廃部寸前の箏曲部で、高校生たちが全国大会を目指す青春物語。高校2年生の倉田武蔵は箏曲部に所属していたが、先輩たちが卒業してしまい、部員は彼ひとりとなってしまう。部室も不良たちによって荒らされてしまうが、そんな箏曲部に1年生の男子・久遠愛(くどうちか)が入部を希望してくる。彼も札付きの不良だったが、亡き祖父が創設した箏曲部を大切に想っていた。2019年TVアニメ化。
本作の題材になっている日本の伝統芸能は、和楽器の「箏」だ。本作の主人公・愛は手の付けられない不良だったが、箏職人だった祖父の深い愛情によって更生する。その祖父の思いを継いで箏曲部に入部するが、部員は武蔵のみという廃部寸前の状態だった。だがそこに、箏の家元である鳳月会出身の鳳月さとわが入部をしてくる。彼女は優れた才能に恵まれた奏者だったが、母との確執から会を破門されていた。そんなさとわが中心となり、部の存続をかけた演奏会の練習を始めるが、なかなか上手くいかない。何度も衝突と理解を繰り返しながらも、やがて全国大会を目指すまでに成長していく。
歌舞伎を題材にした恋と友情、歌舞伎への情熱を描いた物語。歌舞伎界の名門の御曹司・河村猛は、恵まれた環境にあるため驕った舞台をしていた。そんな彼に、歌舞伎好きが好きな女子高生の千葉あやめは手厳しい評価を下すが、彼女に恋をした猛は、それをきっかけに本気で舞台に向かうようになる。だが、あやめは若手歌舞伎役者の本郷弘樹と恋仲だった。2013年TVドラマ化。
本作の題材になっている日本の伝統芸能は、「歌舞伎」だ。主人公の猛とライバルである弘樹は、若手の歌舞伎役者。猛は男形の名門「木嶋屋」の御曹司で、見目も良く、重要な役を当然のごとく演じていた。一方、弘樹は厳しい鍛錬を積み、女形の名門「轟屋」で名を馳せている実力派。まったく立場が違うふたりだが、猛は名門としての重責に、弘樹は歌舞伎の家の出身ではない「門閥外」であることに、それぞれ苦難していた。だが、彼らは歌舞伎を心から愛していて、芸に磨きをかけていく。歌舞伎の見所や、演目のあらすじが分かりやすく紹介されているのも本作の魅力だ。
自分だけの三味線の音を捜す主人公の青春物語。天才的な津軽三味線の弾き手ながら、気分にムラのある主人公の澤村雪(さわむらせつ)。彼は、三味線の師である祖父・松吾郎の死をきっかけに、故郷の青森から三味線を担いで東京へ。祖父の死によって失ってしまった「自分の弾くべき音」を捜していた。
本作の題材になっている日本の伝統芸能は、和楽器の「津軽三味線」だ。主人公の雪は、幼い頃から祖父が弾く三味線の音を聞いて育ってきた。祖父の松吾郎は名人と呼ばれたが、無欲な名人物で世に出ることはなかった。雪や兄の若菜はそんな松吾郎に教えを請うが、祖父からは「自分の音で奪え」と言われてきた。やがて若菜は全国大会でも上位に入る実力者となるが、自分の才能に限界を感じる。一方、雪は天才的な技量を持っていたが、気分にムラがあり過ぎて時につまらない演奏をしてしまっていた。松吾郎が亡くなった後、雪は実家を出て東京へ向かう。彼は周囲の人々との交流から弾き手として成長していき、やがて「自分の音」を捜すようになる。
いけばなを学ぶ生徒たちの、様々な思いや人間関係を描く物語。ビジネス専門学校フラワー科のいけばな芸術コースを履修する主人公の南侑生(みなみゆい)。彼女は生け花が好きで履修しているのだが、他のクラスメイトたちの目的はみなバラバラだった。そんな中、迎えた学園祭だが、いけばな芸術コースの皆は熱が入らず纏まりがない。しかし、実行委員になった侑生は、展示会が成功することを願って奮闘する。
本作の題材になっている日本の伝統芸能は「華道」だ。本作の主人公である侑生は、生け花が生み出す風景や物語に心惹かれている女性で、いつか自分も誰かの心に残るような生け花をと願っている。文化祭の委員に立候補した彼女は、生け花の演習で担任の橘から褒めてもらう。その一方、クラスメイトの芹沢は、大輪のばらを大量に活けたことで注意されてしまった。最初は不満に思う芹沢だが、様々なきっかけから自分の生け花と「調和の美」を見つめ直していく。話によってスポットのあたるキャラや、題材となる花が変わってストーリーが展開していくのが特徴の作品だ。
能楽師である主人公の日々を描いた人間ドラマであり、同作者の漫画『NATURAL』のスピンオフ作品。主人公の榊原憲人(さかきばらのりと)は、二歳の頃より能楽の世界で生きている。先人たちに敬意を払い、能楽の道に情熱を捧げていた。憲人はシテ方の相葉左右十郎(あいばそうじゅうろう)の内弟子となり、やがて一人前の能楽師として成長していく。
本作の題材になっている日本の伝統芸能は「能楽」だ。本作の主人公・憲人は、『NATURAL』に登場した大学生かつ神官でもある榊原西門(さかきばらさいもん)の兄。西門は兄の憲人のことを応援しているが、憲人は華やかで人から好かれる弟に対し、地味な自分に少しだけ劣等感を抱いていた。そんな憲人だが、能楽師である左右十郎の内弟子となり、一人前の能楽師として成長していく。憲人は様々な役を演じ、後にドラマ出演までするように。そのドラマがきっかけで弟子を取ることになったり、後に恋人となる宮本葉月と出会う。能楽の独特な舞台や数々の演目を紹介しながら、能楽師たちの恋や葛藤などの日常も描く作品だ。