矢沢あいの代表作の一つ。1999年に集英社の「りぼん」と「ぶ〜け」共同編集による新雑誌「Cookie」の創刊に際し、その創刊準備号となるVol.1とVOL.2に掲載された2本の読み切り『NANA-小松奈々-』『NANA-大崎ナナ-』がもとになっている。東京を舞台に、偶然の出会いから同居生活を始めたパンクロックバンドのボーカルを目指すナナと、恋愛体質の奈々の、生き方と成長を描いた物語。ナナが所属するバンド「BLACK STONES」と、ナナの恋人の蓮が加入した「TRAPNEST」という二つのバンドを中心に、奈々の恋愛遍歴とナナの音楽への情熱が交錯する。ナナと蓮の別れと再会、「TRAPNEST」のリーダーである巧との出会い、バンドメンバーとの関係性の変化などを通じて、人間関係を通した登場人物たちの成長が描かれ、20代女性の生き方や友情、夢の実現をめぐる複雑な人間ドラマが繰り広げられる。本作は、大人向けのラブストーリーで、音楽業界のリアルな描写と現代女性の恋愛観を融合させた作風を特徴としている。作中では、パンクロックカルチャーの表現やファッション描写、複雑な人間関係の心理描写に重点が置かれており、登場人物の内面的な葛藤を、モノローグや回想シーンを効果的に用いて描き出している。また、東京の音楽シーンを背景に、ライブハウス文化やレコード会社との関係、メディア露出などの要素が物語に組み込まれた世界観が構築されている。集英社「Cookie」の創刊準備号となる1999年Vol.1、VOL.2に掲載され、同誌が月刊誌となった2000年7月号から連載。2003年に第48回「小学館漫画賞」少女部門を受賞。2005年9月に実写映画化、2006年4月テレビアニメ化されたほか、ゲーム化もされている。