「牛若丸(源義経)」がモデルキャラ!オススメ漫画5選2,048 Pt.

武勲をあげるも、実の兄に疎まれ謀殺されたという歴史上の人物である源義経。義経にちなんだ「判官びいき」という言葉もあるように、多くの人に愛される英雄の一人だ。今回はその義経をテーマとした作品を、本格派から個性派まで幅広く取り上げる。

「牛若丸(源義経)」がモデルキャラ!オススメ漫画5選

出典:小学館


『ますらお‐秘本義経記‐』

『ますらお‐秘本義経記‐』

出典:小学館

源義経の武勇と生涯を描いた歴史大河漫画。物語は義経の少年時代、「遮那王(しゃなおう)」の名で預けられている山深い鞍馬寺の場面から始まる。寺の暮らしを嫌い、幾度も脱走を繰り返す遮那王であったが、ことごとく失敗しフラストレーションを募らせる。こうした幼少時の過酷な体験が、本作の義経を他人を信じない人間に成長させることとなる。外伝的作品として『ますらお 秘本義経記 大姫哀想歌』、続編に『ますらお 秘本義経記 波弦、屋島』がある。

「ますらお」とは、立派な男子を意味する語。義経は美貌の人物で、武術や戦術、人心掌握に至るまで非凡な才能を持つ人物として描かれている。しかし彼は、幼少時の鞍馬寺での過酷な暮らしが原因で、他人に対して心を開けない人間となってしまった。冒頭では、同じく鞍馬寺で暮らす阿信王が僧たちのいじめが原因で脱走し、野犬に襲われ亡くなったことをきっかけに、他人にさらなる敵意を募らせる場面が描写されている。悲劇の英雄として取り上げられることの多い義経であるが、さらにその人生を掘り下げて描いた本作の義経は幾分か人間らしいともいえる。本作以外にも、代表作『なぎさMe公認』といったラブコメなどを多数手掛ける作者ならではの心理描写の巧みさが魅力の一つだ。


『遮那王 義経』

『遮那王 義経』

出典:講談社

牛若丸に外見が瓜二つの少年が、その身代わりを引き受け、歴史にかかわっていく本格歴史漫画。平家が全盛であった平安時代の末期、旅芸人の漂太は、自身と外見が酷似している少年・牛若丸の身代わり役を頼まれ、影武者となる。漂太と牛若丸は友情をはぐくむも、病弱な牛若丸は16歳で死去してしまう。その後、漂太は源義経として戦乱を生きることとなる。本格的な歴史物語であると同時に、漂太の成長譚となっている。続編に『遮那王義経 源平の合戦』がある。

「遮那王(しゃなおう)」とは毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)に由来する義経の幼名の一つである。我々の知る、歴史上で活躍した義経が実は別人であったという設定が特徴的な本作。悲劇的な最期を遂げる人物として取り上げられることの多い義経ではあるが、漂太と牛若丸の友情は明るく描かれており、その少年期の丁寧な筋運びがとても微笑ましい。それだけに、なおさら読者の知るその後の展開や、義経の最期が対比され悲劇性が増しているともいえる。亡くなった牛若丸に代わり、義経となる漂太の友情と成長の物語は、笑いあり涙ありの王道を行くエンタテインメントだ。鎌倉末期を舞台とした『山賊王』などの作品も手掛けている作者の代表作である。


『破戒王~おれの牛若~』

『破戒王~おれの牛若~』

出典:集英社

源平合戦の時代を舞台に、破戒僧・武蔵坊弁慶が主君である源氏の姫・牛若丸とともに平氏に挑む歴史アクション漫画。京都の五条大橋を縄張りとして暴れまわっていた弁慶は、ある日牛若丸と出会い、戦いを挑まれる。源氏の若君かと思われた牛若丸であったが、その正体は男装した源氏の姫であった。権威をかさに着て悪逆を尽くす平氏と戦うために男装する牛若丸の気概、そして美貌に心打たれた弁慶は、牛若丸の貞操と引き換えに、平家討伐を約束する。

牛若丸は源義経の幼名。美少年としてしばしば創作に登場するが、本作では男装した美少女である点がまずユニークである。華奢な姫君である牛若丸と、粗野な破戒僧の弁慶という取り合わせは、まさに美女と野獣だ。この二人が作中の巨悪である平氏に挑むさまは、王道漫画的である。鬼才とも呼ばれ、青年誌をメインに数々の作品を発表している作者ならではの歴史解釈や、独自の作画アレンジが素晴らしい。男性はかっこよく、女性は可愛らしく、そして男女ともにセクシーに描かれているのが特徴である。豪快なアクションもさることながら、お色気描写も満載で、青年向けの源平歴史漫画となっている。


『ハーン -草と鉄と羊-』

『ハーン -草と鉄と羊-』

出典:講談社

海を渡った源義経がチンギス・ハーン(テムジン)として生きる歴史漫画。壇ノ浦の戦いで平家を破り、源氏を勝利へと導いた義経は、兄・源頼朝の不信を買い、蝦夷地に逃げ落ちる。そこでも追っ手に追われる義経は、船にもぐりこむも嵐により難破、後にユーラシア大陸に漂着する。俗説の一つ「源義経」イコール「チンギス・ハーン」を元に生み出された作品である。大陸に渡った義経が、名をテムジンと変えて、後にチンギス・ハーンとなる物語を描いている。

義経がチンギス・ハーンであるという巷説が、生き生きとリアリティをもって描かれている本作。例えば、義経とハーンの符合の一つに「奇襲が得意」という特徴がある。本作では、義経による日本史上最も有名な奇襲「鵯越(ひよどりごえ)の逆落し」になぞらえ、敵2000人に2人で奇襲をしかけるという描写が登場する。謀殺された義経が、もし大陸に渡っていたら、こんな生涯を送っていたのではないかと想像を巡らすだけでも胸が躍るのに、本作はそれを極上のエンタテインメントとして昇華している。大陸に到達した義経が、「ちっぽけな島国は兄上に貸しといてやる」としがらみを捨て生きることを決意する場面は圧巻で、彼のスケールの大きさがこれでもかというほど描かれている。


『ドリフターズ』

『ドリフターズ』

出典:少年画報社

歴史上の英雄たちが、召喚された異世界で戦いを繰り広げる歴史ファンタジーバトル漫画。戦国武将・島津豊久は関ケ原の戦いで瀕死の重傷を負い、異世界に召喚される。そこで出会ったのは、同様に召喚された織田信長と那須与一であった。召喚された「漂流者(ドリフターズ)」と呼ばれる歴史上の英雄たちが、異世界を舞台に「国奪り」のために戦う骨太の作品だ。2016年にテレビアニメ化。

「漂流者」と同じく異世界に転生するも敵対する「廃棄物(エンズ)」。前者が生死不明のまま消息不明となった歴史上の人物であるのに対し、後者は非業の死を遂げたといわれる人物で構成される。源九郎判官義経(みなもとのくろうほうがんよしつね)は廃棄物の頭目「黒王」と行動を共にするが、どちらの陣営に属する人物として召喚されたのか不明な、ミステリアスな美少年として描かれる。享楽的な性格で、黒王にどちらの陣営なのか問われた際に義経は「面白そうな方」と答えている。勝利するためなら手段を選ばず、卑怯な手段をとることもいとわない冷酷な一面を持ち、与一からは「化け物」と評された。義経をはじめ、こうした魅力的な古今東西の歴史上の登場人物が戦う本作からは、まだまだ目が離せない。これからの展開が楽しみな作品だ。


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