海の浪漫（ロマン）を駆り立てられる海洋漫画オススメ５選！253 Pt.

操船に高度な技術と、天候や風を読む能力が要求される帆船。本作は海のロマンと、帆船の魅力が存分に詰まった物語だ。主人公のファン・ガンマ・ビゼンは、操船に長けた「海の一族」の中でも傑出した能力を持ち、漆黒の帆を有する「影船」を操る船乗りだ。世界の海を股にかける彼は、亡国オンタナの王女マイアと騎馬民族国家ウォルハンの国王カザルと出会う。国家間の壮大な争いに巻き込まれたファンの行動が、やがて世界の命運を左右することに。ちなみに作者は商船高専出身で、実際に大型帆船を操船した経験もある。その経験を活かした、リアリティ溢れる帆船の描写が本作の大きな魅力のひとつだ。

海賊というとファンタジーや中世の物語を連想しがちだが、現代社会にも海賊は実在する。ソマリア沖やマラッカ海峡などは、海賊が多数出没する危険な海域た。主人公の岡島緑郎（通称「ロック」）が所属する運び屋グループ「ラグーン商会」も、そんな危険な海でのビジネスを生業とする集団。知性を秘めたマッチョなタフガイのダッチ、「二挺拳銃（トゥーハンド）」の異名を持つ凄腕ガンマンのレヴィ、天才ハッカーにして優れた運転技術も兼ね備えるメカニックのベニーなど、曲者ながら確かな腕を持つ彼らは、次々と起こる危険な依頼をしたたかにこなしていく。

海上保安庁の仕事は海難救助から、日本の領海に侵入する不審船の警戒、密輸の取り締まりをしている。また、海洋の観測や海図の作成、海上交通を安全に導くための「海の管制官」と、その仕事内容は多岐にわたっている。その現場の多くは過酷そのものだ。主人公はこの海上保安庁に勤務する航海士補で、彼がこの仕事を志したのは、幼い頃、海難事故で母を亡くしたことがきっかけだった。トラウマ故の強迫観念に悩むこともあるが、ある事件を契機にそれを克服し、困難な潜水士を目指して訓練を積んでいく。

海のロマンを掻き立てるという点では、海賊を主人公とする冒険譚などは、その最たるものの一つといえるだろう。さらに本作は、ファンタジーならではの不思議な海の設定が、より冒険ロマンの香りを際立たせている。空中に浮かぶ「空島」や大型船を遥かに凌駕する体躯を持つ魚類「海王類」。男子禁制の女人国「女ヶ島」、人魚たちが暮らす海底の楽園「魚人島」など、物語が進む度に広がりを見せる創造性に富んだ世界は、読者の興味を惹きつける。そして冒険の先々で出逢う個性豊かな人々との交流と、強力な海賊や軍隊、能力者たちとの手に汗握るバトル。まさに海洋冒険ロマンの王道ともいうべき作品だ。

本作の発端となるのは、天才数学者だったデュラム教授が制作した3時間近くの映像作品。イルカの群れのロングショットから始まる映像は、冗長で退屈極まるものだったが、彼はこれを「数学論文」として発表する。学者たちは、これを事故で左脳を失った教授の哀れな奇行と受け止めるが、この映像には「完全な人工知能」の製作法という、世界を揺るがす秘密が隠されていた。主人公のテルナリこと石井光成は、その事実に気づき、野生のイルカの調査をするために沖縄の離島に移住する。そこで彼は、イルカと意思疎通できる不思議な少女と出逢う。南洋の美しい景色の中で展開される、海のロマンの香りが漂う海洋SF漫画だ。