釣りの魅力に目覚めた平凡なサラリーマンが、その趣味のためにドタバタを引き起こす釣り好きサラリーマンコメディ。主人公・青年サラリーマンの浜崎伝助(はまさきでんすけ・ハマちゃん)が、上司の佐々木和男に誘われて行った釣りの面白さに目覚めて「釣りバカ」としての日々を送る様子を描く。スピンオフ作品として『釣りバカ日誌 番外編』シリーズがある。2002年にテレビアニメ化。2015年・2017年・2019年にテレビドラマ化。1988年より幾度にもわたる実写映画化がなされている。
出世には無関心のマイペースな釣り好きサラリーマンの悲喜こもごもの日常を描いた本作。ハマちゃんは、自社の社長である鈴木一之助(すずきいちのすけ・スーさん)とひょんなことから釣りの師弟関係となる。社長であるスーさんに、釣りの師匠として仰がれる一般社員のハマちゃんという構図がまず面白い。また、2人はお互いの素性を知った上でもニックネームで呼び合える気やすい関係であるというのも、微笑ましい点だ。そうした凸凹コンビの友情を中心に、「釣りバカ」であるハマちゃんが引き起こす騒動や、それに振り回される同僚や家族といった周囲の日常がコミカルに描かれている。1979年より続く原作のみならず、実写映画も高い人気をほこり、愛され続けている国民的釣り漫画である。
島国を舞台に、主人公である10歳の国王が個性豊かなキャラクターらを巻き込み騒動を起こすギャグ漫画。マリネラ国の10歳の王子(のちに国王)「パタリロ・ド・マリネール8世」が、そのボディガードを依頼された英諜報機関の美形スパイ・バンコランと出会うことから物語は始まる。スピンオフ作品としては『家政夫パタリロ!』シリーズなどが存在する。1982年にテレビアニメ化。1983年に劇場アニメ化。2016年・2018年に舞台化。2019年に実写映画化している。
自称美少年の国王・パタリロが側近のタマネギ部隊、英国の美形エリートスパイのバンコランや、その愛人の美少年・マライヒなどを巻き込み、日々騒動を巻き起こす一話完結形式の抱腹絶倒のギャグ漫画である本作。ギャグのネタのレパートリーは音楽・妖怪・SF・ホラーなど、実に多彩でなんでもありの欲張りな作風である。また、上記のバンコランをはじめ、美形キャラが多く、ボーイズラブ的な描写がしばしば登場し、時代を先取りしている点も見逃せない。その時々の流行を取り入れた時事ネタなども多く、世情を反映しているのも特徴であるが、ギャグが冴えているために古さを感じさせない。1978年に連載が開始し、現在も高い人気を博す本作。少女漫画界屈指の人気長寿作品である。
2人の新聞記者が後世に残るメニューを作成すべく取り組むグルメ漫画。東西新聞文化部に配属された新入社員・栗田ゆう子とぐうたら社員の山岡士郎の2人が、社の重大事業「究極のメニュー」の担当者に選ばれたことから物語は始まる。そして、山岡の実父である美食家・芸術家の海原雄山(かいばらゆうざん)がライバル社・帝都新聞の「至高のメニュー」を監修し、対決の様相を呈していく。1988年にテレビアニメ化。1994年にテレビドラマ化。1996年に実写映画化している。
本作は美食をテーマに、料理そのものから料理人の本質にいたるまで深く掘り下げ、読者に強く問いを投げかけてくる作品である。食べ物の味について語られるだけでなく、食を通した山岡と栗田の成長物語としても読むことができる。「究極のメニュー」と「至高のメニュー」の対決を軸に、食を通じて人間の生き方・精神性までも描こうとしている。また、母の死がきっかけで反目し合う父子、海原雄山と山岡士郎の和解がいかにして果たされるのかも本作の重要なテーマだ。1983年に連載が開始して以来、食とそれに関わる人間に対して真剣に向き合い、社会に対して厳しい問題提起をいち早く行い、世のグルメブームをけん引するだけでなく、その世情に警鐘を鳴らし続けてもきた、日本における食漫画の最重要作である。
高い料理技術を持つサラリーマンパパが家族のために腕を振るう一話完結形式の料理漫画。金丸産業に勤める多忙なサラリーマン・荒岩一味(あらいわかずみ)。大きな体躯が特徴の彼は家に帰れば家族のためにおいしい料理を振る舞う日々。料理は作るのも食べるのも好きで、何よりも、食べてくれる家族の笑顔が大好きな荒岩。その笑顔のため、日々料理を作り続けるのだった。1992年にテレビアニメ化。2008年に実写テレビドラマ化された。
1985年より始まった本作。連載当初、男性が家庭で料理することはまだ今ほど一般的ではなかったため、それを鑑みて荒岩は料理をすることを会社では隠しており、自ら作って持参していた弁当も愛妻弁当と思わされていた。それが時流の変化により、荒岩の料理好きが会社でばれてしまってからは、荒岩のみならず、他のキャラクターも男女ともに料理に親しむことが多くなった。長期連載ならではの面白い変化であるといえる。なお、時代が変わっても、本作に通底する家庭料理をテーマとした温かなホームドラマは健在であり、読者を楽しませてくれている。家庭料理漫画の金字塔であり、また同時に家族の温かさを描き続けている傑作である。
超一流のスナイパー(狙撃手)・暗殺者である主人公の活躍を描いた一話完結形式のアクションハードボイルド劇画。国籍・年齢・本名の全てが不明のスナイパー「ゴルゴ13」ことデューク東郷。彼は請け負った狙撃の依頼のためならば、いかなる手段を使ってでも完遂するプロの暗殺者であり、裏社会のトップに位置する者で知らぬ者がいないほどの腕前だ。1973年・1977年に実写映画化。1983年に劇場アニメ化。1998年にビデオアニメ化。1971年・2008年にテレビアニメ化された。
第1話で、ゴルゴは英国諜報部に雇われる。大戦末期に莫大な偽札を隠匿した元ナチの親衛隊長を消すことがその目的である。孤高のスナイパーであるゴルゴの存在感、裏切りや策謀が渦巻くハードボイルドな世界が第1話にして確立されている。また「音もなくゴルゴの後ろに立たない」という有名なルールがすでに登場している点も面白い。1968年より連載が開始した本作が、現代にいたるまで、世界情勢や科学技術などの情報を取り入れアップデートされ続けているという点も驚きである。ゴルゴ自身のキャラクターの濃さから、パロディ化されることもあるが、それだけインパクトが強い作品という証左でもあるだろう。劇画の代名詞であり、今なお記録が更新され続ける伝説的作品だ。