稼いだ学内マネーによって生徒の評価が決められ、進級・卒業・就職にまで影響する独特の教育システムを採用する学円園(がくえんぞの)学園を舞台としたマネーゲーム漫画。財閥の御曹司である市場(いちば)クロガネは、稼いだ金だけが評価される学園で自分自身の力を証明するため、人材マッチング事業をスタートさせる。
本作のマネーゲームが繰り広げられる舞台は、ひとつの島をまるごと敷地とする超マンモス校「学円園学園」。ここでは、学内流通通貨「学円」がすべての評価基準で、生徒たちは、学円を稼ぐために切磋琢磨し競争している。学外からの通貨持ち込みは禁止されており、衣食住から利用可能な施設、授業のグレードまで、すべてが学生自身の金を稼ぐ力によって左右される。裏を返せば、金を稼げなければ進級どころか衣食住もままならない厳しい世界なのだ。しかし本作の主人公である市場クロガネは、あえてこの学園に身を投じる。財閥御曹司として生まれついた彼は、家柄だけで自分が評価されることを潔しとせず、「人の才能を見抜く」という特殊能力を駆使して学園のマネーゲームに参加するのだった。
欲望と策略が渦巻く裏社会で、巨額をかけたマネーゲームを繰り広げる二人の男の活躍を描くピカレスク作品。主人公の森田鉄雄は日々ギャンブルに溺れるその日暮らしの男であったが、裏社会のフィクサーである平井銀二との出会いから、巨額の金銭が動く危険な世界に誘われていく。
本作のマネーゲームは、何億という金が飛び交う裏社会が舞台である。身寄りも金もない主人公、森田鉄雄はある日競馬場で平井銀二と名乗る謎の男に声を掛けられ、無造作に段ボールに放り込まれた10億円を運ぶ怪しげな仕事に雇われる。その日から、森田は裏社会で「仕切り屋」を営む銀二に導かれながら、闇で動く巨額のカネをめぐる争いに身を投じていく。作中には金融バブルに湧いた90年代の日本社会がリアルに反映され、森田が最初に参加したマネーゲームでは、株価の高騰を当て込んだ投資家と企業の心理戦など、現実にも起こりえたであろう状況も描かれている。金の魔力に取り憑かれた人々のスリリングな裏の世界を堪能したい。
詐欺師の世界を描いた心理サスペンス。主人公は、金銭を巻き上げるシロサギ、異性を騙すアカサギといった同業の詐欺師のみを狙うことから「クロサギ」の異名を持つ男、黒崎。彼は法律、話術、演技術を巧みに操り、裏社会に跋扈する詐欺師たちを欺き、その金を奪っていく。
本作のマネーゲームが展開する舞台は、詐欺師の世界だ。本作の主人公・黒崎は父親が詐欺にあって家族を失った過去を持ち、同業者である詐欺師を罠にはめる「クロサギ」と呼ばれる詐欺師になった青年。財団融資詐欺、美容品詐欺、古美術商手形パクリ詐欺など、黒崎が渡り合う詐欺師の手口は多岐にわたり、人の心理や法の裏をつくやり方は舌を巻くほどに巧妙だ。あおば中小企業振興会による融資詐欺では、資金繰りの厳しい中小企業がカモにされ、融資の資格審査として財団への出資金を先払いさせる手口が用いられた。しかし黒崎は、証券制度の知識を駆使して、逆に彼らから金を騙し取る。息つく暇もない詐欺師と詐欺師の攻防戦に魅了されること間違いなしの一作だ。
超進学校に設立された「投資部」を舞台に描かれる学園もの投資漫画。主人公の財前孝史は、創立130年の中高一貫エリート校、道塾学園に首席で合格した新入生。入学初日、見知らぬ上級生に声をかけられた孝史は、入試成績トップだった6人の生徒だけが所属できる投資部の存在を知らされる。突然のことに尻込みしつつも入部を決めた財前は、主将の神代圭介らのもとで一から投資のノウハウを学んでいく。
本作は投資による資産運用という、金が金を生む純粋なマネーゲームが題材だ。主人公の財前孝史が入学した道塾学園には、ある秘密があった。入試成績トップの生徒で構成された「投資部」の運用益で、学園の必要経費がすべて賄われていたのだ。その投資部に入部した財前は「投資に勉強はいらない」という主将の神代圭介に背中を押されて、彼が日頃から好んでいたゲーム会社の銘柄を買うことにする。その投資金額は、桁外れの30億円。株価は上がると言い切る財前に戸惑う投資部の面々であったが、結果的に株価は上昇し、波乱はありつつも3億3000万円の利益を出す。この成功を第1歩に、財前は周囲のアドバイスを受けながら投資の世界に足を踏み入れ、その奥深さを知っていく。
暴走族の元ヘッド、矢島金太郎の破天荒なサラリーマン人生を描いた「サラリーマン金太郎」の続編。ヤマト建設や一流商社の東紅で数多の困難を乗り越えてきた金太郎が、今度は外資系の投資銀行「INB」に就職し、やがて独立して金太郎ファンドを設立。グローバリゼーションによる国家の消滅を理想とする投資家ジョー・ロスを相手に、日本国債をめぐる金融戦争が勃発する。
本作で描かれるマネーゲームは、国際的な通貨の取引を行う外国為替市場が舞台だ。外資系の投資銀行INBに就職した矢島金太郎は、ある日、アフリカの小国であるナビリアへ行くように命じられる。そこでは投資家ジョー・ロスにより、ナビリア通貨のギラに徹底的な売り攻勢を仕掛ける計画が進められ、INBもそれに便乗しようとしていた。巨額の利益を生む一方、ギラの大暴落でナビリア経済を崩壊させることにもなるこの計画。自分の利益のために、民主国家として変革を迎えようとする国の努力をぶち壊そうとする投資家に怒りを覚えた金太郎は、逆に徹底的な買いにまわり、ナビリアを救うことに成功する。世界各地の歴史や生活を破壊し、弱者を蹂躙するグローバルなマネーゲームの問題を力強く描いた一作だ。