温泉・銭湯が出てくる漫画を特集47 Pt.

多くの日本人を魅了してやまない、温泉や銭湯。湯に浸かりながらゆっくり過ごしたり、思いがけないラッキースケベが起きたり（？）、そんな湯船にまつわる漫画を紹介。

椎名作品で銭湯と来たら、もちろんお色気シーンは期待してもらってOKだ。ヒロインのユウリをはじめ、女性キャラクターの脱ぎっぷりはさすがといったところ。また、これも椎名作品の特徴なのだが、「すでに地球に異星人が入り込んでいる日常」も描かれている。どこかの星の王子であるカナタは気弱な少年だが、初めてできた友だちであるリョウのために精一杯がんばルナ。常識的なツッコミを入れつつも彼を受け入れる、リョウの友情も見どころ。非常識なカナタたちやスケベな父親に振り回されながらも、銭湯を建て直そうとがんばるリョウの姿には、やや同情まじりの応援をせずにはいられない。

一見すると派手な展開を想像するタイトルだが、実は主人公の「源さん」はでしゃばらない。元・殺し屋のスキルで悪漢を懲らしめるような展開もなくはないが、基本は傍観者としてのスタイルを貫く。あくまでも、旅館の従業員として彼らをもてなすだけだ。例えば、源さんを殺し屋が追いかけてくるようなストーリーは皆無。源さんはただ静かに、訪れる客のから見え隠れする人生を、元・殺し屋らしい達観した眼差しで見つめるだけだ。そんなストイックなストーリーが15年もの長期に渡り連載されたのは、一人ひとりの人物と人生を大切に描き出していたからこそだろう。

日本人の心の拠り所といえば、銭湯。そして、古代ローマでも湯船に浸かる文化があった。ここに着目した作者の手による、タイムスリップコメディ。銭湯を通じて、日本とローマが時空を超えてつながる。ルシウスが日本の銭湯や湯船の文化に着想を得て設計する、様々なローマの風呂は必見。ワーカホリック気味なルシウスの家庭環境の変化と、日本人女性さつきとの恋模様も気になるところ。また、11年間をイタリアで過ごし、美術史を学んでいた作者の手による、ローマの美しい建築物や建物の内装にもぜひ注目してほしい。

ヒロイン・流香があられもない全裸姿で主人公・静の前に倒れている1話は、インパクト抜群である。こんな始まり方をするので、当然ながら毎話のようにお色気シーンがあり、中には大人向けのシーンも多い。しかし、静と流香の純愛が本作のメイン。枯れた雰囲気を持ちながら真面目で人望も厚い青年と、明るく優しいヒロインとの恋愛は、もどかしいながらも微笑ましい。そこに、静の高校時代のクラスメイト・なぎさや、流香がかつて想いを寄せていた土屋先輩まで加わり、「旅と温泉愛好会（タビセン）」内で繰り広げられる人間関係から目が離せない。