暴走族出身のサラリーマンの活躍を描くユニークなビジネス漫画。主人公の矢島金太郎は、関東最大級の勢力を誇った伝説の暴走族「八州連合」の元ヘッド。チーム解散後、幼い息子を抱えながら漁師をしていたある日、事故で遭難しかけていたヤマト建設会長の大和守之助を救出する。その縁がきっかけで、金太郎はヤマト建設へ見習社員として就職。サラリーマンとなった金太郎は、業界に波乱を巻き起こしていく。
矢島金太郎は、世間一般のサラリーマン像からは大きくかけ離れた人物だ。彼の就職先であるヤマト建設は、業界でもトップ3に挙げられる大企業。社員のほとんどが一流大学の卒業者だ。一方の金太郎は暴走族出身で高校中退。会長の命の恩人ということで、中途採用された金太郎だが、当初彼に与えられた仕事は庶務課での雑用のみ。しかし、その待遇に腐ることもなく、一本筋の通った性格と人間的な魅力で、周囲の人々を惹きつけていく。やがて金太郎の存在は、創業者である会長の退陣を画策する社長派の動きを牽制し、ヤマト建設の在り方そのものを大きく変えていくことになる。
大手家電メーカーに勤務する主人公の視点を通じ、日本経済の動きや大企業の内情をリアルに描いた社会派のビジネス漫画。主人公の島耕筰は、は、大手家電メーカー「初芝電器産業」に勤める団塊世代のサラリーマン。物語は、係長だった彼が課長昇進の内示を受けるところから幕を開ける。当初は情況に流されやすく、いい加減な側面も目立つ島だが、さまざまな困難を乗り越えながら人間的に大きく成長していく。
30代前半にして国内有数の家電メーカーの営業本部宣伝課 課長に就任した島耕作。比較的恵まれた立場にある彼だが、ずば抜けたエリートというわけではない。妻との仲が冷え気味とは言え、部下の女性と流されるまま関係を持ったり、風俗でつまみ食いしたりもする。基本的に仕事ぶりは誠実だが、女性絡みのトラブルが多い男だ。そんな島にとって、販売助成部 部長の中沢喜一との出逢いが、彼のサラリーマン人生の大きな転機となる。中沢は、社内でも指折りの切れ者だが、派閥の力学に左右されずに己の信念を貫く一匹狼。敬愛する上司の存在は、島にとっての道標となり、やがて彼は中沢と共に出世の階段を登っていく。
1990年代の東京を舞台に、文具メーカーに勤務するサラリーマンを主人公とした恋愛漫画。物語の主人公である宮本浩は、大手文具メーカー、マルキタで営業として働く24歳の青年。社会人一年目の夏、学生時代から付き合っていた彼女と別れたばかりの宮本は、通勤途中で目にした美しい女性に心を奪われる。この出逢いを皮切りに、物語は動き出す。第38回小学館漫画賞(青年一般部門)受賞作。
通勤途中、山手線の渋谷駅で見かけた甲田美沙子という女性に一目惚れした宮本は、その後3ヶ月もの間、声もかけられず通勤中に見守るだけの日々を過ごしていた。そんなある日、彼は電車とホームの間に足を落としてしまった子どもを発見。偶然宮本と美沙子が協力して子どもを助けたことがきっかけで、2人は通勤中に会話を交す関係となる。このように物語は、宮本の恋愛模様を中心に展開していく。宮本はずば抜けて仕事が出来るわけでもなく、容姿もごく普通の青年だ。そんな彼が、恋愛や仕事に不器用ながらも情熱的に取り組んでいく、まさに等身大のサラリーマン漫画といえる作品だ。
自動車メーカーの総務部に勤務する男性会社員の日常を、世相を交えつつ描いたサラリーマン漫画。主人公の山口六平太は大日自動車株式会社の総務部総務課に所属するサラリーマン。会社を陰で支える縁の下の力持ち的なポジションである総務部には、日々さまざまなトラブルが持ち込まれる。そんなトラブルに対し、山口は慌てることなく、マイペースで対応していく。
山口六平太は、一見するとどこにでもいる普通のサラリーマン。火が点いた状態のタバコを舌で掴んで口の中に隠すという特技を持つが、それ以外は目立った特徴のない平凡な男である。しかし、総務としての彼は実に有能。六平太は総務部に持ち込まれる細々としたトラブルをスマートに解決していく。理不尽なクレームへの対応や、上司のミスの尻拭いにも、嫌な課をせずに飄々とこなす。その仕事ぶりから「スーパー総務マン」と渾名される程。これほどデキる六平太だが、出世には全く興味がなく、平社員の立場に甘んじている。彼のマイペース極まる業務風景が、本作の大きな魅力のひとつだ。
サラリーマン生活を送る、擬人化したアフリカの動物たちの姿をコミカルに描いたギャグ漫画。タイトルが示す通り物語の舞台はアフリカだが、描かれているのはサバンナではなく、東京のオフィス街を彷彿とさせる風景が中心。主人公のライオンは、とある企業で働くサラリーマン。彼を中心にオニオオハシやトカゲ、ツルといった動物たちが妙に人間くさい日常を繰り広げる。2019年テレビアニメ化。
ごく普通のサラリーマンの日常も、キャラクターが動物になると、また違った面白さになる。サバンナの生態系の頂点に君臨する百獣の王たるライオンが、会社では中間管理職な上に温厚な性格の持ち主。その後輩は、軟派で仕事ぶりもいい加減なお調子者のオニオオハシに、真面目だが少々融通の利かないトカゲ。個性豊かな動物たちが繰り広げるサラリーマンライフは、ユニークな笑いに満ちている。電車内で痴漢冤罪の窮地に陥ったオニオオハシが、隣にいたトカゲの尻尾を千切って逃走を図ったり、子どもを千尋の谷に突き落とすと言われるライオンが子育てで悩んだりするなど、動物に因んだネタも満載。独特のセンスに満ちた、一風変わったサラリーマン漫画だ。