こよなく猫を愛する悪の組織のボスの日常をユーモアたっぷりに描いたギャグコメディ漫画。主人公は若かりし頃、抗争で負傷を負い、逃げ込んだ路地裏で薄汚れた1匹の仔猫と出逢う。互いに通じるものを感じた彼は、その仔猫を連れ帰る。時は流れ、彼は悪の組織の頂点に君臨。その傍らには、かつて拾った猫を含め、数多くの猫たちが侍っていた。
悪の組織のボスが猫好きというイメージは、映画「007」シリーズで広く一般に定着した。1作目で登場した悪のボス、ドクター・ノオが可愛い猫を抱いている姿はギャップが大きく、実に印象的だった。本作の主人公は、そんなドクター・ノオを上回る猫好きだ。彼は強面で、ニヒルな笑みを浮かべながら葉巻をくゆらす姿が絵になる男。悪のボスの貫禄に満ちた彼だが、猫への接し方は極めてソフト。日々かいがいしく餌を与え、猫がどんなイタズラをしようと怒らず、さらに猫の遊具や爪研ぎを自作したりもする。ほぼセリフ無しで展開される、ダンディなボスと可愛い猫たちの掛け合いは、実にシュールでユーモラスだ。
異形の主人公によるバイオレンスな自分探しを描く、謎に満ちたダークファンタジー漫画。主人公であるカイマンは、魔法使いに頭を爬虫類の姿に変えられ、その出来事以前の記憶を失った男。本来の姿と失った記憶を取り戻すため、カイマンは相棒のニカイドウと共に、「魔法使いの世界」から「ドア」を作ってやってくる魔法使いたちを狩り続ける。2020年テレビアニメ化。
本作にはふたりの個性豊かな組織のボスが登場する。ひとりは「煙ファミリー」ボスである煙(えん)。彼はあらゆるものをキノコに変える力を持つ強力な魔法使いだ。煙は口回りの皮膚を剥ぎ取ったような、グロテスクなデザインのマスクを着用しており、風貌もインパクト十分。部下はもちろん、ほかの魔法使いからも畏敬の念を抱かれる、カリスマ性豊かなボスだ。もうひとりは、「十字目の組織」のボスである壊(かい)。彼はなぜか、主人公であるカイマンのかつての姿と瓜二つ。エリート魔法使いを数多く手に掛けてきた彼は、煙と敵対関係にある。煙と壊、そしてカイマンと相棒のニカイドウ、4人の関係が複雑に絡みながら物語は進行していく。独自性に富んだ世界観が魅力のミステリアスな作品だ。
数奇な運命に翻弄されながらも、己の信念を貫く誇り高き一族の系譜を描く、ロマンに満ちたアクションアドベンチャー漫画。シリーズの第5部にあたる本作の主人公は、イタリアに住む少年、ジョルノ・ジョバァーナ。複雑な生い立ちの彼は、一本筋の通ったギャングスターになることを志す。やがて彼は、イタリアの裏社会を牛耳る「パッショーネ・ファミリー」の一員となり、組織の階段を駆け上がっていく。
本作に登場する組織のボスは、イタリア最大のマフィア団「パッショーネ・ファミリー」のボス。ファミリーは「スタンドの矢」で超常的な能力を得た者たちの集団で、ボス自身も強力な能力を備えている。ただし、ボスは非情に用心深い人物で、組織の幹部たちでも、その正体はおろか、能力すら知らない。主人公であるジョルノは、ファミリー傘下の新興勢力、ブチャラティ・チームに加入。ジョルノの活躍もあって、チームは組織内での地位を急速に高めていく。ところが、ある一件をきっかけにチームは組織と対立。命を狙われる立場となった彼らは、組織が放つ暗殺者たちと戦いながら、謎のヴェールに包まれたボスの正体に迫っていく。
美食に命を賭ける主人公の壮大な冒険と戦いを描く、グルメバトル漫画。物語の舞台は、世の人々がこぞって美食を求める「グルメ時代」を迎えた架空の世界。そこでは、あらゆる食材の調達を請け負う「美食屋」たちが活躍していた。主人公であるトリコは、「美食屋四天王」にその名を連ねる超腕利きの美食屋。そんな彼は、極上の食材を入手するため、さまざまな困難に自ら挑んでいく。
本作には、いくつかの組織とそのボスが登場する。いずれも個性豊かなクセモノぞろいだが、中でも存在感が際立つのは、悪のグルメ組織「美食會」のボスの三虎(ミドラ)だ。彼は「美食の神」と称えられる伝説の「美食屋」アカシアの弟子。主人公のトリコが所属するIGO(国際グルメ機構)の会長、一龍(いちりゅう)とは兄弟弟子の関係にある。しかし、心の奥底に人間への深い憎悪を抱えていた三虎は、一龍と袂を分かつ。「万物は全て餌」と豪語する彼は、全世界の食材を牛耳ろうと暗躍。IGOに対してさまざまな刺客を放ち、トリコたちと死闘を繰り広げていく。三虎は冷徹で恐るべき男だが、食に対する姿勢は真摯で、意外と律儀な面もある。彼との戦いを通じて、トリコは大きく成長する。
うさぎが主役の癒し系ショートコメディを収録する本作。その中で異色のボスが登場するシリーズが『オオカミのボスはうさぎ』だ。物語の主人公はとある森で暮らすうさぎ。ある日、そこに空腹でボロボロになった2頭のオオカミがやってくる。腹を満たそうとうさぎに襲いかかったオオカミたちは、キック一撃で返り討ちにされてしまった。その日を境にオオカミたちは、うさぎをボスと慕い、彼の下で共に暮らしていくこととなる。
『オオカミのボスはうさぎ』に登場するボスは、そのタイトル通りにうさぎだ。配下はオオカミ2頭だけで、組織というには小規模な集団だが、ボスと呼ばれていることは間違いない。ボスは一見するとごく普通のうさぎだが、戦闘力は圧倒的。オオカミどころかライオンですら必殺の「うさキック」で倒してしまう。しかし、ボスの最大の武器はなんといってもその可愛らしさにある。つぶらな瞳にモフモフの毛並み、うさぎ特有の前脚で穴を掘る仕草などは、殺傷力(?)抜群だ。ボスの好物にちなんで「バナナ」「コマツナ」と名付けられた2頭のオオカミたちも、その魅力にメロメロ。カリスマ性あふれるボスとオオカミたちのヒエラルキー逆転ライフは、読者の心をほっこりさせること間違いなしだ。