漢臭さに酔い痴れる狩撫麻礼作品特集94 Pt.

2018年11月23日に公開された映画「ハード・コア」の原作者 ・狩撫麻礼作品を紹介!

作成日時:2018-12-10 10:00 執筆者:マンガペディア公式

漢臭さに酔い痴れる狩撫麻礼作品特集

出典:KADOKAWA

狩撫麻礼は、谷口ジローやかわぐちかいじらと組み、数々の名作を世に送り出した漫画原作者だ。特に、社会の枠に収まらないアウトローや、無骨でマッチョな男たちによる、ハードボイルドな物語には定評がある。そんな狩撫麻礼の作品をピックアップ。


都会の片隅で暮らす不器用な男たちの生き様を描いた、狩撫麻礼原作のハートフルなヒューマン・ドラマ。物語の主人公・権藤右近は、大学を卒業したものの、就職に失敗。定職に就かないまま、独り身で生きてきた35歳の男性だ。彼が頼れるのは、商社マンの弟・左近のみ。友人と呼べるのは、埋蔵金発掘現場で共に働く牛山だけ。そんな右近の不遇の人生は、不思議なロボットとの出逢いをきっかけに変わり始める。

狩撫麻礼作品の主人公は、社会のはみ出し者、いわゆるアウトローな人物が多い。本作の主人公・権藤右近も同様だ。ただし右近は、狩撫麻礼作品主人公の多くを占める、「確固たる個の力を持ち、自ら社会に背を向ける」生き方を選んだタイプではない。右近は、周囲と折り合いを付けるのが苦手で、かっとなっては暴力に走りがち。純粋だが、それ故に社会から爪弾きにされてしまった男である。そんな右近には、エリート商社マンの弟・左近がいる。左近は、兄の起こすトラブルの尻拭いにうんざりしつつ、しがらみが一切ない右近の立場を羨む一面もあった。立場は真逆だが、共に鬱屈した感情を抱える兄弟は、ある日、1体のロボットと出逢う。驚異的な性能と、優しさを兼ね備えたロボットは、兄弟の人生に大きな変化をもたらしていく。


『ギィルティ』

出典:小学館

映画作りに情熱を注ぐ、型破りなシナリオライターの奮闘を描いた、狩撫麻礼が原作のドラマティックなストーリー。主人公・新海正彦は、自らの才能を信じるシナリオライターだ。彼は、全ての誘惑を断ち切るため、無人島に籠もり、シナリオ作りに没頭してきた。やがて10年の歳月が過ぎ、シナリオを完成させた正彦は、意気揚々と無人島を離れ、映画製作に動き出す。

本作の主人公・新海正彦は、あらゆる意味で規格外だ。まず何よりも、シナリオ作りのために無人島に籠もるという発想が尋常ではない。確かに、シナリオに集中できることは間違いない。その一方で、世間の情報や流行とも隔絶されるのだ。時流に乗ることも重要な映画のシナリオ製作では、逆効果ともなり得る。自分の書くシナリオには、一過性の流行廃りは関係ない。そんな自信がなければ出来ない決断といえる。そして10年もの間、ひとりで無人島で生き抜いたバイタリティも並大抵ではない。豪放磊落な性格と、怪力も併せ持つ正彦は、まさにスケールの大きな男である。しかしシナリオ完成後、正彦はかつて志を同じくした盟友に裏切られる。次々と立ち塞がる障害に、正彦がどう対処していくのかが、物語の見所だ。


普通の枠に収まりきらない男たちの生き様を描いた、狩撫麻礼が原作のコメディタッチのハードボイルド漫画。主人公・蜂須賀は、ユーラシア大陸を10年放浪した後、日本に帰国。放浪中に知り合った男・久保田庸介が住む、ボロアパート「月光荘」に転がり込む。蜂須賀は、社会の枠に囚われる普通の生き方に馴染めない。その一方で、弱者を食い物にするような、人の道に外れたマネをするつもりもない。彼は、自らを社会の境界線上を生きる者「ボーダー」と称して、自由で破天荒な日々を過ごしていく。

本作の主人公・蜂須賀は、良くも悪くも捉え所のない男だ。彼は30歳で衝動的に日本を飛び出し、10年もの間ユーラシア大陸を放浪。帰国後も、いい加減で自堕落な生活を送る彼は、周囲に迷惑を掛けることも多い。その一方で蜂須賀は、困っている人を見過ごせない、情に厚い面もある。また、ボクシングの心得があり、腕っ節はかなりのモノ。さらに、旅の情景を詩的に表現し、ドラムを巧みに演奏する。蜂須賀は多芸な男である。そして、蜂須賀の相棒的な存在である久保田庸介も、かなりの曲者だ。久保田は、イケメンで面倒見が良く遊び上手。女性関係のコネも豊富だが、何故か貧乏暮しに甘んじている。そんな「ボーダー」な彼らは、同じアパートに住む受験生・木村健吾を巻き込み、波瀾万丈な日々を送っていく。


自分自身の美学にこだわる、不器用な一匹狼の私立探偵の活躍を描く、狩撫麻礼が原作のヒューマニティに富んだハードボイルド・ドラマ。主人公・土岐正造は、神田に小さな事務所を構える一匹狼の私立探偵だ。「管理社会」を嫌悪する彼は、己の心の赴くままに依頼を受ける。そして、彼独自のハードでルーズな価値観に基づいて仕事をこなす。そんな彼の元には、様々な依頼が舞い込んでくる。

私立探偵の仕事は、綺麗事だけでは済まない部分が数多くある。浮気の調査や、産業スパイ、時には犯罪まがいの仕事まで。しかし、本作の主人公・土岐正造は、その綺麗事にこだわる男だ。たとえ仕事であっても、どれだけ高額なギャラを積まれても、自分の信条に反することはしない。もっとも彼の信条は、ガチガチに凝り固まったモノではない。事情によっては譲歩もするし、相手の物腰次第で、出来そうにない依頼でも引き受けてしまう。また土岐は、依頼の達成より、情や義理を優先することも多い。それこそ、彼が身を置く世界を「ハードでルーズ」と称する所以だ。政治家にヤクザ、芸能人、娼婦たち。様々な依頼人を相手に展開される土岐の物語は、実にドラマティックだ。


『BOX暗い箱』

出典:amazon

対照的なボクサー2人の対決を軸に展開される、狩撫麻礼が原作のマッチョイズムに満ちた重厚なドラマ。物語の舞台は、高度経済成長期に差し掛かっていた東京。上野にある田島ボクシングジムには、2人のボクサーがいた。1人は、世界も狙える逸材として期待される俊英・吉岡猛。そしてもう1人は、不真面目で戦績もパッとしない首藤悟。日本王者との試合を控えていた吉岡は、首藤とスパーリングを行う。そこで驚くべきことが起る。なんと、吉岡は、首藤の強烈な連打を受けてダウンしてしまったのだ。

狩撫麻礼は、ボクシングには造詣が深く、自分自身の部屋にサンドバッグがあったほど。狩撫麻礼の作品の主人公には、ボクシングの心得を持つ者が多い。そんな彼がボクシング漫画の原作を書くのは、必然といっても良いだろう。狩撫麻礼は、本作以外にも、『青の戦士』『ナックルウォーズ』ほか、ボクシング漫画の原作を手掛けている。本作で特徴的なのは、2人のボクサーの対比だ。吉岡猛は、周囲の期待を受けるエリート。一方の首藤悟は、誰からも期待されない野生児。首藤はロクに練習もせず、心の内にある何かを吐き出すためだけにリングに上るような男である。戦績も、吉岡とは比べ物にならない。そんな首藤の存在は、吉岡の心の中で次第に大きくなっていく。


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