考古学者と保険組合の調査員(オプ)という、ふたつの顔を持つ主人公を描いた人間ドラマ。大学の考古学で臨時講師をしている平賀・キートン・太一。彼は学者だが、副業の保険組合の調査員(オプ)で生計を立てている。キートンはかつてSASでサバイバル教官を勤めていた経歴を活かし、時に危険が伴うオプをこなしていた。1998年にTVアニメ化。
本作の主人公のキートンは「考古学者」と「オプ」というダブルワークをこなしている。キートンにとっての本業は考古学であり、オックスフォード大学時代の恩師の提唱していた「西欧文明ドナウ起源論」を立証する夢を持つ。だがそれはいまだ立証まで至らず、生活のために軍隊経験を活かしたオプの仕事をしているのだ。皮肉なことにキートンはオプとしては評判が高く、依頼が絶えない。一方で考古学では講師の枠を取るのも危うい状況にある。だがそんなキートンの夢を娘の百合子は尊敬し、応援しているのだ。やがてキートンは夢を叶えるため、遺跡調査へと乗り出していく。本作から20年後のキートンたちの物語である続編『MASTERキートン Reマスター』では、彼の夢の続報が描かれている。
サラリーマンの裏でボクサーデビューした青年の葛藤と情熱を描いた作品。高校卒業後、信用金庫に就職した吉野太郎。彼はクマタジムに所属する、デビュー間もないバンタム級のプロボクサーであった。太郎はサラリーマンとして勤めながらも、世界王者を目指し、リングに上がり続けていく。第41回小学館漫画賞を同作者の『ギャラリーフェイク』と同時受賞。
本作の主人公である太郎は信用金庫に勤めるサラリーマンとプロボクサーのダブルワークをしている青年。新人ボクサーは、ボクシング専業では生活できない。しかしサラリーマンの彼は試合や練習のためにミスや遅刻、早退を繰り返す出来の悪い新人と見下されていた。自分がボクサーであることは会社には秘密にしていた太郎だが、落とした試合のチケットが原因で先輩である森崎みほに知られてしまった。みほは太郎の試合を見て、彼をサポートしてくれるようになるが、世界王者への道は険しく厳しいもの。試合で顔を腫らした姿で出社する太郎に、会社での上司や先輩、同僚の当たりは厳しくなる。そんな状況でも太郎は諦めず、夢に向かって戦っていく。
産婦人科を舞台にした人間ドラマ。謎のプロジャズピアニスト「ベイビー」。彼の正体は、産科医である鴻鳥(コウノトリ)サクラだった。鴻鳥は産科医として、患者と産まれてくる子に寄り添い最善の道を捜し続ける。それは時に残酷な世界でもあった。第40回講談社漫画賞、2015年TVドラマ化。
本作の主人公鴻鳥サクラはペルソナ総合医療センターで働く産科医であり、経歴不明のジャズピアニスト「ベイビー」でもある。彼は産まれてくる子と患者の幸せを考え、時には厳しい言葉を患者に向ける。しかし出産という奇跡には大いに喜び、その想いをベイビーとしての演奏に向けていた。そんな鴻鳥がベイビーであることを知る者は少なく、ライブの最中に出勤要請が来ることもあり、演奏開始から僅か10分で離籍してしまうことも。またベイビーとして活動する時のサクラは、ウィッグとメイクで変装している。そのため、同僚でありベイビーのファンでもある下屋カエをはじめ、周囲の人物はほとんど彼の正体に気が付いていないのだ。
作者である漫画家、よしたにの「理系あるある」を交えたエッセイ漫画。WEBエンジニアであるよしたには、周囲の人たちから「理系だから」という理由で受ける「理屈っぽい」とか「気が利かない」といった偏見を払拭したいという意気込みの元、本作を連載。理系ならではの思考回路、行動パターンなど、さまざまな「あるある」がコメディチックに紹介されていく。2014年WEBドラマ化。
本作のエッセイ漫画を描くよしたには『ぼく、オタリーマン。』でもサラリーマンの生活を描いている。初期は専業漫画家ではなく、サラリーマンと二束のわらじで作品制作をしていた。そのため会社から帰宅し、スーツ姿のまま執筆するなどのエピソードも紹介されている。そして本作『理系の人々』では、理系ならではの感性やあるあるが紹介されている。アジサイの花を見た時に美しさよりも花の色で土壌の「酸性」や「アルカリ性」をチェックし、外回りで時間があまるとついつい電気屋を覗いてしまうという、理系の人々から共感を得るネタのほかに、料理をする時に成分で考えてしまうという筆者自身の独特の感性が垣間見えるものも多い。
昼間はサラリーマン、夜は関東最大の暴力団「新鮮組」の総長というふたつの顔を持つ男の物語で、全108巻の大長編作。女性下着メーカー「プリティ」のデザイン部に勤める近藤静也。小柄で気弱そうに見える彼は、父親の死によって関東最大の暴力団である新鮮組の総長を継ぐことになった。1994年TVドラマ化他、実写映画化など多数メディアミックス化。
本作の主人公である静也は小柄で気弱そうに見える男。会社でも先輩社員や上司からからかわれたり叱責されたりの日々を送っている。だが、そんな彼は新鮮組の総長という立場にあった。争いを好まず、メンツに命を賭ける世界であっても抗争を回避できるなら頭を下げる性格。またどんな状況にあっても会社勤めを辞めようとしない。そんな静也を腑抜けだと言う者も少なくない。しかし本来の彼は他者を圧倒的な暴力でひれ伏させる力を持っており、それを使うことを恐れていた。堅気の世界に憧れ、堅気の生き方を求めて自分の本性を抑えようとする静也。だが昼の世界で道理に外れた問題にぶつかった時には、総長としての人脈と力で解決することもあるのだった。