奇奇怪怪へんてギョな魚おります!オススメ漫画5選
53 Pt.

海に囲まれた島国に住む日本人にとって、魚は日常的に目にする機会が多く、親しみやすいものだ。食料としてのみならず、ペットとしても人気が高い。今回はそんな魚をテーマにした作品の中でも、特にユニークなものを紹介する。多種多様な魚の姿にきっと驚くに違いない。

作成日時:2019-12-08 10:00 執筆者:マンガペディア公式

奇奇怪怪へんてギョな魚おります!オススメ漫画5選

出典:amazon


『勇者カタストロフ!!』

『勇者カタストロフ!!』

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剣と魔法の世界を舞台に、勇者と取り違えられた魚屋の青年が魔王討伐のために冒険するファンタジーギャグ漫画。悪の大魔王を勇者が討伐するという、ロマンある設定を欲した王様が、故意に大魔王の封印を解き、勇者「シェカネア」を呼び出そうと試みる。しかし、王の呼びかけで現れた勇者は、「シェカネア」と聞き間違えられ招聘された「魚屋(さかなや)」の男・ズックであった。いい加減な性格の王様からの無理難題にしばしば付き合わされながらも、ズックは冒険を続けていく。

何かの間違いで英雄や勇者などに取り違えられた者の悲哀を描く作品はシェイクスピア作品を例に出すまでもなく、古今東西多い。だが、本作では聞き間違えによって勇者にされてしまい、そのまま強引に世界を救う旅に出されてしまう。そして、道中の困難も、魚屋で培った知識や技術などで大抵なんとかしてしまう。ギャグ漫画ならではの巧みな展開である。設定だけならば悲劇的にも感じられる本作ではあるが、そこはズックの持ち前の明るさ、たくましさが、そうなることを許さない。スクウェア・エニックス(当時エニックス)発売のギャグ4コマ漫画集である『ドラゴンクエスト4コママンガ劇場』で商業デビューした作者の手による、剣と魔法を彼なりに調理した極上のギャグ漫画である。


『ギョ』

『ギョ』

出典:小学館

主人公の忠(ただし)と恋人の華織(かおり)が沖縄旅行で出会った奇妙な魚に翻弄されるパニックホラー漫画。忠が沖縄でのスキューバダイビング中に、弾丸のように泳ぐ生き物に遭遇、その直後にサメに襲われ、命からがら別荘に戻る。その後、華織が異臭をうったえたことで口論となり、華織は外に出て行ってしまう。忠が後を追うと、2人の周囲にものすごいスピードで動き回る生物が出現する。2012年にOVA化された。

ホラー漫画の大家・伊藤潤二の筆による、芳醇なホラー作品だ。本編冒頭に登場する、謎の存在の放つ腐った生ゴミのような異臭が、画面外に漏れだしてこちらまで伝わってくるかのような表現には思わず鼻をふさいでしまうほどだ。その異臭とともに徐々に這い寄る不気味な存在。その鳴き声ともとれる「シュー」という不穏な異音。これらの恐怖表現はさすがで、息もつかせぬものとなっている。恐ろしさからページをめくりたくないのに、先を知りたくてめくる手が止まらなくなってしまう。そんな感情に襲われる作品はそうそうないのではないだろうか。これまで100を超えるホラー漫画の名作を描いてきた作者。本作はそんな作者への読者の期待を裏切らない、とびっきり怖い名作だ。


『深海魚のアンコさん』

人魚の受け入れが盛んな町を舞台に、個性豊かな人魚たちと人間の女子高生が織り成す異文化交流コメディ。人間と人魚がともに生活する町で、チョウチンアンコウの人魚である女子高生・主人公の堤鮟子(アンコ)と、同級生で人魚好きな人間・若狭乙見(わかさおとみ)らの交流を描いている。猫や熱帯魚の人魚・通称ベタ子こと鈴木闘奈(すずきとうな)を自分の頭のアホ毛についている発光器で撃退するアンコが気になって仕方ない乙見。ひょんなことから彼女はアンコの秘密を知ってしまうのだった。

人気がある擬人化もの、そして異文化交流もの作品のよいところを併せ持った印象のある作品。本作での擬人化は人魚であるが、どれもその魚の特徴を取り入れた擬人化で、可愛らしく描かれている。そんな人魚たちや乙見らの女子高生生活などを中心とした、ほのぼのとした日常が綴られている。第1話で、人魚にとって尾ビレについての話題はセクハラにあたることが判明する。人魚は尾ビレを人間の足に変える「人魚薬」を服用することで、人間社会で暮らしているのだ。授業中に人魚薬を切らしてしまったアンコは保健室で乙見に尾ビレを見られてしまう。羞恥に涙を流すアンコであったが、乙見らに励まされ友情を深めていく。微笑ましい学園コメディである。


『身海魚―SHINKAIGYO―』

『身海魚―SHINKAIGYO―』

出典:集英社

主人公の「身海魚(しんかいぎょ)」カルカラドン1号(K‐1号)が人間と合体し、人類の脅威たるウイルスと戦う海洋SFファンタジー漫画。凶嫪范(きょうろうはん)博士が、人体を蝕むウイルスを滅するべく生み出したのが、治療用の生物「身海魚」であるサメ型のK‐1号。彼は狂暴な性格で、彼自身が人類の脅威となりかねない存在であったが、心優しい少年・諏訪(すわ)大吉と合体したことでその妹の寿(ことぶき)を守るため、ウイルスと戦うことになる。

人体を海に見立て、治療用の生物としての「身海魚」とウイルスとの戦いを主題としたのがまずユニークだ。狂暴であったK‐1号が、妹想いの少年・大吉と一つになったことで、自身に芽生えた他者を思いやる心に戸惑いながらも、ウイルスと戦い続ける姿には胸を打たれる。ウイルスという悪と戦う、もう一つの「悪」K‐1号という図式をベースに、K‐1号に芽生えていく思いやりの感情を描いた本作。設定自体は王道といえるものだが、絵柄や物語、登場人物などに関しては、やや大人向きの味付けがなされた作品だったように感じられる。週刊少年ジャンプに連載された本作は短命に終わったが、その後の作者の青年誌での活躍を見ると、やはり元々確かな力を持っていた作家であったことを痛感される。


『マリンハンター』

『マリンハンター』

出典:小学館

世界が海に沈んだ21世紀末を舞台に、海洋生物の力を手に入れた人間「フィッシュハーフ(FH)」の少年と仲間たちが、その世界を統治する帝国海軍の本拠地を目指す海洋冒険アクション漫画。物語はサメのFHである主人公のシャークと、海賊船にとらわれていた少女・グッピーが出会うことで始まる。シャークの強大なサメの力を抑制するために帝国が取り付けた拘束具「ツリバリ」にグッピーが触れてしまったことで、グッピーとシャークは主従の関係になってしまう。

血を見ると魚類最強のFHであるサメの力が解放され、暴走・狂暴化してしまうシャーク。その力を止めることのできる「ツリバリ」の主となったグッピーとの海洋冒険が作品の主軸となっている。同様のモチーフでは、古くは「西遊記」の玄奘三蔵法師と、従者たる孫悟空の力を抑制する輪「緊箍児(きんこじ)」があり、そういった意味でも王道の物語だ。加えて本作独自の要素として、海洋生物の力を宿す人間であるFHの多様な特徴も面白い。例えば、第1話に登場するコブダイのFHであるアゴシリーの固いコブによる強力な頭突きなど、その外見的特徴が戦闘能力に反映されている。少年漫画らしいロマンある世界観に加え、能力バトル要素も備え持つ海洋冒険譚である。


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