殺人事件が相次ぐ幽霊塔に隠された財宝の謎を、さえない貧乏青年が男装の麗人に導かれ共に追うサスペンスミステリー。原案は黒岩涙香の翻案小説『幽霊塔』。舞台は昭和29年の神戸、天野太一は、金も仕事もなく下宿代にもことかく日々を送っていた。ところが、町で偶然出会った謎の美青年・沢村鉄雄に窮地を救われたことをきっかけに、時計台のある豪奢な屋敷、幽霊塔の管理人の仕事につくことに。しかし、そこは殺人事件の現場となったいわつきの屋敷だった。
時計塔をいただく立派なお屋敷ながら、今は誰も住むことのない幽霊塔。時計は長い間とまっており、時を刻むことはない。しかし、その時計が2年前の夜、百数十年ぶりにただ一度だけ動いたことがあった。屋敷の主である資産家の老婆・藤宮たつが幽霊塔の時計の針に体を捻じ曲げられて殺されたのだ。以来、老婆の幽霊が出るという噂が絶えない。いわくつきとなった幽霊塔だが、もう一つ大きな謎を抱えていた。幽霊塔の内部には莫大な財宝が隠されているというのだ。太一を幽霊塔へと導いた謎の青年・鉄雄は幽霊塔の財宝探しを手伝えば、「金も名誉も女もすべて手に入る」と財宝探しに協力するよう誘うのだった。しかし、再び幽霊塔では殺人が起こり始めてしまう。
時計店のお姉さん・冠さんが店を訪れる人々と時計を通じて交流する姿を描く日常系ハートウォーミングストーリー。冠綾子(かんむり あやこ)は町で小さな時計屋「冠時計店」を営んでいる。たった一人で店を切り盛りし、時計技士として修理も引き受ける。仕事熱心な冠さんは、修理のために徹夜してしまうことも。しかし、それもすべて大切な時計を預けてくれたお客さんの期待に応えるため。町の時計屋さんのお姉さん・冠さんのおだやかな日常を描く。
祖父の忘れ形見の古い時計や、複雑な構造をもつ高価な機械式の腕時計。冠時計店には様々な修理の相談がもちこまれる。「時計はただ時を刻むだけの道具じゃない 身に付けて一緒の時間を過ごすうちにその人にとっても家族にとってもかけがえのないものになる」。そんな信念を持つ冠さんの誠実な人柄と、時計技士としての腕の確かさで、お客さんから頼りにされているのだ。冠さんは時計を甦らせることで、人々が時計と共に過ごしてきた時間を再び動かしていく。初めて自分で購入した時計や、新婚旅行の思い出の時計、目が悪くなってきたおばあちゃんのために購入した時計、人々が人生の節目で出合う様々な種類の時計たちの思い出と共に、時計にまつわる蘊蓄にもふれることができる作品だ。
懐中時計の力で大正時代に行き来できるようになった女子高生の不思議でほっこりした日常を描く4コマ漫画。ミーナの祖父が遺した形見の懐中時計には、時間旅行ができる不思議な力があるという。ある日、時計を学校にもってきたミーナは、仲良しのすみれと一緒に使ってみることに。気が付いた時には二人は見知らぬ街におり、どこかしら街にはクラシカルな雰囲気が漂っていた。ミーナとすみれは、本当に大正時代にタイムスリップしていたのだった。
古いものが好きだったというミーナの祖父が遺した懐中時計は「時間旅行ができる時計」。軽い気持ちでこの不思議な時計を使ってみたミーナと仲良しの友達すみれ。時計の力でやってきた世界はなんと「大正44年」。史実では大正時代は、15年間しかないはずなのに、ミーナとすみれは存在しないはずの大正44年にやってきていたのだ。ヱ驚き慌てるミーナとすみれだったが、大正ロマンあふれる世界で出会った喫茶ラクヱンの店主・ナツや、妹のハルと出会い、思わぬ共通点で気が合って意気投合して仲良くなっていく。少しずつ不思議な時間旅行を楽しみはじめた二人は、現代と大正時代を行き来しながら、不思議な力を持つ懐中時計の謎解きにも挑むことになるのだった。
仕事も家事もそつなくこなすOLと生活能力ゼロの新人漫画家、アラサー女子二人の同居ストーリー。香月奈々美(こうづき ななみ)は博多出身の独身OL。地元に彼氏を残して遠距離恋愛しながら東京で暮らしている。自宅は女友達とルームシェアする2DK。同居相手は27歳の新人漫画家・藤村かえでだ。奈々美は仕事も家事も完璧にこなせるが、かえでは生活能力ゼロのぐうたらタイプ。仕事も性格もまるで違う二人の日常生活を描いていく。
奈々美は社内でも一目おかれるできるOL。家に帰れば料理も掃除もてきぱきこなしてしまうタイプだ。そんな彼女の同居相手は、奈々美よりも年上ながら少々頼りないタイプのかえで。漫画家を目指し、やっとデビューをつかんだところだ。目覚まし時計で決まった時間に起きて出社し、規則正しい生活を送る奈々美に対し、かえでの生活は不規則で、漫画の仕事に入ると昼夜関係なくなることも。奈々美は、そんなかえでのために、会社を終えると漫画雑誌を購入して帰宅し、お腹をすかせたかえでのために夕食を作る。奈々美がかえでを一方的に支えているよう見える二人暮らしだが、実は、遠距離恋愛中の奈々美が結婚するまでという条件で始まったものだった。
ペアの相手と一定以上の距離を離れると爆発してしまう「B-SHOCK!」を装着されてしまった大学生の男女のラブコメディ。新田新(にった あらた)は、都亜留(とある)大学理工学部の3年生。ある日、突然拉致されてしまった新は、装着した者同士が、1m以上離れると爆発する腕時計・B-SHOCKを装着されてしまう。しかも、ペアの相手は、皆が憧れるミス理工の乃木初音(はつね)。離れることができない新と初音は、仕方なく同居生活を始めることになる。
B-SHOCKは一見すると、普通のデジタル時計にしか見えない。しかし、その正体は、装着した者同士が距離をとると爆発してしまう恐ろしい代物。拉致されてB-SHOCK!を装着されてしまった新と初音は1m以上離れることができなくなってしまった。B-SHOCKの開発者にして、新と初音を誘拐した犯人は都亜留大学の桂深(かふか)教授。自らのゼミ不人気に困っていた桂深教授は、B-SHOCKを利用して新と初音をゼミに入れるつもりなのだ。新は、棚ぼた的に転がり込んだミス理工の初音との同居生活に胸を躍らせるが、ことはそううまくいかない。初音には拒まれるし、アルバイトもままならず、生活はたちまち困窮してしまう。B-SHOCKにふりまわされる日々が続くことになる。