働く姿は美しい!? 色んなお仕事大集合!75 Pt.

噺屋に探偵、宇宙飛行士に溶接工、世間に仕事は数あれど、よく知る仕事は意外と少ない。そんな、普段深く触れることのない世界を垣間見えるマンガ作品をご紹介。

昔、日本の娯楽の中心にはいつも寄席の噺家、今で言う落語家が存在していた。本作は、そんな落語家が活躍していた黄金時代から、近代に至るまでの様々な人間ドラマを描きだしている。
ある者は芸のために身を削り血を吐くような努力を重ね、ある者は学者の道を断念したのち噺家を志し、またある者は力量はあるものの師匠に恵まれず何十年もくすぶり続ける……。そんな芸人達の経験や魂が織り成す一話完結型の人生ドラマ。大衆演芸の中心であり続けた噺家達の物語をぜひ堪能して欲しい。

隅田川沿いの雑居ビルにある探偵事務所「大川端探偵社」は、裏事情に通じ多彩な情報源を持ったベテランの「所長」と、調査員の「村木タケシ」、受付嬢の「メグミ」の三人が働く極小規模な探偵会社。
届く依頼は、大金の掛かったカラオケの真偽や、好きだったボクサーの消息探し、ヤクザの探す中華料理店の味など、気になるが決して華やかなものではない。本作は、それらを鮮やかに解決して行く「所長」と「タケシ」の手腕、そして、探偵社を頼りにする人の思いの深さや人間ドラマが見どころとなっている。

アポロ計画から50年、ついに火星に到達した人類だが、初の火星到達者達との通信は突然途絶えてしまった。
秀才で頑健なトラック運転手「三河 度胸」は、父親の「火星まで荷を運ぶ」という発言を叶えたいと思い、火星で生き延びているかもしれないクルーを救うための「有人火星探査計画」へと挑む決意をする……。
名前とは違い臆病な「度胸」だが、慎重で我慢強い面も持っており、本作は、そんな彼の努力を惜しまずくじけない姿と、人類初の火星到達者が遭遇した未知の現象の恐怖が魅力的に描かれている。

とある地方の鉄工所「のろ鉄工」で働く中堅溶接工「北さん」を中心とした、同僚らが織り成す職人達の日常を描いた物語。
例え真夏の猛暑日でも、溶接は風に弱いため窓を開けられない事や、溶接屑のスパッタ、ミガキの材料に不純物のスラグなど、楽しくも厳しい溶接所での仕事を通して、様々な専門用語や知識を簡単に覚えられてしまう名作。
家庭を守るため働く若者「北さん」の奮闘と、溶接業の面白さと難しさがしっかり描かれているところが、本作の魅力の一つと言える。