病気とたたかう作品10選145 Pt.

もしあなたが病気を患ったら…。もし恋人や家族が病気を患ったら…。あなたは一体どうするのでしょうか。今回はそんな病気に侵された人々たちと、そんな彼らを見守る人たちとのストーリー作品を集めた。

「井上真央」「岡田将生」主演で実写映画化もされた日本中を感動の渦に巻き込んだ純愛ラブストーリー!生まれつき心臓病を患う「垣野内逞」には想いを寄せ合う「種田繭」という幼馴染がいる。この病気はきっといつか治る。そう信じていた2人だったが、ある日「繭」は「逞」が20歳まで生きられないことを知る。そんな「繭」に「逞」はプロポーズをし、大好きな人が生き続けられないと理解した上で「繭」はそれを受け入れた。8歳の女の子の覚悟と希望がこのシーンからうかがえる。成長してからは2人の距離は離れたり縮まったりしているが、お互いが想い合っていることに変化はない。純愛以上に他のキャラクターたちとの複雑な恋愛の交差や、病気を患っている者だから分かる失う恐怖を鮮明に描いており時に鳥肌をたたせる感情的、緊迫感のあるシーンも描かれている。普通の恋愛とは全く違う難しくも悲しい恋愛状況にたたされた主人公2人に待つ最後は一体何なのか。涙なしでは絶対に見られないハンカチ必須のラブストーリー!

主人公「神山満月」の夢は歌手になること。アメリカに行ってしまった想いを寄せる「桜井英知」と約束したことからも、この夢だけは絶対にあきらめきれなかった。しかし彼女は喉の病気を患っており、主治医にも歌うことは止められていた。そんな彼女の前に死神「タクト」が現れ、「タクト」の力によって16歳の姿に変身してる間だけ喉を健康状態に保つことができるようになった。そしてその姿でオーディションに合格した「満月」は「フルムーン」として芸能界デビューを果たすことになる。夢を失うことは死ぬことより怖い。12歳ながらそう悟った少女の願望が叶うストーリー。悔いを残さないためか、想い人にこの姿を見せるためか。彼女は嘘の姿だとしても夢を叶えることを選んだのだ。非現実的なストーリーだが、ユニークさ、感動、希望を備えた作品となっている。

大好きな人と毎日一緒に居たい。人を愛しく思えるピュアラブストーリー。前髪で隠された目。肩に乗る謎の鳥。その不気味さから「鳥女」と呼ばれる「岡村ニノン」。同じクラスのリーダー的存在である「吉良ゆいじ」とは家が隣同士でありながら話したこともないが、彼があと1年で死んでしまうことを知ってしまう。とても死んでしまうようには見えなかったが、ある日「吉良」が涙する姿を見て「ニノン」は「吉良」とずっと一緒に居ることを約束する。そしてその日から2人の関係は恋人ではなく恋人のような友達になっていった。ずっと死ぬことを恐れながらも周りにその姿は見せず強がって生きてきた「吉良」だが、「ニノン」という自分を理解してくれる存在が現れたためその糸は緩み、人前でも涙を流すことが増えた。人は1人では生きていけないが、たった1人自分を分かってくれる人がいれば生きていく希望が持てる。やっと見つけた理解者はクラス1の変わり者だったが、それでも「吉良」にとって「ニノン」が残りの人生の中で最も必要な存在となっていくかけがえのない物語である。

あなたの周りの人が急に変わってしまった。それは「うつ病」かもしれない。「うつ病」とは気分障害の一種であり、ストレスや周りの環境によって左右されやすいものである。人間は強く見えても弱いところを隠し持っている生き物だ。そのため今まで明るくポジティブだった人でも「うつ病」になり得ることは十分にある。この作品はサラリーマンを夫に持つマンガ家の体験をもとにして描かれたコミックエッセイである。ある日「スーパーサラリーマン」だった夫「ツレ」がいきなり「死にたい」と発言した。元気だった夫のうつ状態を重くなく読みやすく分かりやすいタッチで、読者にも「うつ病」を理解してもらおうと描かれた作品である。コミカルに描かれているが、作者は夫の退職、闘病で恐らく大変な生活を送っただろう。きっと「うつ病」はどんな病気よりもなりやすく、どんな病気よりも治りにくいものだと思う。そしてそれは本人よりも周りのほうが苦しい思いをすることになるのではないだろうか。身をもってその大変さを体験した作者は、このマンガを読み少しでも「うつ病」に理解を示してくれる人が増えることを願っているだろう。

まず何と言っても何のジャンルの作品なのか分からない衝撃的なタイトルが大きく目につく。可愛らしい表紙の中身はホラー作品なのかと疑うほどである。クラス1人気の女子「山内桜良」が膵臓の病気と知ってしまったクラス1地味な男の子。この男の子の名前は全く呼ばれず、「仲のいいクラスメイト」などと記されている。これがこの作品の見どころの一つでもある。これはあくまで憶測であるが、この名前の呼び方は徐々に変化されていく。これは、地味な男の子である「僕」が、「桜良」と今どのような関係になっているかが表されているのではないだろうか。また、これは「僕」による想像であるいう意見もある。ただ目で読むだけではなく、頭で理解しながら読めばこの作品は深いところまで追求できるのかもしれない、ミステリーのような要素も備わっている奥深いヒューマンドラマ作品である。