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第二次世界大戦下が舞台の漫画特集!戦争を考えよう正史から架空戦記まで48 Pt.

1939年~1945年にかけて行われた第二次世界大戦。ナチスドイツの侵攻や大量虐殺、「太平洋戦争」での日本兵の玉砕など多くの命が失われた。今回は第二次大戦をテーマに描かれた5作品を通じ、散っていった英霊たちに思いを馳せてみよう。

作成日時:2022-12-13 19:00 執筆者:マンガペディア公式

第二次世界大戦下が舞台の漫画特集!戦争を考えよう正史から架空戦記まで

出典:小学館


『蒼のデラシネ』

『蒼のデラシネ』

出典:小学館

大戦下の日本と中国を舞台に、国の命運を担った少年少女が運命の波に飲み込まれる中華バトル奇譚。昭和19年の帝都・東京。主人公・椎名陸はアメリカ人の父と日本人の母親を持つハーフ少年。孤児となった陸はサーカスの軽業師として転々と過してきたが、戦局が思わしくないことから差別の標的となってしまう。ある日陸は、がれきの中で気を失っていた少女を発見する。彼女の背中には大きな刺青が刻まれていたが、それは戦局を劇的に変える大きな鍵となっていた。

少女は蔡麗芳(ツアイ・リーファン)と名乗り、陸に自分は世界を滅ぼす女なのだと告げる。麗芳は「添島機関」なる日本軍の秘密機関に追われる身であった。生体兵器により戦局を打開しようと目論む機関は、麗芳の祖父が開発していた「蒼い龍」が開発には不可欠と考えていた。その秘密が刻まれた刺青を抱える麗芳が追われていたため、二人は蒼い龍の秘密を探るべく中国へ発つ。二人は追手に襲撃されるが、同じく添島機関に恨みを持つ元軍曹・神道海(しんどうかい)に助けられる。彼らは仲間となり、力を合わせ機関に立ち向かってゆく。一人の少女を巡る大国同士の複雑な思惑が、大戦時の戦局を見事に表している。伏線を張り巡らせた重厚なストーリー展開にも要注目だ。


『石の花』

『石の花』

出典:KADOKAWA

ナチスドイツ占領下のユーゴスラビアで、少年が紛争に巻き込まれながらも逞しく生き抜く大河戦争ロマン。舞台は1941年、ユーゴスラビア。スロヴェニア地方の村に暮らすクリロ・ベートは、幼馴染のフィーらと慎ましく過ごしていた。そんな中、首都・ベオグラードで三国同盟に加担した政府を将校が倒すというクーデターが勃発する。クリロの兄・イヴァンは、革命の気運に色めきたち村を出ていく。そして残されたクリロたちに、思わぬ悲劇が襲いかかる。

クリロは学校の仲間と共にドイツ軍の襲撃を受けてしまう。彼一人が逃げのび、村は壊滅状態に。クリロと離れ離れになったフィーは収容所に入れられるも、ドイツ人将校の庇護の元匿われていた。クリロはレジスタンスに加わり、フィーと再会するがドイツ軍に寝返ったイヴァンと相対する。イヴァンが本当の兄ではなかったこと、ドイツ人の血が混じっていることを知ったクリロは彼と袂を分かつ。チトー率いる反政府戦力「パルチザン」へ参加し、自らの理念を胸に闘う。5つの民族で構成されていたユーゴスラビアは、我々日本人には想像もつかぬ苦難の歴史があったことを思い知らされる。フィーの過ごした強制収容所の描写など、当時のナチスドイツの残虐さをうかがい知ることができるだろう。


『ゼロ戦行進曲』

『ゼロ戦行進曲』

出典:amazon

「神風特攻隊」として太平洋戦争で玉砕していった少年兵たちの生き様を描いた、青春ゼロ戦漫画。華々しく開戦した真珠湾攻撃から約1年。日本はミッドウェー海戦を機に劣勢に陥っていた。そんな昭和17年の晩秋、主人公・南将一は土浦海軍航空隊の「予科練」に入隊。ゼロ戦機のパイロットとしてラバウル航空隊に所属する兄・将太郎に憧れての志願であった。入隊初日、上官である田沼上飛曹は将一ら練習生を笑顔で迎えるが、翌日態度を一変させ鬼軍曹と化す。

予科練では早朝から想像を絶する訓練が行われていた。特に田沼の指導はスパルタそのもので、鉄拳制裁や「精神棒」による体罰は日常茶飯事であった。将一は劣等生の地野茂やエリートで出世志向の強い渡三郎(わたりさぶろう)ら同期と共に訓練に耐え忍ぶ。しかし、検定を経て合格かと思われた将一と渡はまさかの不合格となる。その後、密かに田沼に召集された二人は他の不合格者と共にトラックへ。なんと彼らは戦死扱いされた「秘密部隊」として、激戦の南方へ送り込まれる運命だったのだ。今の時代では考えられないような軍隊での集団生活やしごき、国のために命を投げ打つ彼らに胸が痛くなる。そんな犠牲の元に現在の平和があることを、改めて想起させてくれる一冊だ。


『総員玉砕せよ!』

『総員玉砕せよ!』

出典:講談社

作者・水木しげるが実際の従軍経験と史実を元に、南方戦線における壮絶な闘いと死を描いた戦記漫画。舞台は昭和18年のニューブリテン島。主人公・丸山二等兵はごく普通の青年兵士だ。上官に目をつけられビンタされたり、ピー屋で女性を抱こうとするも兵の行列に阻まれ目的を果たせなかったりと、ぼんやりしたところがたまにキズである。そんな中、丸山は戦友から次に行くところは「天国のような場所」だと聞かされる。しかしそこは本当の「天国」へ向かう場所であった。

丸山たちは田所少佐率いるバイエンに上陸する。当初はなんとかバイエンでの任務をこなしていくが、敵の攻撃は激しさを増してゆく。次々と戦死するものが現れ、徐々に部隊が包囲されていく中、田所は500名ものバイエン支隊に全員玉砕の切り込みを命令する。田所は戦死するが、生き残った丸山たちは聖ジョージ岬に逃げ延びる。しかし、そこで彼らを待ち受けていたものはラバウル司令部による再度の玉砕命令であった。実際にラバウルに派遣された経験を持つ作者の視点で、連帯責任や自決・国のための玉砕と戦争がもたらした多くの犠牲が独特のタッチで描かれている。表題作の他に硫黄島での闘いを描いた『白い旗』など、太平洋戦争で散った多くの命に思いを馳せながら読んでみることをオススメする。


『ジパング』

『ジパング』

出典:講談社

イージス艦が太平洋戦争真っ只中にタイムスリップしたことにより、運命に翻弄される人々を描いた架空戦記。200X年6月、最新鋭イージス護衛艦「みらい」は南米エクアドル争乱の支援のため横須賀港を出港する。演習を交えながら出港4日目を迎えたみらいは、ミッドウェー島近くの海域で大嵐に遭う。落雷を受けたみらいは、他の僚艦と全く連絡が取れなくなる。副長・角松洋介ら乗組員が見たものは、前方にそびえ立つ戦艦「大和」であった。2004年にテレビアニメ化。

対戦中、沖縄沖に沈んだはずの大和の姿を目の当たりにし角松らは愕然とする。戦時中の太平洋にタイムスリップしたことを確信した彼らは、歴史が変わってしまうことを危惧した旧日本軍に関わらない方針であった。しかし、角松は攻撃を受けて沈みゆく零戦を発見し、乗組員の少佐・草加拓海を救助してしまう。草加は彼らが未来からやってきたこと、この戦争の行方や戦後復興を遂げた姿を知り呆然とする。無条件降伏後に成り立った戦後の日本に失望をおぼえた草加は新しい国「ジパング」の建国を宣言。歴史改変に反対の立場をとる角松と対峙してゆく。「愛国」をテーマに、対立する二人の思惑や行動が重厚なタッチで描かれている。本作を通して、日本という国が歩んだ数奇な運命に思いを馳せるのにもおすすめだ。


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