大悪魔で、ゆるふわ美少女のベルゼブブ閣下と、その部下となった青年・ミュリンの日常を描くラブコメディ。ベルゼブブ閣下は、魔界の行政機関、万魔殿(パンデモニウム)で数十万の悪魔を統べる存在。知的でクールな君主として憧れていた新人職員・ミュリンは、期待に胸をふくらませてベルゼブブ閣下の近侍になる。しかしベルゼブブ閣下は、モフモフした毛玉を偏愛するゆるふわ天然美少女だった。2018年にテレビアニメ化。
世にも愛らしい姿をしたベルゼブブが登場する本作。ラブリーな絵柄からも、とても悪魔とは思えない。そんな見た目は完全に美少女なベルゼブブ閣下は、不在のサタンにかわりバリバリと激務をこなす万魔殿の君主である。一般悪魔は口をきく機会すらない高みの存在である彼女に、一方的に憧れをつのらせていたミュリンは、近侍として仕えることでその実態を知ることになる。ベルゼブブ閣下は、モフモフの生物・ケサランパサランの毛並みを堪能するために全裸で睡眠。モフモフを愛するあまり、ほこりもおいかける。視察に出れば町で迷子。ミュリンはベルゼブブ閣下のイメージとのギャップあふれる天然でゆるふわな奇行に振り回されつつも、萌えを感じてしまうのだった。
魔界の実力者にして美貌の公爵アスタロトが活躍するゴシックミステリー。舞台は中世ヨーロッパ、死んだ恋人を甦らせたいと願った少年が召喚してしまったのは、美しいが強大な力をもつ悪魔。魔界における四大実力者の一人・アスタロト公爵だった。魔夜峰央の画業45周年を記念して、初期の傑作『アスタロト』に連なる作品を収録した愛蔵版。豪華ゲストによる特別寄稿や未完である『アスタロト』のプロットについてのインタビューも収録している。
主人公のアスタロトは、長い黒髪をもつ美しき大悪魔。悪魔らしく冷酷で移り気ではあるが、気高く、弱い者には優しい一面ものぞかせる魅力的なキャラクターだ。魔夜峰央の他の作品に姿を見せることもあり、代表作『パタリロ!』にも登場している。ベルゼブブ(本作ではベールゼブブと表記)は、そんなアスタロトと敵対するライバルとして登場する。魔界において、ベルゼブブはアスタロト、ルキフェル、ベールと並んで、四大実力者の一角を占めているのだ。サタンが王として君臨する魔界で悪魔たちは互いを牽制し合いながら均衡を保ってきた。しかし、ある裏切りによって魔界は次第に混迷し、アスタロトはベルゼブブと敵対姿勢を強めていく。
悪魔を使ってどんな事件も解決する悪魔探偵事務所を舞台に、しょうもない悪魔と人間がおりなすギャグ漫画。佐隈りん子は芥辺(あくたべ)探偵事務所でバイトする女子大生。ある日、所長の芥辺が、悪魔を召喚・使役して事件を解決する悪魔探偵であることを知らされる。しかし、芥辺が召喚したのは、特技はセクハラ、見た目はメタボな犬の悪魔・アザゼル篤史だった。2011年、2013年の2度にわたりテレビアニメ化された。
アザゼルをはじめ、本作は個性豊かな悪魔が登場する。アザゼルのいい加減すぎる仕事ぶりに呆れていたりん子だったが、芥辺によって悪魔使いの能力を見出され、アザゼルを使役する契約者にされてしまう。ベルゼブブは、アザゼルの幼馴染みベルゼブブ優一として登場。優一は、魔界の名門ベルゼブブ家の931世なのだ。しかし、見た目は限りなくペンギン。蠅の王という異名の通り、背中には蠅のような羽があり、嗜好も蠅そのもの。残念なことに好物は糞尿で、周囲からはスカトロ呼ばわりされてしまう。そのせいなのか、カレーに異様な思い入れがあるのがおかしい。ブラックなギャグとマスコットのような悪魔たちの姿のギャップも楽しい作品だ。
世界中の誰もが知る聖人、ブッダとイエスが現代日本でルームシェアする日常系コメディ。目覚めた人・ブッダと神の子・イエスは、世紀末を無事に乗り越えたご褒美として下界でバカンスを過ごすことに。現代日本、東京は立川のアパートでルームシェアをスタートさせる。聖人という尊い身分を隠し、普通の人として日々を送る姿がコミカルに描かれる。劇場版アニメ映画、実写ドラマと幅広く展開した。
紛うことなき聖人でありながら、現代日本の生活に意外なほど溶け込み、俗世間に染まりまくるブッダとイエスの姿が笑える作品だ。2人をとりまく、天界や地獄の面々も同様で、ベルゼブブの初登場もインターネット経由という俗っぽさ。堕天使ルシファーのフェイスブックに友人として写真がアップされたのだ。ロングヘアの少年のような姿をしているが、蠅の王なので、自らも蠅に変身できる。いやがらせしようと立川のアパートに蠅に変身してやってきたことも。しかし、部下の蠅たちがブッダが麺つゆで作った蠅とりトラップに撃退されている。そんな彼にとっては、蠅とり紙や蠅たたきは大量破壊兵器。悪魔だけど、蠅にはやさしいベルゼブブなのだ。
水不足にあえぐ世界で、魔族の王子・ベルゼブブと元将軍の人間・シバが幻の泉を求めて旅に出る冒険譚。人間の愚かな行いや戦争、天変地異が重なり、地上が砂漠化した世界。たった一つしかない水源は私腹を肥やす国王に支配される中、そこに暮らす人も魔族も水不足にあえいでいた。ある日、魔族の王子・ベルゼブブは人間の保安官ラオ(シバ)から、幻の泉を探す手伝いを依頼される。ベルゼブブは、物知りで盗みが得意なシーフをお伴に探索の旅に参加する。
本作のベルゼブブは、魔族を統べる王・サタンの息子だ。極悪非道の魔族と嘯きつつも、困っている人間に水を分け与えたりする優しいところもある。探索の旅に協力するかわりにと、ラオからゲームを献上されたベルゼブブは、俄然やる気になり、威厳たっぷりの父・サタンから探索の旅への許可を得るのだった。父のサタンはベルゼブブの修行になるだろうと息子を送りだすが、「ゲームは1日1時間まで、明るい部屋で画面から離れてすること」というあたり、魔族といえどもヤンチャな小学生の子供と父のような感じだ。好奇心旺盛な性格らしく、初めて運転する車にシーフと共に大興奮したりもする。ガキ大将の少年のようなベルゼブブの痛快な冒険が楽しめる。