天才的頭脳と優れた運動神経に加え、異常な妄想癖のある主人公が織り成すエロティック学園ラブコメディ。函館向陽高校に通う村上直樹は、秀才かつサッカー部のエース。東大受験に備えて部活を辞めた直樹は、親友・佐野義昭に誘われてテニスの試合を見に行く。そこで同じ高校の女子テニス部・水野遥に一目ぼれ。翌日すぐに交際を申し込み、天真爛漫な性格の遥から快諾されて交際をスタートさせる。そんな直樹には、先のことを早く読み過ぎるがための異常な妄想癖があった。1994年にドラマ化、2006年に実写映画化。
東大に現役合格する能力は十分にあった直樹だが、試験前日に浮気をし、遥に対する罪悪感で不合格となる。一方の遥は、東大にストレート合格。翌年、遥に1年遅れて東大に合格した直樹だったが、人一倍寂しがり屋の性格もあって癒しを求めるかのようにさまざまな女性たちと関係を持つ。しかし、遥への思いは常に心に抱いていた。瞬時に先々の事を見通して想像してしまう異常な妄想癖から、物語は、直樹の女性に対するエロティックな脳内妄想を中心に展開していくが、最終話には「ドカーンとした結末」が待っている。ネット上でも色々と物議を呼んだこの終わり方を、ぜひご自分の目で見て欲しい。
自分は天才で、東京大学に合格できると信じ込んでいる主人公が、周囲を巻き込んで騒動を起こしていく学園ギャグコメディ。お灘中学校に転校してきた東大通(とうだいとおる)は、坊主頭にハチマキ、上を向いたブタ鼻に丸縁眼鏡で、「せからしか〜」とコテコテの博多弁を話す。前の中学校ではトップだったと自負するが、実はとんでもないおバカ劣等生だった。しかし、そのことに全く気が付いていない通は、周囲の迷惑も顧みず、東大を目指して一直線に突き進んでいく。
タイトル通り東大目指して一直線の通だが、実際の成績レベルは、1点はどうにか取れる程度。高校も四流校の肥ノ為高校にすら落ちてしまう。そんな通が、チョンマゲ先生の勧めで、毎年定年割れの出る優秀館高校に何とか入学。すると、マークシート式の試験で全国1位を獲得するなど、非凡な才能を見せるようになる。本作は、小林よしのりの漫画家として初めての連載作品。激動の世代と言われた1970年代の世相や社会情勢が、独特のシニカルなタッチで描かれている。「験勉してる?親指大ね!(親指を突き立てる)」は、作品内で生まれたギャグフレーズ。本作では、通の東大受験までは描かれていないので、続編『東大快進撃』も含めて、東大受験に挑む通の姿を最後まで見届けて欲しい。
経営破綻に追い込まれた高校の清算を任された弁護士が、進学校にすることで再建しようと奮闘する学園ヒューマンストーリー。主人公・桜木健二は、学校法人龍山学園の財政難に伴って担当弁護士に着任した。元暴走族という経歴を持つ異色の人物だ。最初こそ、清算を前提に動いていた桜木だが、進学校として立て直すほうが再建には早道ではないかという逆転の発想から、「5年後に東大合格者を100人出す」という突拍子もない計画を提案する。2005年にドラマ化。
桜木は龍山高校を進学校に転身させるために、受験指導で大きな実績を上げていた教師たちを各方面から集めて「特別進学クラス」を開設。同時に、中学生以下の学力レベルだった生徒たちの担任となり、自らの経験を踏まえた常識破りの勉強法を指導する。その一例が「スクラム勉強法」。世界史のように範囲の広い科目を数人で分担し、ポイントを分かりやすくまとめたものを皆で共有してテストに挑むというものだ。「スクラムを組んでゴールを狙う」とは、ラグビーの精神と同じで、お互いの信頼関係と責任感の上に成り立つと言えるだろう。桜木の提案した数々の型破りな勉強法は、漫画という枠を超えて、受験業界にも大きな波紋を呼んだ。
女子寮の管理人になった主人公が、寮生の女の子たちに翻弄されるハーレム型ラブコメディ。浦島景太郎は、幼い頃に出会った女の子と交わした、「東大合格」の約束を守るべく猛勉強を開始する。しかし、不合格となり、すでに二浪の身だ。成績の悪さから家を追い出された彼は、祖母の経営する温泉旅館を頼ろうとするが、すでに「ひなた寮」という女子寮に改築されていた。諸事情からやむなく寮の管理人を任されることになった景太郎は、寮に住む5人の女の子たちの面倒をみる羽目になる。2000年にテレビアニメ化。
本作の主人公・景太郎は、東大合格を目指して猛勉強するはずが、女の子に囲まれて、てんやわんやの日々。最初は、寮生の成瀬川なる・前原しのぶ・青山素子・カオラスゥ・紺野みつから嫌われていたが、ひとりひとりの個性と真摯に向き合うことで、少しずつ心を通わせていく。次第に、彼女たちの存在が、受験勉強に心折れそうになる景太郎の心を癒すように。しかし、キツイ性格のなるだけは、景太郎と同じく東大を受験するライバルでもあるため、なかなか心を開いてくれなかった。実は、本作には、もう1人のヒロインが存在する。それは、景太郎が幼き日に出会った女の子。果たしてこの女の子の正体は誰なのか?景太郎は、東大に合格して彼女と再会を果たすことができるのか?その答えの鍵は「ひなた寮」にある。
偏差値48から東大に合格した女子高生の奮戦記を描いたコミックエッセイ。作者・大石蘭の実体験に基づく作品だ。舞台は、2005年の福岡。ロリータファッションに身を包み、東京での生活を夢見る大石蘭は、中高一貫の女子校に通う中学3年生。とにかく可愛いものに囲まれていたい彼女のお気に入りは、ファンタジーの世界に連れて行ってくれるお洋服たちと邦楽ロックだった。放課後、進路指導室に呼ばれ、将来について聞かれた蘭は、今まで自分がやってきたことが全て中途半端に思われて落ち込む。そして、悩み抜いた結果、自分の壁をぶち壊すために「猛勉強すること」を決意する。
「限界まで行ったら、どう自分が変われるか試してみたい」と一念発起した蘭が選んだのが、当初の偏差値レベルでは無謀にも思われる東大受験だ。彼女は、大人なっても大好きな夢の延長で生きて行けると信じていたが、進路相談で現実の自分を突き付けらる。しかし、可能性をぶつけられるものは勉強だと見定め、「妄想(ユメ)を現実(ホント)にするために東京に行きたい」の一念で、東大合格を目指して奮闘する。現在、女性カルチャー誌の執筆もこなす、東京大学総合文化学科卒のイラストレーターとして活躍している作者の存在そのものも、強烈なメッセージを放っていると言えそうだ。