良な少年なだけに、見た目だけで誤解されてしまうのは、不憫でならない。とはいえ、数々の不良伝説を勝手に生み出すほどの風貌だ。効果を上手いこと利用しようと考えないあたり、やはり誠一郎の中身は天使なのかもしれない。
一族のしきたりに従い、常に能面をかけて生活している主人公の学校生活を描いた、ラブコメディ。入学式の日、江口香穂(かほ)が教室に向かうと、教室の外に一人の女生徒が座り込んでいた。振り向いたその顔には、小面(こおもて)という能面がかけられていた。新入生代表として挨拶をした泉花子は、常に能面を顔にかけて生活をしているという、風変わりな女生徒。自分の噂でにぎやかになったクラスメイトの姿に不快感ではなく、安堵するような様子を見た香穂は、花子と仲良くなっていくのだった。
能面とは、日本の伝統芸能である能楽や神楽で使用される仮面のことである。常に能面をかけて生活している花子は、かつて家業が能面師の家に生まれ、昔の名残によって当然のように能面をかけて育った。花子がつねにかけているのは、小面という能面で、可憐な若い女性を表す面でもある。実際花子は女子高生なので若いのだが、現代の女子高生と能面が合体している姿のギャップは特大で、やはり人目をひく。伝統工芸として誇るべきものではあるが、能面をかけたまま学校生活を送る、というのはいささかハードルが高すぎる。それを難なくこなせる花子にとって能面とは、もはや自分の顔の一部なのだろう。そう考えると、能面をかけているので判別できないはずの花子の表情が、能面から伝わってくるような気がするから不思議だ。伝統を愛し、現代女子高生らしく甘いものを好む花子。とてもマイペースで、気品をにじませながらもお茶目な彼女と能面に魅了されてしまう。
強面な容姿から不良に絡まれ続けた主人公が、茶道部に入部し、青春を謳歌していく学園コメディ。船橋雅矢(ふなばしまさや)は凶悪な見た目と腕っぷしの強さから、中学時代は「悪魔(デビル)まークン」と呼ばれ恐れられていた。しかし、本人によればいたって心優しい性格。強面なせいで不良に絡まれ続け、気が付いたら無敵の不良になっていただけだった。終わりなき戦いの連鎖をたちきるべく、雅矢は高校ではほのぼのライフを送ることを誓う。ある日、部活見学でお茶をすすめられた雅矢は、茶道部に入部することを決めるのだった。
雅矢は心優しい不良というギャップの持ち主である。悪魔と恐れられるほどの伝説を持っているが、絡まれやすい容姿はさておき、伝説を作ってしまったのは本人の性質が大きいだろう。押し売りされたものとはいえ、喧嘩をする相手は謂わば敵だ。雅矢は敵と認識した者には容赦がなくなる。そんな無慈悲なところも、悪魔と言われる所以だといえる。そんな彼がほのぼの学園ライフを熱望した結果、選んだ部活動は茶道部だった。茶道と不良。これも一種のギャップといえるだろう。静と動と例えるのもおかしいが、対極に位置するものであることは間違いない。雅矢が茶道部を選んだのは、無類のお茶好きだったからというわけではない。人を見た目で判断するものではない、と言い切った部長の姉崎奈緒美(あねさきなおみ)の人柄に惹かれたからだ。元々行動原理が単純なだけに、のめり込むととことんのめり込んでいく。