シスコンヤンキーの兄と、キョンシーの妹が織りなすほのぼのコメディ。札月(ふだつき)ケンジは同じ高校に通う妹・札月キョーコのことが心配で仕方がない。この日も、キョーコの下駄箱にラブレターを入れた男子生徒をいたぶっていた。そんな彼を止められるのはキョーコだけであり、ビンタをお見舞いすることもあるが暴走は止まらない。クラスメイトから「シスコンヤンキー」と陰口を言われるケンジだったが、彼らは誰にも言えない秘密を抱えていた。
二人は昼休みに屋上へ行き、キョーコはケンジの首元にかぶりつく。実は、キョーコの正体はキョンシーであり、彼の血を吸って栄養を摂っていたのだ。彼女の髪に結ばれたリボンが解けると見境なく人を襲ってしまうため、ケンジはキョーコを常に見守っていたのである。自分はシスコンではないとジタバタすればするほど空回りするケンジだが、優等生の日々野ハルカだけは、彼の優しさを理解していた。ケンジはハルカに好意を抱くようになり、キョーコにもまた初めての友達ができたことで、孤独だった兄妹の生活に彩りが添えられてゆく。実はケンジは妹を守るためにヤンキーのふりをするなど、シスコンの枠を超えた兄妹愛が描かれている。山本崇一朗の描く王道の温かな世界観が心地よい。
スパイ一家に婿入りした少年が、さまざまな事件に巻き込まれるアクションコメディ。主人公・朝野太陽(あさのたいよう)は、幼少期に両親と弟を交通事故で亡くしたことがきっかけで心を閉ざしていた。そんな彼が唯一心を開くのは、幼なじみの同級生・夜桜六美(むつみ)だけである。ある日太陽は、六美の差し入れた弁当を食べていたところ、教頭である昼川凶一郎の呼び出しを食らう。いきなり太陽に刃物を向ける凶一郎だったが、彼の正体は意外なものだった。
凶一郎に襲われかけ意識を失った太陽が目覚めたのは、なんと夜桜家だった。六美の姉・夜桜二刃(ふたば)曰く、実兄・凶一郎は異常なまでに六美に執着し、名前を偽って六美の日常生活を監視しているとのこと。太陽を抹殺しようとする凶一郎の魔の手が伸びる中、二刃から二人が結婚すれば家族の掟で凶一郎も手を出せないと知った太陽は、一世一代の決断を下す。壮絶な兄弟喧嘩の末、凶一郎の許しを得た太陽は夜桜家の一員としてスパイ稼業に手を染めてゆく。本作は、スパイ一家に婿入りした太陽が、両親の死の真相と夜桜家の真実に迫るさまがテンポよく描かれている。結婚したとはいえ、二人の中を事あるたびに引き裂こうとする凶一郎のシスコンぶりも痛々しく面白い。
シスコン全開の弟と、エッチな悪戯で彼を振り回す姉が織りなす変態ラブコメディ。鬼灯(ほおずき)吾郎と鬼灯ハルは、高校生の仲良し姉弟だ。吾郎は血の繋がっていないハルに密かに思いを寄せていたが、そんな彼の気持ちを知ってか知らずか、ハルはさまざまな悪戯を仕掛けていく。この日も帰宅する吾郎にセクシーな新妻コスプレで子作りを迫る発言をし、盛大に鼻血を噴かせるのだった。2014年に実写映画化。続編に『鬼灯さん家のアネキ(+妹)』がある。
吾郎は新妻ネタで迫るハルの本心がわからず、好きな男性のタイプを聞き出そうとするも「鼻割り箸でブリッジしながらタバスコ一気飲みする人」とからかわれる。しかし、本気にした吾郎はそのとおりにするが笑われてしまう。その後も学校で弁当箱を開けるとパンティが突っ込まれていたり、同級生の前で変態であることをバラされたりと散々である。吾郎は怒りをぶつけるも、ハルの超絶なキステクニックでメロメロにされてしまうのだった。本作は、小悪魔のようにセクシーな悪戯で吾郎を惑わすハルが魅力的だ。ハルの友人で、吾郎が思わずハルの彼氏かと間違えてしまったほどのボーイッシュな風貌の京子や、吾郎に恋し変態的アプローチを繰り返す美咲などユニークな登場人物も目白押しである。
極度のシスコン変態兄貴と、彼に振り回される妹が織りなすHなドタバタコメディ。田中ロザリーはごく普通の小学5年生だが、高校生の兄・オスカルに悩まされている。ある朝、ロザリーが目覚めると、彼女の横で至福の表情を浮かべ鼻血を出しながら添い寝をするオスカルの姿があった。ロザリーが驚きのあまりビンタを見舞うと、一瞬は反省する素振りを見せるオスカルだが舌の根も乾かぬうちに彼女の着替えの手伝いを買って出ようとする。
着替えの手伝いをはっきり断るロザリーだが、オスカルは怯まず無理矢理服を脱がせようとしたり、着替えを見守ろうとしたりと散々だ。おまけに彼女の部屋の中や持ち物をくまなくチェックしていることが発覚し、余計にロザリーをドン引きさせてしまう。あっという間に食事を作って振る舞う世話焼きな一面には感謝しているものの、ロザリーは兄の呪縛から逃れたくて仕方がない。本作は、病的なまでに妹に執着するオスカルのド変態ぶりが、余すことなくギャグタッチで描かれている。彼女に話しかける男子生徒を嫉妬のあまり木に括りつけたり、興奮するとすぐ全裸になったりと、狂気エピソードの数々を思う存分楽しむことができるだろう。
伊豆を舞台に、ダイビングサークルと飲み会に命を懸ける学生たちの青春グラフィティ。主人公・北原伊織(いおり)は伊豆大学に進学したのをきっかけに、おじが経営するダイビングショップ「Grand Blue(グランブルー)」に居候することに。道すがら、ダイビングスーツに身を包んだ美女の姿を見かけ期待に胸を膨らませる伊織だったが、店の扉を開けると全裸の男たちが群れる男臭い光景に出くわす。 2018年にテレビアニメ化、2020年に実写映画化。
全裸の男たちは、同じ大学のダイビングサークル「PaB」こと「Peek a Boo(ピーカブー)」の学生だった。伊織は上級生に捕まり、強引にPaBに入部させられてしまう。おまけに先程出会った美女が久々に会う従姉妹・古手川奈々華であることが判明。妹の古手川千紗も含めて同居することとなり、伊織は波乱万丈の学生生活の扉を開くのだった。本作は、大学のスポーツサークル王道の男臭い学生生活が軽快なタッチで描かれており飽きさせない。また、シスコンキャラの奈々華も強烈だ。部屋は千紗グッズで溢れていたり、伊織が千紗と噂になった際には恐ろしいオーラを放ったりと、シスコンエピソードの数々は物語に欠かせないエッセンスとなっている。