主人公とその友人たちの、悩ましき恋や仕事、生活の日々を描くラブ&グルメ漫画。主人公の佐藤麻里子は、朝食に人並み外れたこだわりがあるが、7年間同棲している創太郎とその気持ちを分かち合えない。苛立ちを爆発させた麻里子は、彼と別れてひとり暮らしをはじめることに。素敵な朝食を求めながら、麻里子は自分にとっての幸せのかたちを探していく。
本作に登場する「人生を変える食事」は、朝食だ。佐藤麻里子は、映画「ティファニーで朝食を」に憧れを抱くアラサーのOL。彼女は恋人の創太郎と同棲をはじめるとき、「毎朝、一緒にごはんを食べる」ことを約束した。しかし創太郎は、仕事で夜中まで飲み歩くことも多く、その理想をなかなか共有できない。そんな時、麻里子は創太郎と一緒に行きたかった憧れのカフェで、友人たちと一緒に朝食を食べる。そこで出されたサラダボウルの美味しさに、おなかだけではなく心も満たされた麻里子は、創太郎と別れることを決意する。自分の「好き」に素直になることの大切さを教えてくれる一作だ。
独身男性と従妹の女子高生が、手作りのお弁当で心を通わせるヒューマンコメディ。高杉温巳は博士号を取ったものの就職先が無かった。そんな彼の元に、母親を亡くした従妹の久留里がやってくる。最初はギクシャクしていた2人だが、毎日のお弁当を通じて次第に打ち解けていく。
本作の「人生を変える食事」は、お弁当だ。各家にそれぞれの「家庭の味」があるように、お弁当にも個性があらわれる。お弁当の蓋を開けた時のワクワクを通じて、不器用なふたりが心を通わせる一風変わったヒューマンコメディだ。叔母が亡くなり、その娘の久留里を預かることになった高杉温巳は、心を開いてくれない彼女との関係に悪戦苦闘。そんなある日、久留里は温巳のためにお弁当を作って持たせてくれた。蓋をあけると、そこには叔母の得意料理であった「きんぴらごぼう」が詰まっていた。彼女にとって特別な一品が入ったお弁当から、温巳は彼女の想いを感じ取る。大切な人にお弁当を作る喜びを噛み締めることができる作品だ。
父と娘と女子高生が食卓を囲む、お料理ヒューマンドラマ。犬塚公平は半年前に妻を亡くした高校教師だ。公平は、母が料理屋を営んでいる教え子の飯田小鳥と、愛娘のつむぎのために美味しいご飯を作っていく。
本作の「人生を変える食事」は、妻を亡くした男が娘のために手作りする料理だ。本作の主人公・犬塚公平は、少食なうえに料理が苦手。彼が妻を亡くしてからというもの、娘のつむぎの夕食は、コンビニご飯を1人で食べることが多かった。そんなある日、食い入るように料理番組を見ていたつむぎから、「ママにこれつくってっておてがみして」とお願いされる。そこで公平はつむぎを連れて、彼の教え子である飯田小鳥の母が営む小料理屋「恵」に向かう。女将は不在だったが、代わり料理のできない小鳥が見様見真似で土鍋のご飯を作ってくれた。そのご飯をほおばり、つむぎは目を輝かせる。単なる栄養補給ではない、食卓を囲む楽しさを教えてくれる一作だ。
「忘れる」ためにご飯を食べるという、異色のグルメ漫画。結婚式当日に婚約者に逃げられ、心に深い傷を負った主人公の佐々木幸子。彼女は、婚約者のことを忘れるほど美味な一品を求め、「忘却の美食道」に足を踏み入れる。
本作の主人公・佐々木幸子は、結婚式で婚約者に逃げられても、次の日には出社してで仕事をこなすという生真面目な性格。だが、ふとしたきっかけで婚約者のことを思い出している自分に気づき、号泣してしまう。その時、たまたま口にした「サバの味噌煮定食」が、彼女の「人生を変える食事」に。サバの脂の甘さと味噌煮のタレが絡み合い、口いっぱいに広がる幸せに、婚約者を忘れるほど食事に没頭する。それは、悟りを開いたかのような忘我の境地。彼女はそれまで食事に全く興味がなかったが、その「忘却の瞬間」のために、次なる美食を求めて邁進していく。美食を全力で味わう彼女の表情が、なんとも食欲をそそる一作だ。
みんなで一緒の食事をとおして、あたたかい関係を築いていくお食事4コマ漫画。主人公の町子リョウは、ひとり暮らしの中学生。ひとりぼっちの食事に寂しい思いを抱いていた彼女だが、はとこの森野きりんや、予備校で出会った椎名とさまざまなご飯を食べに行くようになり、リョウの食事は賑やかな活気を取り戻していく。
本作に登場する「人生を変える食事」は、みんなで過ごす楽しいひと時を象徴する「寄せ鍋」だ。主人公の町子リョウは、ずっと祖母の手で育てられてきた。その祖母が他界してからはご飯がおいしく感じられず、嘆いていた。そんな時、リョウのはとこの森野きりんが、リョウの家に泊まりにくることに。きりんが寄せ鍋をとても美味しそうに頬張る姿を見て、リョウは自分の料理が下手になったわけではなく、ひとりで食べる寂しさが食事を味気なくしていたと気がつく。誰かと一緒に食べるからこそ、ご飯はおいしい。当たり前のようで忘れがちな、最高のスパイスを思い出させてくれる一作だ。