高校の少林寺拳法部を題材にした格闘コメディ漫画。中学時代はロックバンドに在籍し、女子生徒に人気のバンドマンであった柴田広則。ある日、彼女の沖夏美といたところを不良に絡まれ、あっけなくやられて、醜態を晒してしまう。その後、夏美と同じ海浜南高校に入学した柴田であったが、そこで以前絡まれた不良生徒の大野秀光に再び出会ってしまう。すんでのところで少林寺拳法部主将の基山(もとやま)に救われた柴田は、なし崩し的に入部することになるのであった。
当初は、いわゆる「チャラい」男であった柴田。強制的に入部させられ、嫌々ながら練習していたが、徐々に拳士として成長していく。また、同期入部した空手黒帯の不良生徒・大野や気の弱い同級生の工藤余一らとの友情も本作の1つの見どころ。柴田は負傷した工藤のかたき討ちのために「空手全日本虎大会」に出場し、連勝したことで注目を集める。そのことで少林寺拳法部は異種格闘技戦の大会「全国高校格闘フェスティバル」へと出場することとなるのであった。当初コメディ調が強かった本作だが、柴田らが成長するにつれ本格的なスポ根もの的要素が強まっていく。これが後に作者の代表作となる体操漫画『ガンバ! Fly high』に生かされているのは間違いないだろう。
中国拳法を題材に、少年の成長を描いたアクションヒューマンドラマ。祖父・侠太郎の薫陶を受け、直伝の中国拳法「八極拳」を学ぶ小学生・剛拳児。拳児は同級生をいじめから救うなど、日々持ち前の正義感の強さを発揮していた。そんなある日、知人を訪ね中国へ渡った侠太郎が消息を絶ってしまう。時は経ち、高校生となった拳児は、不良グループとの諍いから無期停学処分となってしまう。そして拳児は祖父を探すため中国へ渡るのであった。続編に、『拳児2』がある。
池上遼一門下の実力派の作者の手による本作。中国拳法でのバトルシーンもしばしば登場するが、根底は第一に拳児の成長の物語である。冒頭で小学生だった拳児は中学生、高校生となり、その過程で中国拳法の技術・思想・哲学などを体得していく。また本格的な中国拳法が作品内で次々登場する本作。原作者は、中国武術研究家として著名な「松田隆智(まつだりゅうち)」である。本作では、国内ではまだ知名度の低かった「八極拳」を大きくクローズアップし、後世の作品に多大な影響を与えることになった。特にセガの格闘ゲーム「バーチャファイター」の主人公・結城晶(ゆうきあきら)は八極拳の使い手として有名である。なお、このバーチャファイター、作者が後年コミカライズしている。
中国を舞台に天賦の拳法の才を持った少年の修行と戦いの日々を描いた中国拳法アクション漫画。稀有な拳法の才能を持つ少年・チンミは姉・メイリン、猿のゴクウとともに平和に暮らしていた。そんなある日、伝説の「拳精」を探すために旅をしていた「大林寺」の老師と出会う。そして才を見出されたチンミは大林寺に入門するのであった。続編に『新鉄拳チンミ』、『鉄拳チンミLegends』、外伝として『鉄拳チンミ外伝』がある。1988年にテレビアニメ化された。
本作は大林寺拳法と出合ったチンミが、さまざまな人物との出会いや激戦を経て、「拳精」へと成長していくという長編である。修行の旅を続けるチンミの武勇は、その成長とともに大陸中に広がっていく。非常に息の長い作品だが、天真爛漫で明るいチンミの性格もあって、物語は非常に親しみやすい。迫力の拳法バトルシーンも魅力的である。1983年に開始された本作は、『鉄拳チンミLegends』として現在もシリーズが連載中。本シリーズは作者のライフワーク的な作品といってよいだろう。読み進めるごとに、チンミとともに作者がめきめきと漫画家として力をつけていく様子が見て取れるのも面白い。中国拳法漫画の金字塔であり、王道バトル漫画の教科書的作品である。
中国拳法家の女子高生の戦いと成長の日々を描いた美少女格闘漫画。チンピラ風の男たちに絡まれていた女子高生・毛蘭(マオラン)は、しつこい彼らを中国拳法で秒殺してしまう。偶然そこに居合わせたスポーツ新聞記者の鏑木(かぶらぎ)拓郎は彼女を調べ始める。ふと立ち寄った酒場で鏑木はランの祖父・毛混(マオフン)と出会う。フンを家まで送った鏑木はそこでランと再会するのであった。外伝的作品に『格闘美神 武龍 外伝』がある。2005年、2006年にテレビアニメ化された。
本作のタイトルの読みは「ファイティングビューティー ウーロン」である。中国拳法・毛家居合拳の継承者であるラン。彼女が総合格闘技興行「プライムマット」に参戦し、さまざまな格闘技の達人である女性格闘家と戦っていく本作。現在でこそ、女子格闘技の知名度は高まっているが、本作が発表された2000年代はまだ比較的アンダーグラウンドな競技であった。本作はそんな黎明期に描かれた本格女子格闘漫画の作品の1つである。なお、リアルな女子総合格闘技をテーマにした『鉄風』や『ハナカク』などが発表されるのはこの数年後であるので、本作はそれらに先んじた傑作と言っていいだろう。美少女の描写にも定評のあるベテランの作者の代表作の1つである。
中国拳法の達人である主人公の修行と戦いの日々を描いたアクションバトル漫画。読みは「たたかえ!! ラーメンマン」。大人気作品『キン肉マン』の登場人物・拉麺男を主人公としたスピンオフである。主人公「美来斗利偉・拉麺男(ビクトリー・ラーメンマン)」と弟子の「シューマイ」の修行の旅を描く。拉麺男は、師匠・陳老師から授かった拳法「超人一〇二芸」と、その極意「闘龍極意書」を駆使し、強敵と拳を交え成長していく。1988年にテレビアニメ化された。
拉麺男は幼くして馬賊の毒蛇(コブラ)党に家族の命を奪われ、自らは一命を取り留める。そして陳老師の下での12年の修行の後に復讐を果たすも、己の未熟さを痛感した拉麺男。彼は修行の旅の先々で強敵と戦い、人々を救うなかで成長していく。拉麺男の使う「百歩神拳」や『キン肉マン』本編にも登場した「機矢滅留・苦落血(キャメル・クラッチ)」など読者が真似したくなるケレン味たっぷりな必殺技が盛りだくさんだ。また毒狼拳蛾蛇虫(どくろけんがんだむ)や流星拳砲岩(りゅうせいけんほーがん)といった旅路で拳を交えた強敵が、心強い仲間として再登場する展開はバトル漫画の定番ながらも胸が熱くなる。作者の『キン肉マン』に次ぐ代表作であり、スピンオフの傑作である。