ひと回り以上も年上の男性と恋に落ちる女性の物語。エリート会社員の堂薗つぐみは、長期休暇を祖母の家で過ごしていた。そんなある日、とある50代の男性が訪ねてくる。彼は祖母から離れの鍵をもらって住むことにした哲学者の海江田醇。つぐみは、マイペースながら好意を示してくれる海江田に惹かれていく。2015年実写映画化。
ヒロインのつぐみは几帳面で有能。大企業に勤めエリートコースを歩んでいたが、仕事に対しての気力を失いつつあり、30代も半ばを過ぎには祖母の家で隠居生活状態に。そんな彼女は、祖母と親交があった哲学者の海江田と、母屋と離れとはいえ同居生活をすることになる。海江田はつぐみよりもひと回り以上も年上だが、海江田はつぐみに好意を持ち、積極的にアピールする。恋愛関係に不器用なつぐみは、海江田のアプローチに戸惑うも誠実な彼に惹かれていく。やがて2人の気持ちが通じ合い、年齢差やお互いの過去を乗り越えて夫婦として愛情を育んでいく。
熟年夫婦の離婚の危機を、妻と娘の視点から描いた物語。武井勝と妻の有喜子は、結婚44年目の夫婦。3人の子どもも独立し、夫婦と飼い猫「チビ」と暮らしていた。しかし、ある日チビが失踪する。心配で不安でたまらない有喜子に対し、勝はそっけない態度をとってしまう。2019年『初恋〜お父さん、チビがいなくなりました』のタイトルで実写映画化。
口数が少ない勝は、定年退職後に趣味の将棋に通う日々。有喜子は、知人の夫婦が一緒に旅行に出かけるのを羨ましく思っていた。そんな寂しさを理解しない勝に対して不満が高まっていた有喜子は、チビの失踪をきっかけに離婚を考える。勝と有喜子は見合い結婚で、有喜子は勝に恋していたが、勝はそうでなかったかもしれないと。有喜子から離婚を考えていると聞かされた末っ子の菜穂子は驚愕する。そんな菜穂子も、ひと回りも年下の後輩・山崎からアプローチをかけられ悩んでいた。山崎は勝の将棋仲間となり、周囲を固めようとする。そのような中、有喜子は菜穂子からのアドバイスでペット探偵を雇う。
とある高校の演劇部に所属する少女たちの青春オムニバスストーリー。背が高く男役が多いけれど本当は心が乙女な玉井、舞台役者に恋して通いつめる宮園、下ネタが得意な脚本担当の山王、カッパに執着する優等生の佐々貫、苦労人で部長の樋高。彼女たちの「イケてない」青春物語が描かれる。2007年実写映画化。
本作の主人公は、県立川中高校の演劇部に所属する玉井、宮園、山王、佐々貫、樋高の5人の女生徒たち。それぞれが、ひと夏に体験した「イケてない」日々を描いた青春モノだ。第1話は、夏休みの間に女子大のサマースクーリングに参加した玉井の物語。玉井は背が高く、顔立ちも男前な女の子。しかし、本当は乙女趣味で、用意された寮の部屋もポプリの香りで満たしていた。部屋で劇の練習をする時は、自分の役ではないが娘役を演じていた。その様子を、別の高校から来た刈川に目撃されてしまう。だが、刈川は玉井を否定せずに、彼女の好きなものを認めてくれた。玉井は、「求められている自分」ではなく「自分の好きな自分」を見せる勇気を持つようになる。
亡き妻の「ヒトガタ」を創る御隠居の人間ドラマ。時は明治。科学に興味を持つ少年の兼森誠一は、ある日、呉服屋「萩原屋」の御隠居である萩原正毅が「ヒトガタ(ロボット)」を造っているという噂を聞く。噂は真実で、御隠居は亡き妻「いく」のヒトガタを制作していた。兼森は、御隠居に無理やり弟子入りする。
御隠居の外見は、還暦を過ぎた老人でありながら、萩原屋の現店主をしている息子の禅二郎よりも若い。妻のいくに先立たれた25歳の時から、容姿が変わらなくなっていた。その理由を、あの世で妻に会った時に年寄りだと嫌だと思ったからだ、と一人納得していた。そこまで惚れ込んだ妻は、震えが走るぐらいの美女だったという。御隠居は妻そっくりのヒトガタを作ることに熱中しており、科学少年の兼森はその技術に惚れこみ、無理やり弟子入りする。そんな中、陰謀によって萩原屋を揺るがす事件が起き、御隠居は命懸けの決断をする。
結婚に悩む女性の複雑な心境と恋を描いた物語。会社員の斉藤美由紀は、彼女の部屋で売れない劇団員の一法師護(いっぽうしまもる)と同棲していた。しかし突然、彼に出ていくように告げる。28歳になった美由紀は、護と別れて婚活をするが上手くいかず思い悩む。そんな時、彼女に偶然の出会いがあった。
主人公の美由紀は、両親が恋愛結婚ながら上手くいかなかったことから、恋愛結婚はしないという主義を持っていた。そのため、護と付き合いを始める際、結婚向きの相手ができたら別れると宣言していた。護に別れを切り出し婚活を始めるも上手くいかず、偶然訪れた読書カフェの伝言ノートに愚痴を綴った。だが、その愚痴に対し辛辣な返信がくる。彼女に返信したのは、同じ会社の五十代の男性・高橋だった。美由紀と高橋は親子ほども年が離れていたが、仕事ができて夢も持っている彼に惹かれ始める。一方、婚活で出会った野田は穏やかな性格の男性。思い悩む美由紀は、同僚の言葉から自分の結婚観を見つめ直すことにする。そんな時、両親の離婚の真相を知る。