ブラック企業を退職した普通のOLが殺し屋業を手がけている企業に就職してしまい、殺しを生業とする社会人として働きながら、社会の闇や自分自身と向き合っていくお仕事4コマコメディ。西野カナコは広告代理店に勤務するOLだったが、ブラックな勤務体制に加え、上司のパワハラやセクハラに耐え兼ね退職してしまう。再就職しようと面接に行った企業は、表向きは広告代理店だが実は殺し屋業をしていた。気が付かなかったとも言えずカナコは入社テストとして、前の会社の上司を殺害するように言われてしまうのだった。
人を殺すことは、死刑などの例外を除けば法律的にも倫理的にも当然よろしくないのだが、この人がいなければ自分の悩みは解決するのに、と思ってしまったことが人間一度や二度はあるだろう。そんな思いを抑え兼ねた人たちから殺しの依頼を受ける会社が本作の舞台だ。殺し屋企業の新入社員であるカナコには、殺し屋らしいダークな雰囲気は一切ない。武器を持っていなければそうと分からないだろう。普段は過去の人間関係のせいか、必要以上に自己肯定感が低く、どこか挙動不審で自信がなさそうな言動をしている。周囲の目に怯えていたカナコが身につけた、気配を消すという処世術が役に立っているのだから、人生何が役に立つのか全く分からないものだ。カナコは多くの人間を手にかけているが、彼女自身が人一倍他者に恨みを持っているわけではなく、世の中には理不尽な人や物事が多すぎるということなのだろう。カナコが何のためらいもなく武器を使用するからなのか、これは社会に必要なお仕事なのでは、などと錯覚しそうになる。人の怨みを買わないよう、自分の日頃の言動を見直すきっかけにもなりそうだ。
普通の高校生の元にやってきた、前職は殺し屋だというメイドの少女が、日々の暮らしの中で人間らしい感情を知っていく、ヒューマンラブコメディ。高校生の横谷人好(よこやひとよし)は1人暮らし。ある日シュエというのメイドの姿の女性が自分を雇ってくれないかと営業にやってくる。どんな縁故から来たのかと思えば、ほぼ他人の繋がりでの紹介。さらに彼女は、あらゆる人を殺すすべを身につけており、暗殺を得意としていた。自身の身の危険を感じた人好は、雇い入れることを拒否する。行き場を失い途方に暮れるシュエだったが、彼女の忘れ物を届けようとした人好に、危険が迫るのだった。
シュエはメイドとして人好の前にやってきたが、前職は殺し屋である。就職の可否が問われる場である面接において、ナイフ投げの正確さや軽い身のこなしを披露し、ついでに殺しのテクニックについて熱く語った。これが裏社会ならば一発採用されそうだが、人好は一般人である上に良識と常識と正しい倫理の持ち主だった。シュエはあまりに熱く殺しテクについて語ってしまったために、一度は不合格を言い渡されてしまう。メイドさんに求められるのは家事テクニックであって、殺しのスキルではない。しかし、結果的にシュエの高い身体能力は人好の命を助け、彼女は無事横谷家のメイドとして働くことになった。殺し屋として生きてきたシュエは感情表現に乏しく、冷ややかな美貌の持ち主。家事スキルは皆無なため、メイドというよりボディーガードである。しかし、感情を動かされた時の表情やしぐさは初々しく可愛らしい。殺し屋ではなくメイドとして、人としての彼女の成長を見届けたい。
変装を得意とする凄腕のスパイの男が、任務のために偽装家族を作ることになり、超能力少女と密かに殺し屋をしている女性と、素性を隠した状態で家族として生活していくことになるホームスパイアクション。隣り合う二国である、東国のオスタニアと西国の、ウェスタリスの間には仮初の平和があったが、水面下では多くのスパイたちがそれぞれ自国のために暗躍していた。西国の凄腕スパイ「黄昏」は東国の政治家ドノバン・デズモンドと接触するため、養子を同じ学校に通わせることを図る。そのために赴いた孤児院で出会ったのは、そこで一番賢いというアーニャ。彼女はある秘密を持っていた。
父親役である黄昏は変装を得意とする凄腕スパイ。娘役にあたるアーニャは人の心を読むことができる特殊能力を持った少女。そして、母親役を務めることになるヨルは、黒髪で清楚、物静かな公務員という昼間の顔からは想像もできない裏の顔を持つ。彼女は国を裏切った者を殺す殺し屋なのだ。コードネームは「いばら姫」。美しいバラには棘があるものだが、ヨルの持つ棘は息の根を止めてしまうほどの凶器となる。一見するとお嬢様然としたヨルだが身体能力は高く、身のこなしは軽やかで隙がない。武器を持った屈強な男たちも、彼女の一見頼りなげな外見に騙されてしまうのだ。両親の死をきっかけに殺人術を仕込まれたヨルの裏の顔は、幼い弟が独り立ちした今でも続いている。自身を普通とはかけ離れてしまった存在と認識し、世間とは一歩距離を置いてきたヨル。だが、アーニャや黄昏とは、同じく特殊な立場の者同士だからこそ通じ合えることもあるのだろう。互いに秘密があるからこそ分かり合える家族の形もある。
デリヘルに偽装した殺し屋派遣会社に所属するナンバーワン殺し屋の少女が、舞い込む依頼を鮮やかにこなしていくオムニバスバイオレンスアクション。菊野渓はビジネススクールに通う専門学生。日々簿記の資格を取るために勉強に励んでいる。しかし彼女には「ぷるるん天然娘特急便」というデリヘルに擬態した殺し屋を派遣する会社に所属する殺し屋「ケイ」の顔があった。ある日ケイは、殺された妻と子どもの復讐のためにヤクザの事務所を襲撃してほしいという男からの依頼を受け、武器を片手に単身乗り込んでいくのだった。
殺し屋は派遣されてくる時代である。「ぷるるん天然娘特急便」といういかがわしい店名であるが、実際のところは少しどころかだいぶ違う。若い女の子が派遣されてくるところは同じなのだが、受ける依頼は生死にかかわることだ。彼女たちは派遣型の殺し屋なのである。中でもナンバーワンの実力を誇っているのがケイだ。クレイジーで何でもやる、とはお店側の認識のようだが、殺しの様子を見ているとその「クレイジー」さが分かるだろう。彼女は殺す相手に対しても、依頼者に対してもフランクだ。そこに生死をかけた戦いなんてなかったかのように、緊張感が皆無なのである。だが、殺しの技術に関しては超一流だ。一見普通の、どこにでもいる女の子だからこそ、ギャップとクレイジーさが際立つ。ケイがなぜ殺しをしているのか、技術はどこで身につけたのか。そのあまりの強さに彼女自身についてもっと知りたくなるだろう。依頼はしなくとも会ってみたい殺し屋だ。
定年退職を迎えた元警視庁勤務の主人公が、難病にかかった孫の入院費用を稼ぐため、政府公認の暗殺組織に所属する少女とコンビを組み、様々な社会の悪と対峙していく、年の差バディのクライムアクション。平賀雷蔵は警視庁を65歳で定年退職したが、孫の正太が難病にかかっていることがわかり、入院費用を工面するためにアルバイトを始める。ある日、求人の掲示板にで見つけた「条件を満たす方月100万円支給」という文字に惹かれ、面接先を訪ねると、そこにあったのは古本屋。店番の少女に連れていかれた隠し部屋の先には、室長の絹目という女がいるのだった。
平賀雷蔵は警視庁の警備部に勤務していた。所謂SPである。そのため各種武道の心得もあり、求人掲示板で示されていた、剣道7段以上・柔道5段以上・拳銃操法上級という厳しい条件を満たしてしまっていた。雷蔵が働くべく向かった先、独立行政法人SS機構とは法律や権力に守られ裁けない悪人を処理していく、政府公認の暗殺組織であるらしい。もちろん仕事は殺し関係になるわけだが、雷蔵だけが単独で仕事をするわけではない。ちゃんと女性殺し屋が登場する。雷蔵とバディを組み、行動を共にするようになるのが11歳の少女・涼風美晴だ。表向きは古本屋の店番少女だが、実際は殺し屋として危険な任務をいくつもこなしている。孫と同じ年齢の少女であるという時点で、雷蔵の心中は複雑だろう。銃の腕前がかなりのものとなればなおさらだ。同年代の少女よりも大人びた印象のある美晴だが、雷蔵と一緒にいると年齢相応に見えることも多い。文字どおり祖父と孫ほどの年齢差のあるバディだが、息はピッタリだ。