命を守るスペシャリストたちを描いた救急漫画44 Pt.

火事や海難などから人々を守る救急隊員の活躍を特集

作成日時:2018-09-09 10:00 執筆者:マンガペディア公式

命を守るスペシャリストたちを描いた救急漫画

出典:小学館

ときに己を身を危険に晒してまで命を守る職業。子どもが憧れる職業に挙げられることも多い消防士をはじめ、海上保安庁や自衛隊の救難隊、医療機関の救命士など、彼らの生き様を描いた作品を紹介する。


『4分間のマリーゴールド』

出典:小学館

救命士の主人公・花巻みことには不思議な能力がある。手を重ねた人の「死の運命」が見えるのだ。そして血の繋がらない姉であり、恋する女性でもある沙羅が1年後に死ぬ運命を見てしまう。1分1秒を大切に過ごそうとする救命士の、祈るように切実な愛の物語。

「4分」というのは、救命処置において助かる確率が50%を切ると言われる時間制限のこと。みことは作中で、「4分が運命の別れ道という気がする」と述懐する。相手の死の運命を見てしまうことは「どれだけ手を尽くしても助からない人が分かってしまう」ということ。この超能力は、救命士にとって非常に残酷な能力だ。まして大切な人の運命を見てしまったときの心痛はどれほどのものか。血の繋がらない姉弟の恋物語だが、1分1秒を愛する人と過ごすことの大切さを繊細に描き出している。運命のときが刻一刻と近づいてくる中、果たしてみことは運命を変えることができるのか。命について深く考えさせられる作品だ。


作者は『ブラックジャックによろしく』の佐藤秀峰。海上保安官である仙崎大輔を主人公に、海難救助を主とした彼らの活躍を描いた職業漫画だ。実際に起きた事件をモチーフにした話も多く、ドラマ化や4度に渡る実写映画化を果たしている。

「海猿」という言葉は作中の造語で、実際に海上保安庁の職員や救助隊員がこう呼ばれることはない。密航船の救出や、クルーザーの遭難、航空機事故や海賊船の追跡など、陸に住む人々には馴染みがなくとも、海にはトラブルが満ちている。仙崎ら海上保安官はこれらの救命現場に向かい、例え相手が違法な行為をしていても「まずは命を助ける」ことを最優先にして行動している。もちろん海保職員たちも命がけだ。自らも命の危機に晒されることになるし、ときには他国からの不審船を追跡するという危険な任務に就くこともある。それまで自衛隊に比べて注目される頻度の低かった海上保安庁にスポットを当てた意欲作だ。


不良だった主人公・朝比奈大吾は命の恩人である五味と出会い、消防士になる。しかし配属されたのは、めったに火事が起きない、"め組"と揶揄されるめだかヶ浜出張所。市民の防災意識も高く、平和な町だが、乱開発などから徐々に災害が発生するようになり、大吾は様々な現場を経験して成長していく。

この作品の根底にあるテーマの一つであり、大吾が直面することになるジレンマが「レスキューが活躍し、ヒーローになるということは、誰かが不幸になっているから」というもの。大吾の恩人である五味もこの葛藤に長年悩まされていた。しかし、大吾の成長を目の当たりにして、彼もまた消防隊員の司令塔として成長していく。またヒロインであり、大吾の担任である落合静香や、大吾同様に五味に命を救われ、災害対策チームを作るために奔走する忍足ミキなど、登場人物たちはいずれも強い使命感を持つ。人命救助への期待と尊敬が満ちている作品だ。


自衛隊組織である救難隊のリアルな描写と、救助活動の息を呑む迫真さで話題を呼んだアニメ「よみがえる空 -RESCUE WINGS-」(2006年)のシリーズ作品の一つ。航空自衛隊小松基地に配属になった女性パイロット・川島遥風や川原泉を中心に、救難隊の活躍が描かれている。

基本的なコンセプトと舞台である小松基地は共通しているものの、アニメとは主人公が異なる。漫画の主人公・川島遥風は、自衛隊の戦闘機パイロットで殉職した父に憧れて同じ道を目指すも叶わず、救難ヘリコプターのパイロットとなる。こういった経歴は、実は航空自衛隊では珍しくない。戦闘機パイロットから適性を失って転向する人もいるとのこと。最初は不本意だった遥風も、現場を経験する中で救難隊が重要な仕事であることを理解し、全力で救命活動に当たっていく。リアルな描写に加え、遥風の葛藤や心境の変化も本作の見どころだ。


海上保安庁羽田特殊救難基地の「特殊救難隊(トッキュー)」を舞台にした救難隊の活躍を描いた作品。新米潜水士・神林兵悟は、ある海難事故で出会ったトッキュー隊員に憧れて入隊した青年。仲間たちと支え合い、ときにぶつかり合いながら、全国各地で起こる海難事故に立ち向かっていく。

漁師の息子として育った兵悟が、地元の第七管区佐世保海上保安部に入隊したところから、物語は始まる。真面目一徹で「人助けバカ」の兵悟や、上司の坂崎、バディの櫻井たちは、一見陽気だが、いざ人命救助になると雰囲気が一転するのが、とにかくカッコイイ。また、兵悟の憧れの人である真田甚は、作中を通して一貫した「最高の男」である。「神兵」のあだ名は、彼の名前と、「彼が出動した海難で救えなかった救助者はいない」という伝説からつけられたもの。厳しい訓練、除隊などの現実に直面しながらも人命を救助するプロフェッショナルの活躍に、胸が熱くなる。ヒロインのユリと兵悟の関係も、もどかしいながらも応援したいポイントだ。


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