『赤ちゃんと僕』などで知られる羅川真里茂の少年誌では初連載となる作品で、代表作の一つ。津軽三味線の師匠であり育ての親でもあった祖父の松吾郎を亡くした少年、雪が、青森県から東京都へ向かい、「自分の音」を探すために奮闘する物語。東京の梅園学園に転校した雪は、津軽三味線同好会に入り、仲間たちとの交流や実父の流弦との複雑な関係、流弦の養子である総一や舞との関係性を通じて成長していく。そして、津軽三味線の全国大会への参加やさまざまな演奏者との出会いを経て、雪は自身の音楽的アイデンティティを模索していくことになる。本作は、津軽三味線という日本の伝統楽器を中心に、音楽をテーマとした青春漫画。楽器の演奏技法や流派の違い、師弟関係といった要素が物語に組み込まれ、青森県の方言や文化的背景も詳細に描写されている。津軽三味線の演奏シーンでは、コマ割りや効果線、擬音語を駆使して楽器の音色や演奏者の感情が視覚的に表現され、神木流を中心とした師弟関係や後継者問題、伝統的な演奏スタイルと現代的なアレンジの対立といった要素が物語の背景を形成している。講談社「月刊少年マガジン」で2010年5月号から2022年9月号まで連載。2012年に第36回「講談社漫画賞」少年部門、同年に第16回「文化庁メディア芸術祭」マンガ部門優秀賞を獲得。テレビアニメが2021年4月から放送された。