手塚治虫作品のリメイク漫画55 Pt.

手塚治虫作品の単なる焼き直しではない、新たな見所や魅力もタップリ!

手塚治虫作品のリメイク漫画

出典:amazon

「漫画の神様」と称えられる手塚治虫は、数々の名作を世に残した。それだけに、彼の作品を元にしたリメイクもまた、数多く成されている。新たな形となって甦った手塚ワールドを堪能して欲しい。


手塚治虫の名作『鉄腕アトム』の1エピソード『世界最大のロボット』を原作とした、浦沢直樹によるリメイク作品。物語の舞台は、ロボットと人間が共存する近未来。ある日、世界中から愛される英雄ロボット・モンブランがバラバラに破壊されるという事件が発生。それと同時期に、活動家の男性・リンケが、ドイツで殺害される。一見すると無関係に思われる2つの事件の間には、奇妙な共通点が存在した。世界最高の性能を誇る刑事ロボット・ゲジヒトは、一連の事件を追いかける内、犯人の恐るべき狙いに突き当たる。

「漫画の神様」手塚治虫の名作を、現代屈指のヒットメーカー・浦沢直樹がリメイクした作品。この2人の組み合わせだけでも、ワクワクする読者は多いだろう。もちろん本作は、その期待を裏切らない内容だ。『鉄腕アトム』を原作としながらも、本作の冒頭での主人公はアトムではない。主人公は、『鉄腕アトム』でサブキャラの1人だったドイツのロボット・ゲジヒトだ。世界最高の刑事ロボットであるゲジヒトは、2つの異なる場所で起きた事件を捜査する内に、ひとつの結論に達する。それは、犯人が「世界最高水準のロボット7人」の破壊を目論んでいること。犯人の狙いを阻止すべく、ゲジヒトは世界を渡り歩き、ターゲットのロボットたちに警告して回る。その1人としてアトムが登場。アトムは優れた頭脳を活かし、ゲジヒトの捜査に協力していくこととなる。


『RE:BORN~仮面の男とリボンの騎士~』

出典:集英社

運命の悪戯で、王子として生きることを余儀なくされた姫の、波乱に満ちた人生を描いた手塚治虫の名作『リボンの騎士』のリメイク作。天使の手違いで、シルバーランド王国に、数奇な運命を持つ2人の子どもが誕生する。1人は、男女両方の魂を持つサファイア王子。もう1人は、魂を持たずに生まれた大ジュラルミン公家の息子・プラスチック。やがて2人の人生は、魂の導きによって交わっていく。

本作と手塚治虫の原作『リボンの騎士』の間には、設定面でかなりの違いが存在する。中でも最大の違いは、シルバーランド王国・ジュラルミン大公家の跡取り・プラスチックの立場だ。原作のプラスチックは、単なる能無しのボンクラ息子。一方、本作では、魂を持たずに生まれたせいで「悪魔の子」と呼ばれる、情け容赦のない性格の人物として描かれる。また、原作でのジュラルミン大公は、当初から王位の簒奪を狙う佞臣。ところが本作でのジュラルミン大公家は、表と裏の両面からシルバーランド王国の平和を支えている。中でもプラスチックは、生来の非情さで危険な裏の仕事を淡々とこなす有能な若者だ。能力的にも、原作とは真逆である。そんな大公家と王家の関係が、あることをきっかけに崩れていく。原作とは異なる部分が多いだけに、原作ファンも新鮮な感覚で楽しめるリメイク作品だ。


『手塚治虫 マリン・エクスプレス』

出典:集英社

1979年、手塚治虫が原案・構成を担当し、チャリティ番組「愛は地球を救う」用に製作されたオリジナル長編アニメ『海底超特急 マリン・エクスプレス』を元にしたコミカライズ作品。西暦2050年、科学の粋を集めた太平洋横断海底超特急「マリン・エクスプレス」が完成。開業に先立って関係者を招待し、カリフォルニアから日本への試運転が行われようとしていた。その矢先、ロサンゼルスで殺人事件が発生。この事件が「マリン・エクスプレス」の旅路に、大きな影を落としていくこととなる。

本作は数ある手塚治虫作品のリメイクの中でも、特別な位置付けにある作品だ。本作は漫画作品のリメイクではなく、手塚治虫が手掛けたアニメを元にしたコミカライズ作品なのだ。1979年に放送されたアニメ版の制作にあたって、手塚治虫は膨大な絵コンテを書き起こした。その中には、映像化されずにカットされた部分も数多く存在する。これらの絵コンテを元に、アニメでは描ききれなかった構想に、新たな解釈を加えて描かれたのが本作だ。リメイクを担当した池原しげとは、手塚治虫のアシスタントを務めた漫画家。そのため、手塚治虫の作風をもっとも忠実に再現したリメイクとなっている。『ブラック・ジャック』『鉄腕アトム』『三つ目がとおる』ほか、手塚治虫作品の主要キャラが総出演する内容も相まって、手塚治虫ファンには見逃せない作品である。


『三つ目黙示録〜悪魔王子シャラク〜』

出典:秋田書店

手塚治虫の傑作伝奇ロマン『三つ目がとおる』のリメイク作。考古学が趣味の女子高生・鳩村すずは、とある工事現場で発見された遺跡の発掘作業に参加。1万年以上前の地層から、当時の技術水準ではあり得ない遺物を発見する。この件をきっかけに、彼女は不思議な少年・写楽保介と関わりを持つようになる。

本作は手塚治虫の原作『三つ目がとおる』の設定をベースに、現代風のアレンジを加えたリメイク作だ。物語の主人公・写楽保介は、太古の昔に、現代を凌駕する高度な文明を築き、世界を支配していた「三ツ目族」の末裔。その名が示すように、写楽の額には「第三の目」が存在している。写楽は、普段は幼児のように無邪気な少年だが、第三の目が開くと、性格も能力も一変。三ツ目族の冷酷な本質を顕わにして、悪魔的な頭脳で古代の遺物を操る。古代の遺跡、遺物を題材とした伝奇ロマンという基本線は原作通りだが、エピソードに関してはほぼオリジナルとなっている。設定面も若干異なり、写楽の第三の目は、絆創膏ではなくカツラで隠されている。また、エロティックな展開が多いのも、本作の特徴の1つだ。


手塚治虫の代表作であり、本格医療漫画の先駆けとなった『ブラック・ジャック』のパロディ作品。ブラック・ジャックを中心とするキャラクターたちが、原作からは想像もつかない破天荒な振る舞いを行うギャグ・コメディだ。元は作者・つのがいが、Twitter上で発表していた作品。それがプロダクションの目に留まり、コミックス化された。

本作は、手塚治虫のリメイクの中でも、ひと際異彩を放つ作品だ。なにしろ、名作として広く知られる『ブラック・ジャック』の主要キャラたちの性格を大胆に変更。シリアスな『ブラック・ジャック』を、ギャグ・コメディとしてリメイクしたのだ。患者に安楽死をもたらすことを使命とする死神医師・キリコが、公序良俗を重んじる良い子に。重い背景を持つ名脇役・間久部緑郎は、陽気で軽いノリのパーティ・ピープル。そして主人公・ブラック・ジャックは、自分に甘く他人に厳しいツッコミキャラ。まさに神をも恐れぬ改変ぶりだ。また、『七色いんこ』を筆頭に、手塚治虫の別作品のキャラも登場する。本作の作者・つのがいは高い画力の持ち主で、手塚治虫のタッチを見事に再現。それが余計に笑いのツボを刺激する。


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