天然パーマの青年を主人公とした青春ギャグ漫画。埼玉県の架空の町にある、立華高校に転校してきた主人公・田中広。女の子にモテたいが、特に努力はしていない。同じように冴えない、ボクシング部の仲間たちとの地味でゆるい日常がコメディタッチで描かれている。中退や上京、結婚といったライフイベントに合わせたタイトルが付けられた作品が続く、「アフロ田中」シリーズの記念すべき第1作目だ。
主人公の田中は、天然パーマを自称するアフロヘア。アフロの宿命でとても目立つ。まるで、かつらをかぶっているように見えるが、天然ゆえ、パーマ禁止の学校でも公認されている。髪型がファンキーだと、「音楽をやっていそう」「不良っぽい」などと思われがちだが、田中は、ごく平凡かつちょっとお下品な青年だ。とはいえ、アフロ補正なのか、30代男性のような妙な落ち着きと貫禄があり、高校1年生にはとても見えないのも事実。だからこそ、男子高校生特有の異性への猛烈な興味や、日常に対する怠惰さ、後先考えない行動が、より一層アホらしく映るのだろう。髪型の力は実に偉大だ。
人類の平和と自由を守るため、特殊な拳法を極めた主人公が敵と戦う、不条理ギャグバトル漫画。西暦30XX年、地球はマルハーゲ帝国に支配されていた。皇帝は、自らの権力を示すため、人類の毛を抜いて丸坊主にする毛狩り隊を結成。七代目鼻毛真拳の伝承者である主人公のボボボーボ・ボーボボは、祖国を滅ぼした毛狩り隊と戦うための旅に出る。第2部からは『真説ボボボーボ・ボーボボ』にタイトルを改名。2003年11月から2005年10月にかけてテレビアニメが放送された。
主人公のボボボーボ・ボーボボは、とにかくビジュアルに多くの特徴を持っている。最初に目に留まるのは、金髪アフロヘア。アフロだけでもかなり目立つのに、なぜ金髪なのか。サングラスを掛けていることも相まって、レゲエミュージシャンのようにも見える。しかしその正体は、鍛え上げられた肉体を持つ、特殊拳法を極めた達人だ。ボーボボの鼻毛真拳は、ありとあらゆる毛を利用するもの。当然、わき毛も鼻毛も伸びているし、ついでに言うならば、チョビ髭で胸毛も濃い。他のキャラクターの造詣がシンプルなだけに、ボーボボの毛密度の濃さが際立つ。アフロヘアが真ん中から上下にパカッと割れるなど、構造的にどうなっているのだと不思議になる場面もあるが、細かいことは気にしてはいけない。カオスなギャグ展開と、ボーボボの不思議な魅力に浸ってほしい。
音大を舞台に、指揮者を目指すエリート音大生と、天才肌のピアノ科女子大生が繰り広げるクラシック音楽ラブコメディ。指揮者を目指しているが、くすぶっていた音大生の千秋真一。やけになり、酔っぱらって自室前で眠ってしまったところを、隣室で同じ音大に通う野田恵、通称「のだめ」に介抱される。2006年にテレビドラマが放送され、2007年にテレビアニメ化。2009年と2010年には実写映画公開された。
本作に登場するキャラクターは、誰もが一筋縄ではいかず、どこかちょっと変だ。アフロヘアで口ひげ、オネエ口調が特徴的な奥山真澄もその1人。身体は男で心は乙女という打楽器奏者で、主にティンパニーを担当している。階段で転びそうになったところを千秋に助けられ、恋心を抱いている。のだめの恋のライバルだ。本作きっての異色キャラといっても過言ではないが、真澄は、アフロヘアが目立つだけのコメディ要員ではない。打楽器とは真剣に向き合っており、「軽い練習などない」と言う努力家だ。千秋やのだめたちの道を切り開く助けにもなれば、時には背中を押すことも。とても頼れる姉(?)のような存在だ。
高校の競技ダンス部を舞台にした青春ストーリー。鹿鳴館高校に入学した主人公・土屋雅春は、女の子が少し苦手。新入生歓迎会で見た、競技ダンス部のデモンストレーションのインパクトと美人な先輩につられ、友人たちと同部の門をたたく。しかし、部長・土井垣真澄の迫力に驚いた同級生男子たちは脱走。逃げ損ねた雅春は、同じく1人残った同級生の女子・亘理英里と共に競技ダンスを始めることになる。未知の世界に戸惑いながらも、少しずつ技術を身につけ、成長していく。
鹿鳴館高校競技ダンス部の部長を務める土井垣真澄が、本作に登場するアフロキャラ。ボリューミーなアフロヘアにぶ厚い唇、割れたアゴと筋肉モリモリの巨体を持ち、とにかくインパクトのある人物だ。部長と名乗るからには高校生なのだが、その容姿は一切高校生に見えない。常に、胸元にフリルが施されたダンスの衣装のような恰好をしているのは、ゴツすぎて制服のサイズがないからだ。オネエ口調で話すものの、心が乙女というわけではないところもポイント。この口調は姉たちからの影響であり、ダンスパートナーの綾辻理央をリードする男らしい面も見せる。まさに異形のキャラだが、衣装を着てフロアに立つと色物感が薄まるのだから不思議だ。美女と野獣といった雰囲気になるでもなく、理央とぴったり一対になる。ダンスシーンを見れば、圧倒的な存在感と確かな技術に魅了されるはずだ。
とある高校の校長と野球部が、夏の甲子園出場を目指す不条理ギャグ漫画。私立星道高等学校の校長は、甲子園出場を目指して野球部の強化に余念がない。しかし、予選1回戦の対戦相手が、ラフプレーで相手チームを壊滅状態に追いやる外道高校と知り愕然とする。一方、星道高校野球部1年生で補欠のメガネは、球拾い中に転校生の野球十兵衛と出会う。実は、十兵衛は、魔球・スーパートルネード波を投げるケンカ野球戦士だった。2002年に実写映画化、2011年には設定を一部変更した映画「デッドボール」公開。2009年には、漫☆画太郎デビュー20周年企画としてOVA化。
漫☆画太郎の作品では、ギャグ展開における爆発シーン後、巻き込まれたキャラの髪型がアフロヘアになるのがお約束だ。本作でも、そのお約束はしっかりと守られており、爆発後には、ちょっと焦げた印象を受けるアフロヘアを見ることができる。お約束事項は、爆発後のアフロ以外にもある。漫☆画太郎といえば、イケメンだろうと不良だろうと垂らしている鼻水だろう。先の読めない展開と不条理の極みのようなギャグが続いていく中、要所で登場するお約束シーンがもたらす笑いと安心感は格別だ。タイトルには「甲子園」が謳われ、冒頭では野球の話が進んでいたはずなのに、なぜか不良同士の激しい抗争が始まってしまうのも、「それが漫☆画太郎ワールドだ」と説明するよりほかない。