産まれたての小鹿かっ!?足の震えが止まらない漫画特集83 Pt.

とてつもない「力」の前で、思わず足が震えてしまう者たちを描いた作品や、衝撃と感動でアドレナリン放出確定のタイトルなど。読めば“震え”がとまらなくなる漫画5作品を紹介。

本作は犯人捜しのミステリーだが、タイムリープというSF的要素も盛り込まれている。“28歳の記憶”を持ったまま、小学生の頃にタイムスリップした主人公の悟。本来の時間では殺されてしまった同級生を守り、犯人を突き止めようと奔走する。だが外見が子どもでは、手の出せない問題が乱立。困難な状況に立ち向かう悟に、母や友だちが手を差し伸べてくれたり、未来では叶わなかった願いが成就したりなど、思わず足が“震える”感動がちりばめられている。だが最も衝撃的なのは、犯人の正体が明かされるシーンだろう。犯人は誰か!? 決定的瞬間に“震える”こと間違いなしだ！

大金が飛び交う、裏レート麻雀の世界。暴力団が率いる代打ち集団の一員として、スリリングな勝負に挑む少年雀士・圭こと「K」の死闘を描いた、ダークな雰囲気の麻雀漫画だ。負ければ生命すら失う非情な勝負の場で、相手が仕掛けてくる技や様々なイカサマを、Kは冷静な観察力と記憶力によって看破。「どうしたの、震えてるよ」の決めゼリフとともに打ち破っていく闘牌シーンの決着は、まさに“震える”ようなカタルシスを感じさせてくれる。ほかにも、人身売買組織の手先との勝負でKが手に入れた異国の少女・アミナを巡るドラマや、裏社会の住人たちが敗者に与える残酷な運命など、読者をハラハラ、ドキドキさせるエピソードが満載だ。

女子高生×ルール無用のストリートファイトという異色の組み合わせが、独特の世界観をかもし出している作品。主人公の摩季は、人目をひく高身長とずば抜けた身体能力を持つ、無敗無敵の個性派ファイター。空中戦に特に秀でていることから、“エアマスター”と呼ばれている。そんな彼女を取り巻く他のファイターたちも、誰ひとりとして没個性な者がいない。愛の言葉を叫びながら戦う者、最高に強い自分を証明したくて戦う者など、癖のあるキャラたちが繰り出す予期せぬ行動は、衝撃の連続。読者も興奮で“震える”こと間違いなしだ。

「絶対個性主義」を掲げる「花は桜木学園」を舞台にした格闘＆ラブストーリー。登場人物の多くは、何らかの格闘スキルを有しており、己の個性を主張するために戦いを繰り広げている。中盤から登場する学園理事長・二千恵理人は「愛の存在」を確かめるため、生徒たちの「個性」を過剰に競わせ潰させ合う。反発した鴨は徹底抗戦の構えで、教師としてどんな生徒にも手を差し伸べようとする。カギューはそんな鴨を助けるために戦い、困難を乗り越えていく！ 独特の構図で描かれるアクションの数々と、鴨へ向けられたカギューの「愛」に、読む者の“震え”は止まらなくなるだろう。

華やかな貴族文化が爛熟とも呼べる発展を遂げる一方、平民たちが圧政に苦しんでいた18世紀末のフランス。本作は、革命の足音が近づく激動の時代を生きたシャルル＝アンリ・サンソンと、その一族の物語を描いた物語だ。死刑執行人という、権威はあれど人々に蔑まれる職を世襲で受け継いだシャルルは、自らの手で他人に死を与えることに苦悩しつつも、一族の当主として成長していく。深い業を背負うサンソン家の者たちの運命は、震えずして読めないほどに衝撃的だ。読む者の心をさらに震えさせるのが、作者・坂本眞一の圧倒的な画力。貴族文化が生んだ豪奢な建築物や服装、凄惨な処刑シーン、作者独自の解釈と想像力で描かれる登場人物たちの心象風景など、緻密に描き込まれた絵が、ストーリーに圧倒的な重厚感を与えている。