2007年に運用が開始された救難飛行艇「US-2」の開発から完成に至るまでの知られざる秘話を綿密な取材を基に描いたノンフィクションの飛行艇開発漫画。海難事故の救助活動に貢献してきた救難飛行艇US-1Aも、初運用から20年近く経過し、その後継機として、国はアメリカ製「オスプレイ」ことV-22の導入を検討していた。新明和工業株式会社の難波義和はこのピンチをチャンスと捉え、新たな後継機候補として「US-2」の開発を始めるべく動き出す。
救難飛行艇は海上自衛隊が運用し、海面での人命救助の際に活躍する水陸両用飛行機だ。長年愛用されてきたUS-1Aを作った新明和工業株式会社は、その後継機開発においても主契約会社となった。人命が関わる救難飛行艇の新たな開発は数多くの航空機関連の企業や技術者たちの力を必要とする一大プロジェクトとなり、長い年月が費やされることになる。コストを抑えつつも、安全面に優れ、US-1Aより性能が高いものを作らなければ意味がない。中でも重量軽減問題は難関であり、幾多の困難や問題点に悩まされた。波高3メートルの荒海でも離着水可能な世界に誇れる「US-2」の完成に至った原動力である開発に携わった者たちの並々ならぬ熱い情熱が作中から伝わってくる。
大海原を舞台に、空母、イージス艦、潜水艦など海軍が所有するあらゆる戦力をぶつけ合い、日本と中国が争う軍事漫画。中国の工作員が尖閣諸島南小島に上陸したことをきっかけに、中国海軍が空母で日本に向かい、日本政府と一触即発の事態となった。中国海軍は尖閣と先島諸島沖を侵攻して上陸し、島民を制圧。日本の国土や国民の安全を守るため、海上自衛隊が所有する様々な護衛艦などを用いて中国海軍に立ち向かうことになる。2019年実写映画化。
現実世界では日本の憲法において攻撃型空母は所有できないことになっているが、本作に登場する架空の「いぶき」は、日本が戦後初めて武力から自国を自力で守るために生まれた艦。機動力を備えた特別な航空機搭載型護衛艦で事実上の「空母」として描かれている。「いぶき」の艦長に任命されたのは、航空自衛隊出身の秋津竜太一佐。副長は海上自衛隊が誇る逸材の新波(にいなみ)歳也二佐であり、操艦は航空自衛隊と海上自衛隊の協同運用となる。中国海軍は空母や潜水艦を用いて「いぶき」を追い詰め、緊迫感のある描写が続く。リアリティのある国際情勢を絡めて壮大なスケールで中国との争いが描かれるとともに、重圧を背負いながら最善の選択を迫られる秋津や仲間たちの熱い人間ドラマが展開される。
太平洋戦争の時代にタイムスリップしたイージス艦の乗員たちの選択によって日本の未来がゆだねられることになる架空戦記漫画。エクアドル沖へ派遣されたイージス艦「みらい」は、突然太平洋戦争時のミッドウェー海戦域へタイムスリップしてしまう。「ミッドウェー海戦」の舞台にいながらも、未来を変えないためには自分たちが関わることは許されない。しかし、副長・角松洋介二等海佐が、海上で負傷していた草加拓海少佐を救助したことによって、事態が大きく変わっていく。
1942年6月4日に起きた「ミッドウェー海戦」は太平洋戦争の局面が大きく変わるきっかけを作った戦いだ。本作の主人公・角松が副長をつとめるイージス艦「みらい」は、その舞台であるミッドウェー海域で正にその戦いが始まる直前にタイムスリップしてしまう。イージス艦「みらい」は、最新の装備を備えた護衛艦だ。もし「ミッドウェー海戦」に参戦すれば、歴史を大きく変えてしまうことになりかねない。イージス艦「みらい」の副長・角松たちは未来を守るために過去への介入を避けようとする。しかし、日本が敗戦することを知り、その先の未来に希望が感じられなかった軍人の草加は、敗戦の事実を受け止めきれず、新しい日本「ジパング」を作るために暗躍する。
アメリカ、ソ連、日本の三ヶ国がそれぞれの思惑を抱きながら潜水艦を用いて海で戦う戦争漫画。海上自衛隊設立以来、史上最悪の事故と思われた潜水艦「やまなみ」の沈没事故は、秘密裏に計画が進んでいた日米合同開発の原子力潜水艦「シーバット」のための偽装工作だった。「やまなみ」の艦長・海江田四郎は「シーバット」の艦長に任命されるが、試験運航中に独立国家「やまと」を宣言し、世界を混乱の渦に巻き込むことになる。1996年テレビアニメ化。
主人公の海江田は、日米合同で開発が行われていた原子力潜水艦「シーバット」を奪い、独立国家「やまと」の設立を宣言した大胆不敵な男だ。通常の潜水艦は通常、数日に一度は水面上に浮上するが、原子力潜水艦は潜航期間が長いことから、行動の予測が難しいと言われている。海江田は潜水艦の操縦においては慎重であり、核弾頭が積まれているとみられる「やまと」で自分の理想に向かって進んでいく。果たして海江田が危険を冒してまで成し遂げたいこととは何なのか。真の自由を求めて世界を相手に立ち向かっていく熱い男のドラマや国を巻き込む壮大なスケールの戦いが展開される。リアリティのある国際情勢を絡め、緊迫感漂う重厚な物語を堪能しよう。
大海原を舞台に伝説の男と称される者が日本を救うために戦う海洋バトル漫画。フィリピン沖で、海上自衛隊の織田志郎は最新鋭潜水艦「くろしお」でタンカーを攻撃し、シーレーン(海上交通路)を制圧。その事態を収束させられる人物として今は第一線を退いている元海上自衛隊の伝説の男・南郷海人に日本の運命は委ねられた。南郷は7年の歳月をかけて秘密裏に作られていた新造艦の空母を「剣」(つるぎ)と命名し、その初代艦長となる。そしてクーデターの首謀者がかつての同僚・織田であることを知るのだった。
本作の主人公・南郷は中学卒業後に海上自衛隊に入隊し、2等海尉にまで昇進した異例の出世を遂げたエリート。艦長は判断力に優れた人物にしか務まらない。「剣」の準備にはしばらく時間がかかるため、「しろしお」に乗り込んだ南郷は、本来の艦長よりもリーダーの素質があったために、代わりに指揮を執ることになる。「くろしお」からの執拗な魚雷攻撃を受け、窮地に陥りながらも優れた判断でピンチを切り抜けていく。暗い海中で頼りになるのは「音」だけだ。しかし、「くろしお」は超電導電磁推進装置が備わっており、無音で航行する最強の潜水艦。更には織田の右腕として人並外れた聴力を持つラビットマンこと響秀人(ひびきひでと)がおり、南郷は苦戦を強いられることになる。