トカゲの頭を持つ、記憶喪失の男カイマンを巡る過去の謎説きを軸に、魔法使いたちと対抗勢力である主人公や十字目との抗争を絡めつつ描かれたダークファンタジー漫画。キャラクター達のファッションや風貌は、実在するパンクバンドやハードコアバンドの影響を受けていると見られ、作品の世界観の退廃的な雰囲気に見事にマッチしている。内蔵がはみ出たり、まっぷたつになったり残虐シーンは多いものの、キャラクターたちの飄々としたユーモラスなやりとりや言動がコミカルにクールに描かれており、そのグロテスク加減を中和している。鉛筆を下書きをそのまま残してある独特のタッチで、筋肉隆々の人物が多数登場するが、そののデッサン力は見事である。単行本内でギャグタッチで描かれた巻末の短編マンガも密かな人気となっている。