白銀の世界が広がる!! 雪降る季節に読みたい漫画オススメ5選15 Pt.

空から落ちてくる氷の結晶。様々な不具合が起きようとも、雪が降り積もるさまには自然界の神秘を感じ、見惚れずにはいられない。美しくも眩しい白銀の世界を舞台にした作品には、それだけで厳しさと清廉さが感じられる。雪降る季節に読みたい作品を集めた。

作成日時:2022-01-25 19:00 執筆者:マンガペディア公式

白銀の世界が広がる!! 雪降る季節に読みたい漫画オススメ5選

出典:小学館


『雪花の虎』

『雪花の虎』

出典:小学館

毘沙門天の化身として女だてらに武将として育てられた主人公が、乱世を生き抜いていく歴史大河ドラマ。越後一帯を治め、春日山城を持つ長尾家。当主の長尾為景(ためかげ)の妻、お紺が身ごもった時、夢枕に毘沙門天が立った。為景に嫡男はいるが、戦嫌いで身体が弱く、跡継ぎとして不安視する声も多い。毘沙門天の化身として期待が高まるが、産まれてきたのは女の子だった。為景は姉の綾と比べて男の子らしい身体をした子に「虎千代」と名付け、姫武将として育てると宣言するのだった。

歴史的な事象を現代に伝える資料は、主に文書である。誰も実際に見たことがない。だからこそ、戦国武将は女説が出てくる。本作は越後の龍といわれた戦国最強とも言われる武将、上杉謙信が実は女性だった、という設定で物語が進んでいく。物語冒頭で謙信女説の根拠が語られていくのだが、本当にそうなのかもと思わせてから物語に入っていける。とはいえ、兄の晴景(はるかげ)が「男はしんどい」と漏らしているのだから、一国の城主の跡取りが楽なわけがない。神の献身であろうとも虎千代、後の謙信には苦難が降り注ぐ。越後は現在の新潟県一帯。冬になれば深い雪に覆われる。戦場に立てば苛烈さを見せるが、雪の白さゆえだろうか、汚れなき清廉さがまさしく神の化身らしく、人外の雰囲気を漂わせる。


『雪にツバサ』

『雪にツバサ』

出典:講談社

超能力を持つ主人公が、レイプされかけた女子高生を超能力で助けた結果、その子自身が超能力者だと思い込まれてしまい、彼女を助けるために奮闘するヒューマンラブストーリー。翼は超能力を持つ中学生。物を動かすしかできない自身の能力を「小能力」と称し、幼馴染に誘われて不良グループに所属している。街のゲームセンターで遊んでいるとき、言語障害を持つ女子高生の雪が不良グループに連れ込まれる現場を目撃してしまう。雪の声なき言葉を見た翼は、自分の能力で雪を助けるのだった。

翼は超能力を持っている。手を使わずにジュースを飲み、リモコンを操作せずエアコンやテレビの操作ができる。日常的には便利な能力だなと感じるのは、持たざる者の感想だろうか。翼本人としては大きな葛藤がある様子である。そんな彼に訪れたのが「能力で誰かを救う」機会であるが、能力を活かす方向性に感心した。華奢な女子高生の雪の身体を、格闘技ゲームのキャラクターのように超能力で操作するのである。雪は自分に能力があるのでは、と勘違いしてしまうが、実際に操作されたら爽快感があるだろう。舞台は北国にある温泉街。雪が降りしきる街はどこかくたびれており、昭和レトロな空気が漂う。雪の中に立つ雪は、儚げなのにどこか力強い。生きる力に満ちた姿に惹きつけられる。


『千年の雪』

『千年の雪』

出典:amazon

心臓病を患い入退院を繰り返す主人公が、血を吸わない吸血鬼の少年と出会い、パートナー関係となって想いを深めていくピュアラブストーリー。松岡千雪(ちゆき)は重い心臓の病気を抱えている。ある日、病院の屋上から人が転落するところを目撃してしまう。慌てて探しに行った先にいたのは、吸血鬼の少年・叶冬哉(かのうとうや)だった。血を吸うことを拒む冬哉だが、吸血鬼には時間を分け与える代わりに血を供給してもらうパートナーが不可欠。立候補する千雪だったが、急な発作に襲われるのだった。

終わりが近づいているとき、目の前の生きる手段に縋りつきたいと考える。一方、永遠ともいえる長い時を生きるとするのならば、終わりが見えることは儚いと感じるのかもしれない。千雪は15歳までしか生きられない身体と言われ、17歳まで生きた。雪が降る前に生まれた彼女の名前には、千年先の雪まで見ることができますようにという両親の願いが込められている。自身の身体の限界を痛感している千雪が冬哉と出会い、パートナーに志願してしまうのは致し方ないだろう。線が細く冬哉が嫌う人間の儚さを体現する千雪であるが、生きることに貪欲だ。自分を生かそう、生きたいと渇望する千雪は、降りしきる雪の中に凛と立つ木々を彷彿させる。雪の中にも生命の輝きはあるのだと実感させられた。


『雪人 YUKITO』

『雪人 YUKITO』

出典:小学館

父親が殺された事件を追う元警察官が、事件にかかわる人々と出会い真相に迫っていくハードボイルドサスペンス。女子高生の藤田杏(あん)は、友人に誘われて、ぼったくりバーの客引きアルバイトをしている。ある日、駅前で周囲の人とは違った雰囲気の男を見かける。梶雪人(かじゆきと)と名乗った男は、北国訛りの強い男だった。友人と一緒に雪人をバーに誘った杏。2人が席を離れると、強面の男が金銭を強請り取ろうとするが、雪人は動じず反撃するのだった。原作は大沢在昌の小説『北の狩人』。

本作の主人公、梶雪人は秋田県で警察官をしていたが、同じく警官だった父親が殺された事件を調査するべく上京してきた。そこで杏と出会うのだが、杏は一目見て雪人の持つ異質な空気に惹きつけられる。上京してきた人間のもの慣れなさではない、静かな厳しさが雪人の目には漂っていた。雪人のもつ静かで芯が揺るがない、澄んだような独特な空気は、父の死の真相を追うという決意はもちろんだが、住んでいた環境も影響しているだろう。秋田県は雪深い土地だ。新宿のビル街にいるよりも、静かに降り積もる雪の中に立つ方がしっくりとくる。将来を嘱望されながらも、退職する覚悟で事件を捜査する雪人は揺るがない。その静かな力強さに、敵対関係にある相手すらも惹きつけられる。


『雪女と蟹を食う』

『雪女と蟹を食う』

出典:講談社

死を決意したが死にきれなかった男が蟹を食べようと決意し、偶然出会った人妻宅に押し入り金銭を要求した結果一緒に旅をしていくヒューマンドラマ。27歳の北は夏の暑い最中、自殺しようと決意するが死にきれないでいた。偶然見ていたテレビのリポーターが蟹を食べているところを見て、蟹を食べてから死のうと決意する。豪遊するには資金が足りず、そんな時図書館で見かけた人妻、雪枝彩女(ゆきえだあやめ)の後をつける。金銭を要求する北に、彩女は意外なことを告げるのだった。

黙って食事をさせるには、蟹を食べさせるのが良いらしい。美味しさのあまり、皆が黙々と蟹の身をほじり続ける。映像とレポートだけで1人の命を救ったとは蟹も想像しなかったことだろう。蟹には人を惹きつける魅力がある。北と彩女の目指す先は北海道。旅の始まりは暑い夏の盛りだ。この作品のどこに雪の要素があるのかといえば、彩女の持つ雰囲気である。夏の最中であるのに汗ひとつかいていなさそうな涼しげな雰囲気。肌が白く、知的で清楚でありながら妖艶さも秘めている。北は彩女を雪女にたとえたが、纏う空気は雪のような冷たさだ。それは彩女の抱える仄暗い感情や事情に関連してくる。タイトルは軽快だが、二人の旅は死を目指す旅だ。夏に降る雪。そんなありえない景色が見えてくる。


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