言わずと知れた名作『アカギ』、麻雀漫画と言えば真っ先に思いつく作品ではないだろうか?
ギャンブル漫画の重鎮、福本伸行の作品で、実は『天 天和通りの快男児』に登場する伝説の雀士、赤木しげるのスピンオフ作品になる。
『アカギ』の魅力と言えば、福本伸行独特の擬音は勿論、心理描写の細かさや、名言の多さにある。
たった一局、一巡、一ツモに対して濃厚なまでの心理描写が多く書き込まれ、ラスボスである鷲巣巌とは1998年4月27日発売の第8巻「羅刹の闘牌」から、最新刊である2016年5月16日発売の第31巻「憤怒の闘牌」の18年の歳月と、23巻分を使ってもなお決着がついていない。バトル漫画ですらここまでの引き伸ばしをすることは不可能といっても過言ではない。しかもこれが麻雀だと言うのだから、この作品の濃厚具合が見て取れる。
赤木しげるの名言
「面白い……狂気の沙汰ほど面白い……!」
「倍プッシュだ……!」
「不合理こそ博打……それが博打の本質 博打の快感……不合理に身をゆだねてこそギャンブル……」
「死ねば助かるのに……」
「きたぜ。ぬるりと……」
「いいじゃないか……! 三流で……! 熱い三流なら、上等よ……!」
麻雀において鳴きは手の内を明かすことにつながる。
そこから役や待ち牌が分かり、捨てられる牌も限られてしまう。勿論、相手の捨て牌で形作るため、聴牌の早さにおいては誰よりも早くなり、相手に牌をツモらせないリターンもあるため、状況に応じて使い分けるものだ。この作品の主人公「竜」は、麻雀漫画では珍しく鳴きに徹底したスタイルで戦う雀士である。その強運を追い求めるヤクザたちとの意地とプライドをかけた一種の任侠漫画とも言える。震えるほどカッコイイ名言も多く存在する。
竜の名言
「早く打ちなよ……時の刻みはあンただけのものじゃない」
「麻雀に本当(まこと)があればひとつ……勝つことだ」
「他人の命かまうより己れの命―――磨きなよ」
「あンた、やめなよ負け犬の遠吠えは」
「天など知らぬ―――地も知らぬ あるのは今―――この瞬くとき」
「あンた背中が煤けてるぜ」
終戦直後の新宿を舞台に、ギャンブルに魅せられた主人公阿佐田哲也の物語。哲也の場合、イカサマをメインに勝負を展開する。
「積み込み」や「燕返し」、「ガン牌」など様々なイカサマが存在する。哲也は相手のイカサマや会話の中の暗号を読み解き、それを逆手に勝利する。今では全自動麻雀卓がデフォルトであるため、手積みによる積み込みなどのイカサマはできなくなったが、「ぶっこ抜き(左手芸)」や暗号などは全自動でも使用できまるので、注意が必要。
ここでは阿佐田哲也の師匠、房州の名言を紹介する。
「強えっつっても兄さんのは昼間の麻雀だ」
「運を引き込むのは力、力を引き出すのは運」
「俺は積み込みこそ芸術だと思ってる」
「怠惰を求めて勤勉にいきつくか?」
「おやーー、こいつぁ……いやーそれがよーー……アガッてんでぇ、まいちゃうなー、こりゃ天和だ!」
「この一瞬で、もう何十年も生きた気がするぜ……」
心理描写や打ち方など、麻雀漫画の中では硬派の漫画と言える。麻雀漫画では珍しく80巻以上にも及ぶ長大作で、『天牌外伝』、『天牌列伝』など、サブキャラのスピンオフ作品も存在する。
主人公沖本瞬は、王者の才と呼ばれるほどの記憶力と運を武器に強敵たちと闘う。長編であることも交え、渋い演出も多いため年齢層の高い方々に愛読者が多い。無論、名言の宝庫である。
沖本瞬の名言
「麻雀は相手の心をいかに折るかのゲームじゃないかと」
「それは神の領域ですから」
「少なくとも菊多さんは確実に麻雀だけに生きている 俺もそうなりたい」
「点棒さん俺んとこへ集まってくださいよぉって お願いしながら磨くのさ」
「俺の魂 牌に乗り移れ!」
「ベタ降りなんて猿でも出来ることじゃないか」
『哲也 ~雀聖と呼ばれた男~』では、「イカサマってのは 相手にバレて初めて イカサマになるんだ。バレなきゃ勝つための一つの手段 つかんだ運を逃さないための技なんだよ。」という台詞があるが、バレれば「出禁」、お店によっては「賠償金」を請求されることもある。罰符などでは済まされないので絶対にやってはいけない。
漫画を読んでしまえばすぐに打ちたくなるだろう。
生兵法は大怪我のもと。強い人のスタイルを真似るのではなく、紹介した主人公たちのように自分のスタイルを突き進んでいくことをオススメする。