「ハガレン」の愛称で知られる荒川弘の初連載作にして代表作。錬金術が科学として発展した架空国家「アメストリス」を舞台に、幼くして母親を亡くしたエドワードとアルフォンスの兄弟の冒険と成長を描いた物語。二人は禁忌の人体錬成に挑戦するが、失敗の代償としてエドワードは右腕と左足を、アルフォンスは肉体のすべてを失ってしまう。そして彼らは、失った身体を取り戻すため「賢者の石」を求めて旅立つ。政府直属としてさまざまな特権を持つ国家錬金術師となったエドワードは「鋼」の二つ名を得て、魂を鎧に宿したアルフォンスと共に真実を追う中で、アメストリスをめぐる陰謀と人造人間「ホムンクルス」との戦いに巻き込まれていく。本作は、錬金術ファンタジーとミリタリーアクションを融合させた作品で、錬金術における「等価交換」の原理を基軸に、人体錬成の禁忌や生命の尊厳をテーマとしている。錬金術は円陣を用いた化学反応や物質変換として描写され、機械義肢「機械鎧(オートメイル)」の構造も詳細に表現される。国家錬金術師制度や軍事組織の階級制度が確立された世界観が構築されており、国土全体を錬成陣とする「血の紋」の存在が、賢者の石の生成において重要な鍵を握っている。スクウェア・エニックス「月刊少年ガンガン」2001年8月号から2010年7月号まで連載。2004年に第49回「小学館漫画賞」少年向け部門、2011年に第15回「手塚治虫文化賞」新生賞、第42回「星雲賞」コミック部門など数々の賞を受賞。2003年10月のテレビアニメ化をはじめ、劇場アニメ化、実写映画化、ゲーム化などメディアミックスも多数行われている。