クラスで一番の美少女と平凡な少年の交流を描いた青春ラブコメディ。只野仁人(ただのひとひと)は、なるべく目立たずに高校生活を送りたいと思っている高校生。しかし、クラスで絶大な人気を誇る美少女・古見硝子(こみしょうこ)の隣席となり、平穏な日々を過ごすことは難しくなってしまう。ある日、古見が秘めていた想いを知った只野は彼女の友人第一号となり、彼女の友人作りに協力することになる。2021年9月テレビドラマ化、2021年10月テレビアニメ化。
本作では、クラスではマドンナ的存在である古見が、実は人付き合いを苦手とする「コミュ症」ということに只野が気付くことから物語が大きく動き出す。美少女オーラを放っている古見は一人でいても凛としており、クラスメイトたちに一切興味が無いように見える。しかし、本当のところはコミュ症で人に話しかけられないという悩みを持っており、「友達100人作ること」が夢なのだ。普段はポーカーフェイスの古見だが、只野の協力を得て少しずつ友人を増やしていき、嬉しいと感じた時には少し飛び上がるなど、可愛らしい一面を見せることも。悩みに一緒に向き合ってくれる良き理解者を得られたなら、誰でも明るい未来へ繋げていけるという希望を感じさせてくれる作品だ。
本好きの先輩に片思いをしている少年と下宿先の住人たちが過ごす賑やかな日常を描いたラブコメディ。一人暮らしをすることになった男子高校生の宇佐和成は「河合荘」を下宿先に決める。そこには図書室で気になっていた先輩・河合律も住んでおり、幸先の良いスタートのように思えた。しかし、河合荘の住人はマゾ気質の城崎志弦、下ネタ好きでダメ男に弱い錦野麻弓など面倒な人たちが多く、気苦労が絶えない日々が始まった。2014年テレビアニメ化。
本作に登場するコミュ障キャラは、宇佐が想いを寄せている先輩・律だ。一人でいるのが好きで、家でも学校でも隙さえあればいつでも本を読んでいるほどの本好きでもある。宇佐が律のことを前々から気になっていたのも、図書室で本を読む律の姿をよく見かけていたからだ。彼女が河合荘に住んでいるのは偶然ではなく、管理人の河合住子とは親戚関係で、河合荘は律の母が家主だったため。他の住人に不快なことをされると家賃の値上げをすると脅しをかけるなど、口数は少なくとも律は河合荘で強い権力を持っている。律は基本的に無口で不愛想で宇佐のアプローチに対しても塩対応。しかし、不意に見せる笑顔はキュートで、そのギャップもまた彼女の魅力といえるだろう。
都会に憧れを持つ田舎暮らしの巫女とヒグマが繰り広げる日常系ファンタジーコメディ漫画。東北地方のとある山奥に住む14歳の少女・雨宿(あまやどり)まちは、熊手神社に仕える巫女。電波が届かず娯楽も少ない田舎暮らしに我慢の限界がきており、進学先は地元ではなく憧れの都会の高校を希望している。しかし、熊手神社に奉られているヒグマのクマ井ナツは猛反対。まちには絶対都会暮らしは無理だと言い放ち、様々な試練を与えるようになる。2016年テレビアニメ化。
山奥で暮らしてきたまちにとって、ナツは一番近しい存在であり、良き理解者だ。まちは機械音痴に加えてコミュ障でもあり、幼い時から仲良しのナツや従兄の良夫とは普通に話すことができるが、他人と話すのは不得意。山奥で生まれ育ったために、自動改札機の通り方も分からない。ナツは一般的な熊とは異なり、熊手村の伝説のクマと人の間に生まれたクマ井一族の子孫とされており、人の言葉を話すことができる。何故か都会の情報に詳しいナツを通じてまちは少しずつ都会について様々なことを知っていく。また、良夫は役場に勤めており、まちと村人を繋げる橋渡し役でもある。やがて熊手村が村おこしをすることになり、まちとナツも熊手村のPRのために、駆り出されることになる。
気が弱い主人公が新たな仲間と出会うことでエースとして成長していく青春野球漫画。三橋廉(れん)は、埼玉県の西浦高校に入学したばかりの新入生。遠目に野球部を見学していたところ、熱血監督・百枝まりあに捕まり、発足したての野球部に投手として入部することに。三橋は野球経験者ではあるものの、とある事情により投手としての自信を喪失していたが、捕手・阿部隆也をはじめとした良き仲間に恵まれ、真のエースとしての実力を発揮していく。2007年テレビアニメ化。
三橋は泣き虫で人に気持ちを伝えることが苦手なコミュ障だ。野球において、投手がコミュ障だと上手くいかないことは想像に難くない。特に捕手との人間関係は重要で、試合を大きく左右する。中学時代は勝てない上に経営者が三橋の祖父だったため、チームメイトたちからはひいきだと蔑まれ、エースだと認めて貰えなかった。しかし、三橋は球速こそ遅いものの、優れた制球力を持ち、エースの素質を十分に持っていた。西浦高校に進学した三橋は、捕手の阿部とバッテリーを組み、彼に今迄の努力を誉められ、良い投手だと認めて貰えたことで自尊心と投手としての自信を取り戻していく。チームメイトたちとも心を通わせ、チーム一丸となって本気で甲子園を目指すようになる。
傷を抱えている高校生たちの心の交流を描く青春群像劇。長井龍雪、岡田麿里、田中将賀によるアニメーション制作チーム・超平和バスターズが原作を手掛けた同名の劇場版アニメのコミカライズ作品。高校生の成瀬順、坂上拓実、仁藤菜月、田崎大樹は「地域ふれあい交流会」実行委員に任命され、クラスでミュージカルを行うことに。人と話せない順がヒロインを演じ、今まで胸に抱えてきた本当の気持ちを、ミュージカルを通じて伝えようと励むことになる。
順が言葉を話そうとすると腹痛が起き、人と話せないコミュ障になってしまったのは、両親の離婚が大きく影響している。順が子供の頃に憧れていた「山の上のお城」が実はラブホテルであり、そこで目撃した父親のことを悪気無く母親に話したせいで両親は離婚。おしゃべりな性格が災いとなったことで、順は「呪い」という形でおしゃべりを封印したのだった。歌では腹痛が起きないことを知って順は希望を見出すが、二人三脚で拓実とミュージカル作りを進める内に恋心を抱くようになっていく。徐々に実行委員各々が抱えている問題が浮き彫りになるが、本音を隠したままでは大切なことは伝わらない。思春期の少年少女たちの繊細な心をリアルさと切なさを交えて描いた傑作だ。