概要・あらすじ
登場人物・キャラクター
柳 勘九郎 (やなぎ かんくろう)
左目に古傷がある逞しい男性の柔道家。登場時19歳。鬼勘と呼ばれ、必殺技鬼巻き込みを編み出す。九州小倉で生まれ、起倒流柔術の達人である父柳秋水から過酷な修練を受けて育つ。明治38年(1905年)講道館に挑戦するため上京する。素朴で正義感が強いが、様々な出会いと別れを経て、時に悩む顔を見せるようになる。
柳 秋水 (やなぎ しゅうすい)
白髪に髭の男性。柳勘九郎の父。九州小倉で起倒流柔術の柳道場を開くが、我が子柳勘九郎にケイコ衣を残して息を引き取る。講道館の創始者嘉納治五郎に挑戦した過去を持つ。
松柴 久三
柳勘九郎の父柳秋水の知己。白髪を短く刈った老人。車屋を営む傍ら、講道館の武技顧問をつとめている。雇っている矢崎正介達車夫も皆講道館の門人。柔術は文明社会では無用の遺物になったとし、講道館への挑戦のために訪ねてきた柳勘九郎に講道館への入門を勧める。
万竜 (まんりゅう)
和服に日本髪で涼しげな眼元の女性。女掏摸。柳勘九郎の財布を掏ったことが縁で、家に下宿させる。表向きは浮世絵の師匠で鈴木春信の血を引くと自称する。切符のよい姐御肌で、何かと柳勘九郎の面倒を見る。
新橋の欣二 (しんばしのきんじ)
散切り頭に歌舞伎絵のような顔の男。どもりのあるしゃべり方が特徴。ヤクザの一本松一家の代貸し。女掏摸の万竜に惚れ、口説こうとしているが相手にされない。万竜の家に下宿を始めた柳勘九郎に敵意を向けるが、その後は争いをためらうようになる。
矢崎 正介 (やざき しょうすけ)
凛々しい顔立ちの男性で柔道家。講道館四段の段位を持ち、実力は随一。バイオリン弾きや松柴久三の元で車夫をしていた時に、講道館に挑戦しようとする柳勘九郎と出会い、不思議な縁で結ばれる。後に早稲田大学に進み、卒業後は早稲田実業学校で教師をしながら小説を書き、柔道の鍛錬を続ける。
矢崎 千鶴 (やざき ちづる)
和服に日本髪の女性。柔道家矢崎正介の妹。ヤクザの親分一本松辰治郎に狙われ、その子分の新橋の欣二言い寄られていたところを柳勘九郎に助けられる。柳勘九郎が兄の矢崎正介とたびたび会うようになって顔を合わせる機会が増え、やがてお互いに意識し始めるようになる。後に出版社の博文堂に勤務する。
高峰 真理子 (たかみね まりこ)
日本髪の令嬢。父は政友会に所属する内務次官高峰男爵。父の書生となった矢崎正介と惹かれ合うが、両親からは交際を反対され続ける。女子高等師範学校に進んだ後は青踏社に出入りし、飛行士の訓練を受けるなど先進的な考えを持つようになる。
酒井 源助 (さかい げんすけ)
長髪に髭、杖をついた男性。院外団誠忠党の党首。ヤクザの一本松辰治郎や高杉男爵と通じ、組織する誠忠党の面々を動かして暴力を働き利権を貪る。
一本松 辰治郎 (いっぽんまつ たつじろう)
禿げあがった頭の老人。浅草一帯を縄張りとする一本松一家を組織する博徒。狡猾で目的のためには卑劣な手も使う。院外団誠忠党の党首酒井源助と結びつき、内務次官高山男爵を通じて政治の力を利用とした権益にも手を出している。
醍醐寺 雪山 (だいごじ せつざん)
両脇が跳ねた白髪に白鬚の老人。深川を縄張りとする侠客。仁義を重んじる大親分で、柳勘九郎に目をかける。柳勘九郎の父柳秋水の若き日の姿を知る。
加治木 (かじき)
東京特別集収監の服役囚で第二雑居房の総元締め。巨体で坊主頭に黒い丸眼鏡の男性。児島弁を話す。出獄後、革命家宮崎滔天、講道館四天王の一人西郷四郎と共に、服役時に知り合った柳勘九郎を訪ねる。
駒子 (こまこ)
登場時16歳の女性。窃盗を働こうとして講道館に忍び込み、柔道家矢崎正介に取り押さえられ、矢崎正介と妹矢崎千鶴の世話で身なりを整えカフェで女給として働く。登場時は薄汚い身なりでボサボサの髪だった。男のような乱暴な口調で話す。カフェを訪れた柳勘九郎と出会ってからは、後を追うようになる。
竹中 豪珍 (たけなか ごうちん)
いがぐり頭に跳ねた髭、大きな身体の男性。矢崎正介の早稲田大学の同級生。目指した道をはずれてしまった矢崎正介を叱咤する。私娼窟撲滅運動に署名しながら、女郎屋に入り浸る女好き。後に政治家を志す。
関連
柔侠伝シリーズ (じゅうきょうでんしりーず)
4代100年にわたる柔道家の人生と、その技を受け継ぐ者の物語。 関連ページ:柔侠伝シリーズ