実在の人物が登場するマンガ作品154 Pt.

実在の人物が登場することでマニアには嬉しいリアルなマンガを追求した作品を7つ、ここに紹介し、その世界観を堪能して欲しい!!

新選組3番隊隊長「斎藤一」が登場するのが有名。他にも「桂小五郎」や「大久保利通」もわすかなシーンながら登場している。まさに幕末から明治初期の時代の大きな変革期を描いた作品に箔をつけている。主人公「緋村剣心」も実在の人物をモデルにして創作されており、歴史ファンにも楽しめる剣客アクション物語となっている。近年、続編が始まり、その人気の高さと長く愛されている作品である事が容易に理解できる。当時「緋村剣心」が実在したかの様な錯覚を覚えながら歴史物語として読んでみるのも面白い。

野球マンガの代表的作者とも言える「水島新司」によるプロ野球を舞台にした作品で、主人公は南海ホークスから現在のソフトバンクホークスまで代打の切り札として活躍する「景浦安武」の活躍を描きつつ、同時代に実在したプロ野球選手も登場し、リアルなプロ野球の世界を描いている。残した記録もリアルであり、プロとして申し分のない結果を残している。おそらく今後、これほど実在の人物を登場させて描く事が出来るマンガは登場しないであろう。プロ野球ファンなら必ず読んで欲しい作品と言える。

30年以上前の作品であり、当時まだメジャーとはいえないプロゴルフの世界を描いた物語。ゴルフスイング時の呼吸法として「チャー・シュー・メン」と言って撃つのは、読者に分かりやすく、なおかつ、このマンガを有名にさせるのにも貢献している。実在するプロゴルファーとして「青木功」や「杉原輝雄」なども登場し、往年の名プレイヤーと主人公「向太陽」とのゴルフ勝負に読者が熱くなるのは必然と言える。スポーツマンガとしては動きを描きにくいのがゴルフだが、心情や人物像を描いて臨場感をアップさせている描き方は見事としか言いようがない。完成度の高い作品と言える。

公道からレース場まであらゆる若者のバイクシーンを描いたライダーのための物語で30年以上前の当時の時事ネタや社会情勢も盛り込んでいる。オートバイの楽しさと危険さも丁寧に描き、実在の人物が登場せずともリアルさとしては申し分ない。レースでは実在するレーサーやそのモチーフとなるレーサー、さらにチューニングの神様とも呼ばれた「ポップ吉村」も登場し、バイク好きならこの名を知らない人はいない。あまり多くないバイクをテーマにしたマンガ作品を選ぶならば、まずこの作品を選んで欲しい。

20年ほど前の作品で、当時はまだ脚光を浴びていなかった「前田慶次郎利益」の破天荒な生き様を描いた戦国時代の物語であり、「傾奇者」の言葉を世に広めた作品でもある。当然ながら戦国時代の武将たちが多数登場し、物語を華やかにしている。多少のフィクションやデフォルメは用いられているが、戦国武将を魅力的に描いた初期の作品として位置づけられる。実際の合戦シーンも面白いが、天下人「豊臣秀吉」との儀礼の場での戦いや風呂場での一献の逸話などはまさに傾奇者の真骨頂と言った内容であり、このような生き方に憧れる人も少なくない。人生観を見直す際に読んでみたい作品と言える。

第二次世界大戦時のドイツの国家元首「アドルフ・ヒトラー」の出生の秘密を知った「アドルフ・カウフマン」と、その親友にして生涯のライバルとなる「アドルフ・カミル」による壮絶な人生を描いた物語。歴史的背景を如実に描きながら、架空の人物や手塚作品に必ず登場する「アセチレン・ランプ」なども登場させ、読者を魅了する展開はエンターテイメント作品と呼んで過言ではない。ドイツだけでなく日本も舞台となっていて、親近感が沸く配慮も忘れていない。手塚治虫の晩年の作品の中で特に名作とされる作品であり、改めてマンガの面白さ、凄さを感じさせてくれる。

50年近く前に描かれたプロレスの世界を一気に人気スポーツに向上させた往年の名作で主人公「伊達直人」こと「タイガーマスク」は実在のプロレスラーにもなっている。他にもプロレスファンでなくとも知っている「ジャイアント馬場」や「アントニオ猪木」も登場し、マンガの世界をリアルに感じてしまう。主人公も育った孤児院「ちびっこハウス」に匿名で支援する姿も正義のヒーローとして心打たれる。プロレスの美学と正義のヒーローの美学を一つにして描いた古典的にして永遠の名作と呼んでも間違いない。今後も「タイガーマスク」や「伊達直人」の精神を受け継ぐ者たちが現れて、世の中を正してもらえることだろう。