無人島が舞台の漫画34 Pt.

ジュール・ヴェルヌの小説「十五少年漂流記」に代表されるように、「無人島に流されてしまった子どもたちのサバイバル」は、いつの時代も人々の心を惹きつけてやまない。そんな知恵と勇気で生き延びていく人々を描いた作品を紹介する。

遊園地の潜水艇に忍び込んだところ、偶然居合わせた5人の少年少女。彼らは事故によって海に放り出され、漂流した末、無人島に辿り着く。無人島で、彼らは生き残るために食べ物を集め、現地の動物と触れ合って過ごす。リーダー格である竜太とイガオは、互いに我が強く、いがみ合いもしょっちゅうだ。その度に、竜太の妹・トマトに諫められたり、ムードメーカーのカボのおとぼけに助けられたりして仲直りする。彼らは、イカダを作って脱出しようともするが、子どもなので簡単にはうまくいかず、試行錯誤の連続だ。学者肌のキュウリの知識に期待が集まるが、それも完全ではない。彼らが時にぶつかり合い、時に力を合わせて困難に立ち向かっていく様を見守りたい。

本作の最大の特徴は、無人島で行われる殺し合い「BTOOOM!」が、爆弾を武器とするデスゲームであることだ。「BTOOOM!」の参加者は、時限式や接触式、リモコン式といった、様々なタイプの爆弾「BIM」を用いて戦う。主人公・坂本竜太は、ネットゲーム版「BTOOOM!」のトッププレイヤー。無人島での「BTOOOM!」でも、トップらしい機転で爆弾を使いこなし、生き残っていく。また、「BTOOOM!」の参加者が、全員、身近な誰かに「消えてほしい」と思われていた人物であることも特徴だ。無人島でのバトルロイヤルを通じて、坂本や参加者たちは「誰かに消されたいほど恨まれたり疎まれていた」自分の人生を見つめ直す。知略の限りを尽くした爆弾による殺し合いと、参加者の精神的な変化がめまぐるしい一作である。

飛行機事故によって無人島に流されたのは、4人の女子高校生だった。うち3人はごく普通の女子高生なのだが、鬼島ほまれだけは様子が違った。ほまれは、元・軍人の父親に、ありとあらゆるサバイバル技術を叩き込まれていたのだ。ほまれの実践的なサバイバル技術の数々は、幾度となく3人を救う。とはいえ、遭難直後に、水分補給のために生魚を絞った生き血を飲んで見せて、3人をどん引きさせたこともある。そんな彼女のおかげで、女子高校生4人のサバイバル生活は、殺伐としたものにならずに済んでいる。どこか緩いながらも、無人島を脱出するために奮闘する彼女たちを見守りたい。無人島における水の確保、簡易アレルギーテストといった、本格的なサバイバルの知識も盛り込まれているので、いざ遭難したときのための勉強にもなる一作だ。

本作で無人島に遭難したのは、なんと、魔界を支配する魔王だ。膨大な魔力を得るために、魔王は配下の四天王を引き連れ、人間界を侵略しに来た。しかし、転送装置の不具合で、無人島に漂流してしまう。おまけに、人間界では得意の魔法も使えない。魔法を使って火を起こすことも、空を飛ぶこともできない。魔王と四天王は、人間界の絶海の孤島に閉じ込められてしまったのだ。魔王といえども、飢えや渇きに苦しんでいるときには、誇りになど構っていられない。魔王や四天王がプライドを捨てて生き残ろうとしてもがく様は応援せずにはいられないし、笑ってしまうこと請け合いだ。

本作における無人島は、12年前に島中の男が海で行方不明になってしまったため、男が誰もいない（＝無人）島・藍蘭島だ。主人公の男子中学生・東方院行人は、乗っていた船から転落して漂流し、藍蘭島に流れつく。藍蘭島に住む女の子は、男を見るのが初めてという子も多い。そんな環境ゆえに、女の子たちは、行人の目の前で平然とあられもない姿になってしまう。行人は、そんな彼女たちの姿を見ては鼻血を吹き出すのがお約束。しかし行人は、根が真面目で、昔気質の硬派な性格。そんな環境にいながら、女の子たちには紳士的に対応する。また、藍蘭島の動物たちは、デフォルメされた姿で描かれていて、その可愛さも楽しめる。可愛い女の子とおかしな動物や妖怪に囲まれる、ドタバタな日常を堪能してほしい。