大学のスキューバダイビングサークルの賑やかな日常を描いた、お馬鹿なノリのコメディ漫画。物語の主人公である北原伊織は、伊豆大学機械工学科の新入生。入学を機に彼は、叔父が経営するダイビングショップ「グランブルー」に下宿することとなる。新生活に期待を膨らませる伊織だが、引っ越し初日、彼の目の前に展開されたのは、全裸の男たちが入り乱れる異様すぎる光景だった。
本作の舞台となる伊豆は、日本におけるレジャーダイビング発祥の地といわれる伊豆海洋公園を筆頭に、数多くのダイビングスポットが存在する、スキューバダイビングのメッカだ。主人公である北原伊織の下宿先もダイビングショップを経営しており、彼が入学した伊豆大のダイビングサークル「Peek a Boo(ピーカブー)」のたまり場となっている。伊織は引っ越し初日にサークルの面々と遭遇。彼らの強引な勧誘によって、伊織は泳げないにも関わらず、サークルに入会させられる。かくして彼は、酔っ払って馬鹿騒ぎを繰り返す先輩たちに振り回される日々を過ごすこととなる。学生サークル特有の弾けたノリの良さと、ダイビングの魅力がたっぷりと詰まったコメディ漫画だ。
まったりと釣りを楽しむ女子高生たちを描く、キャッチ&イート系フィッシング漫画。主人公である鶴木陽渚は、都会から海辺の田舎町に引っ越してきたばかりの女子高生だ。引っ越し初日、お使いに出かけた彼女は堤防で釣りをしていた少女、黒岩悠希と遭遇。彼女の手解きで陽渚は釣りを初体験する。その流れから陽渚は、転校先の海野高校で「ていぼう部」に入部することとなる。
本作の舞台である臼州地方熊元県は、九州の熊本県をモチーフにした架空の地域。主人公である鶴木陽渚が、この地域にある芦方町に引っ越してくるところから物語は幕を開ける。本来、陽渚は生き物が苦手であり、高校では手芸部に入るつもりでいた。そんな彼女は、部長である黒岩悠希の強引な勧誘を受けて「ていぼう部」に入部。当初は戸惑っていたものの、次第に釣りの面白さに目覚めていく。牧歌的な雰囲気が漂う港町で、女子高生たちが和気藹々と釣りを楽しむ姿は癒し効果満点。「ていぼう部」は「釣ったら食べる」がモットーの部活だけに、さまざまなシーフードグルメも堪能できる。ユニークな切り口のフィッシング漫画だ。
鎌倉を舞台に、複雑な事情を抱える四人姉妹の日常を繊細な筆致で描いたファミリーストーリー漫画。鎌倉で暮らす香田家三姉妹の元に、15年前に出奔した父の訃報が届くところから物語は始まる。父の葬儀に出席するため、山形に赴いた三姉妹は、そこで中学1年生の異母妹、浅野すずと出逢う。すでに母を亡くし、父の後妻と暮らしていたすずを不憫に思った長女の幸は、彼女を引き取ろうと決断する。
香田家は、看護師でしっかり者の長女の幸、鎌倉八幡信金勤務で男運の悪い次女の佳乃、そしてスポーツ店勤務で少々がさつな性格の三女、千佳の三姉妹。そこに歳の離れた異母妹である浅野すずが加わることで、物語は大きく動き始める。舞台となる鎌倉は湘南エリアの一角であり、由比ヶ浜や材木座などのメジャーな海岸を抱える、まさに「海街」だ。その一方で、数多くの神社仏閣が建ち並ぶ伝統豊かな古都でもある。本作では、四姉妹となった幸田家の面々が織りなすハートフルな物語と共に、名所やグルメスポットなどを織り交ぜつつ、鎌倉という多彩な顔を持つ街の魅力を情感たっぷり描いていく。子供時代を鎌倉で過ごした作者ならではの、郷土愛に満ちた作品だ。
南の離島で暮らす少女の日常を描いた、ほのぼのストーリー漫画。物語の舞台は沖縄諸島をモチーフにした架空の地域。主人公である小波間海(こはまうみ)は、その島のひとつである久良慶(くらげ)島に住む18歳の少女である。彼女は近くの那間古(なまこ)島にある「那間古ダイビングサービス」でインストラクター見習いとして働きつつ、島の住民たちや観光客と交流していく。
海の透明度が高く、冬でも海水温の高い沖縄諸島は、スキューバダイビングに最適なエリアである。主人公の小波間海が働く那間古島も、絶好のダイビングスポットのひとつ。もっとも、実際の沖縄諸島とは異なり、彼女が働くダイビングショップに観光客はほとんど訪れず、島民の利用客と市の援助で辛うじて営業が成り立っている状態だ。しかし、それは逆に手つかずの自然がそのまま残っているということでもある。どこまでも青く澄み渡った海と、島全体がひとつの家族のような住民たち。主人公はそんなのどかで美しい光景をデジカメに収めながら、のんびりと日々を過ごしていく。フルカラーならではの魅力が随所に感じられる作品だ。
作者自身が体当たりで経験した狩猟生活を綴った、本格派アウトドアエッセイ漫画の海バージョン。作者である岡本健太郎は、狩猟免許と銃所持許可を持つ異色の漫画家。これまで彼は、罠や猟銃を用いて野鳥や鹿、猪などを狩猟。自分自身で解体、調理して食べ、その様子を漫画にしてきた。そんな彼が、フィールドを海に移し、新たなアウトドア生活を始めていく。
タイトルからも解る通り、『山賊ダイアリー』は狩猟免許を取得した作者が、自身で経験した山を中心とする陸上での狩猟生活を描いたエッセイ漫画。本作はそのスピンオフとして、海でのアウトドアライフを綴っている。猟銃をモリに持ち替え、シュノーケルとフィンを装備して魚を突く。作者の基本的なスタンスはトライ&エラー。取り敢えず試してみて、経験から改善点を探っていくというもの。当然色々と失敗を繰り返すが、その過程が面白い。また、無駄にお金を使わないことをモットーとしているため、ペットボトルのキャップで魚のウロコを取るなど、ワイルドな工夫も随所に見られる。所謂レジャー系とは一線を画する、サバイバルに近いアウトドアぶりは舞台が海になっても健在だ。