概要・あらすじ
大手電器メーカー初芝電器産業に勤務する島耕作は課長から部長へ昇進し、中沢喜一社長の右腕となって活躍する。しかし中沢喜一の退任に伴い再び始まった派閥争いから逃れるため、初芝電産貿易に出向。ワイン事業で成功を収めた島耕作はさらにグループ会社のサンライトレコードへ出向、ベテラン演歌歌手八ッ橋新子の再生、新人歌手Nyaccoの発掘によってサンライトレコードの立て直しに成功する。
派閥争いによるさまざまな苦難の中で、島耕作にも腹心と呼べる部下が増え、やがて取締役へと昇進を果たす。
登場人物・キャラクター
島 耕作 (しま こうさく) 主人公
キャラクター紹介『島耕作シリーズ』の主人公。1947年9月9日生まれ。1970年に大手電器メーカー初芝電器産業に入社した団塊世代のエリート。派閥争いに巻き込まれて左遷されることも多いがそれを糧に変える... 関連ページ:島 耕作
ナンシー・アレン
島耕作の娘、島奈美がニューヨークで発掘した新人歌手。日本人とアメリカ人のハーフで当時14歳。バツグンの歌唱力、大人びたセクシーな詞を作る。右目は裸眼の黒、左目にブルーのコンタクトを装着し、オッドアイに... 関連ページ:ナンシー・アレン
島 奈美 (しま なみ)
島耕作と島怜子の娘。両親の離婚に伴い、母親である島怜子に引き取られたが、「島」の姓を名乗っている。島耕作とはたまの休日に会っている。明朗な性格で成績も優秀、子供ならではの発想で島耕作にヒントを与えるこ... 関連ページ:島 奈美
大町 久美子 (おおまち くみこ)
キャラクター紹介 初芝電器産業の創始者吉原初太郎の隠し子でTECOTの大株主。1967年8月8日生まれ。島耕作が課長時代から男女関係があり、互いに束縛されるのを嫌っていたが、子宮癌の発症を機に島耕作に... 関連ページ:大町 久美子
高市 千鶴 (たかいち ちづる)
初芝電産貿易に出向した島耕作の秘書。昭和48年6月6日生まれ、聖清女子大学英文科卒、英検1級、趣味はゴルフ。成城に住むお嬢様だが実は関東泉連合会二代目会長高市信雄の一人娘。16歳の時に彫った般若の刺青... 関連ページ:高市 千鶴
片桐 久子 (かたぎり ひさこ)
新宿ゴールデン街にあるCHACOのママ。ロンドン在住時代に高名なワイン評論家ロバート・ベイカーと付き合っていた関係で、さまざまな高級ワインを手に入れることができる。中沢喜一と男女の仲。島耕作を追って福... 関連ページ:片桐 久子
鈴鴨 かつ子 (すずかも かつこ)
島耕作が京都の初芝電器産業電熱器事業部営業部宣伝助成課に勤務していた時代の恋人。元芸妓で先斗町で会員制バーすず鴨を営んでいる。島耕作の部下鈴鴨万梨子の姉でもある。歌舞伎役者市山団志郎は舞妓時代から彼女... 関連ページ:鈴鴨 かつ子
弥田 秀治 (やだ ひではる)
サンライトレコード宣伝部部長。行動力と決断力に優れ、真摯な社員で島耕作から一目置かれるものの、リストラ対象になってしまう。島耕作の計らいでヒライフード企画へ一時的に就職、数ヶ月後にサンライトレコード社長として戻り、島耕作とともにサンライトレコードの業績回復に尽力する。 しかし初芝電器産業社長岡林栄一の策略で社長の座を失い、星康夫が起業するIT関連会社の社長に迎えられる。
星 康夫 (ほし やすお)
島耕作が初芝電器産業販売助成部総合宣伝課課長時代の部下で、32歳の独身。東北大学法学部卒、ビデオ事業部経理部から転属。人事ファイルによれば「大蔵省に2年出向、社内経理コンクールで過去2回優勝3回準優勝... 関連ページ:星 康夫
八ッ橋 新子 (やつはし しんこ)
兵庫県出身。17歳でデビュー以来30数年間歌い続けているサンライトレコード所属の超大物演歌歌手。バラの花が大嫌い。近年はヒット作に恵まれなかったが、島耕作のアイデアでイメージチェンジに成功、東京タワーの形をした帽子や衣装で歌う新曲『東京タワータンゴ』は大ヒットを記録。 なにわ有線大賞、日本CD大賞の最優秀作品賞を受賞、1999年度紅白歌合戦で10年ぶりのトリを務める。東京タワーの下で開催した2000年へのカウントダウンを行うミレニアムイベントでは、カウントダウンこそ行えたが、癌の悪化による吐血でコンサートは中止、一時回復の兆しもあったが1月3日午後11時59分、享年50歳で他界。 島耕作とは一度だけ男女の関係になった。
中沢 喜一 (なかざわ きいち)
初芝電器産業の販売助成部部長時代に部内に総合宣伝課を新設し、島耕作を課長として迎える。珍しく派閥に属さない一匹狼で、その生き方は島耕作に影響を与える。バイクでケガをした不良少年を病院に運び、人生を諭し... 関連ページ:中沢 喜一
万亀 健太郎 (まんがめ けんたろう)
キャラクター紹介 初芝電器産業第6代社長。企画力があり、義理人情に厚く部下から慕われている。社長退任後も初芝電器産業に残ってトップ人事に幾度となく奔走、社長島耕作を誕生させるに至る。長年連れ添った愛人... 関連ページ:万亀 健太郎
岡林 栄一 (おかばやし えいいち)
慶應義塾大学卒、昭和33年に初芝電器産業入社。一貫して経理畑を歩き経理本部長、専務取締役、副社長を歴任。第6代社長の座を狙いクーデターを計画していたが中沢喜一の社長辞任により不発に終わる。万亀健太郎の社長解任工作によって第7代社長に就任した。
勝木 清春 (かつき きよはる)
初芝電器産業経理本部部長。冷静な状況判断ができることで万亀健太郎が次期社長として大泉裕介に推薦。平成13年度の取締役会で第8代社長に就任した。 経歴 中国の大手家電メーカー出発集団と京都で事業提携を結... 関連ページ:勝木 清春
島 怜子 (しま れいこ)
島耕作の妻。大学のサークルで知り合った島耕作と結婚し、一女島奈美をもうける。仕事への理解はあるが、勝気な性格。 出会いと結婚 島耕作と同じ早稲田大学の英語研究会「ESS」に1年生の時に入部。3年生だっ... 関連ページ:島 怜子
エミール・ロラン
フランスブルゴーニュを中心にしているワインの仲買人。初芝電産貿易でワインの買い付けのためにフランスを訪れた島耕作をサポートし、プレスティージュの日本輸入に一役買う。『ブラームスの3番』をよく聴いている。一時、大町久美子の恋人だった。
アイリーン・モーリイ
アメリカにある広告代理店のアカウントエグゼクティブ。取引先であるハツシバアメリカに赴任した島耕作と黒人イラストレーターのロバート・アレンと奇妙な三角関係を築く。そのため、妊娠時にはどちらの子供が生まれてくるのか分からなかった。 島耕作とアイリーン・モーリイ 奇妙な三角関係の末、島耕作は日本へ帰国しアイリーン・モーリイはロバート・アレンと結婚。生まれてきた子供は肌が黒い男児だと伝えられた。実際は島耕作との子供でナンシー・アレンと名づけられ、後に再会することになる。
馬島 典子 (まじま のりこ)
キャラクター紹介 初芝電器産業第4代社長大泉裕介の愛人だったが、島耕作とも関係を持つ。しかし大泉裕介が倒れた後は献身して島耕作とは良き友人になる。大泉裕介死後、島耕作が赴任していた中国に渡り、北京でカ... 関連ページ:馬島 典子
野添 まどか (のぞえ まどか)
歌舞伎役者花柳虎之介の娘だが、実力でデビューしたいと思い、密かにサンライトレコード 新人女性アーティスト オーディションに応募して応募者1492名の最終選考15人に残る。グランプリは逃したが、その実力としっかりした考えに感心した島耕作によってサンライトレコードに迎え入れられる。 本人の希望で花柳虎之介の娘であることはデビュー後も秘密とされた。
郡山 利郎 (こおりやま としろう)
キャラクター紹介 初芝電器産業のアジア地区販売担当役員。56歳。韓国ソウルに滞在中に島耕作の訪問を受ける。故中沢喜一に心酔し、一匹狼的な立場で、同じような考えを持つ島耕作を気に入っていた。次期社長とし... 関連ページ:郡山 利郎
八木 尊 (やぎ たかし)
島耕作が初芝電器産業営業本部販売助成部総合宣伝課課長時代の部下で、37歳の既婚者。人事ファイルによれば「英・仏・スペイン語・イタリア語に精通、海外事業所に10年勤務、海外業務のスペシャリスト。初芝社長... 関連ページ:八木 尊
瀬波 拓郎 (せは たくろう)
サンライトレコードの取締役制作本部長。業者との癒着が激しく5年で18件の背任行為を行っていたため島耕作によって自主退任を求められる。サンライトレコードのライバル会社ソラーミュージックに移り、島耕作のプロジェクトをつぶそうと躍起になるがどれも失敗に終わる。
徳永 翔介 (とくなが しょうすけ)
福岡初芝販売センター営業課長。赴任してきた島耕作に付き添い、秘書的な役割を果たす。自分から能動的に動くタイプではないが、非常に常識的で、そつなく何でもこなし、知識も豊富、島耕作も何かあれば彼を頼りにす... 関連ページ:徳永 翔介
竹綱 博之 (たけつな ひろゆき)
島耕作がショウルーム課課長時代の部下で当時は初芝電器産業入社3年目の25歳。営業本部で若手ナンバーワンの折り紙付きだが島耕作にライバル心を持っている。大町久美子が島耕作と二股を掛けていた相手。 経歴 ... 関連ページ:竹綱 博之
今野 輝常 (こんの きつね)
島耕作が初芝電器産業営業本部販売助成部課長時代の部下。 部下に厳しく上司にごまをするタイプで、自分のミスを他人に押しつける、女性スタッフへのセクハラなど典型的な悪質社員。ミス松原市の経験もある美人の妻... 関連ページ:今野 輝常
多南 護 (たみなみ まもる)
初芝電器産業課長で福岡初芝販売センターに常務として勤務。今野輝常と共謀して島耕作を罠にはめようとしたが逆に自分がその罠にはまってしまい今野輝常から酷く叱責される。落ち込んでいたところを島耕作に励まされ、島耕作を見習うようになるとその実力を開花させ、優秀な社員として育つ。 島耕作が取締役になり、福岡初芝販売センター社長を任される。
久保山 哲広 (くぼやま てつひろ)
福岡ハツシバ店会の会長で、博多で一番の権力を持っている販売店久保山無線社長の息子。化粧品会社をリストラされて広島から戻ってきた。根っからの博多っ子で島耕作を祇園山笠の舁き手に誘う。放蕩息子だったが父親の死後は人が変わったように真面目に働き、久保山無線の月間売上高の最高記録を更新、福岡初芝販売センターの中でも断トツのトップでトップ賞を受賞する。 中学1年生の息子久保山たかしをもつ。
赤松 敏夫 (あかまつ としお)
初芝電器産業常務取締役。岡林派ではあったが、岡林栄一の社長交代の機運が高まると次期社長候補の勝木清春に乗り換え、勝木清春の派閥スタッフとして奔走する。
平井 均 (ひらい ひとし)
初芝電器産業ビデオ事業部事業部次長。昭和47年に入社した900人の中で最も早く部長職につくエリート社員。秋田の資産家の娘を妻とし、16歳の長女は名門心聖女学園、長男は開布中学に通うが、家庭は崩壊してい... 関連ページ:平井 均
杉田 六朗 (すぎた ろくろう)
曙製作所代表取締役社長。元は初芝電器産業の社員で、初芝電器産業冷蔵庫事業部静岡工場の下請け会社だった曙製作所へ営業課長として出向していたが、当時の社長に気に入られ婿養子入りをした。その後初芝電器産業の下請けから脱却、辣腕経営で東証二部上場を果たすまでに成長させた。 8歳の愛娘杉田めぐみをもつ。
バクスター・ゴードン
コスモス映画社の会長。普段は表舞台に現れない謎の人物だが大町久美子島耕作には会ったことがあり彼らを気に入っている。アルツハイマー病を装って現経営陣の本心を探った。
集団・組織
初芝電器産業 (はつしばでんきさんぎょう)
『島耕作シリーズ』に登場する架空の企業。島耕作が勤めている日本最大手の電器メーカーで、カリスマ経営者吉原初太郎が町工場から育て上げた。初代社長吉原初太郎、第2代社長木野穣、第3代社長苫米地功、第4代社... 関連ページ:初芝電器産業
初芝電産貿易 (はつしばでんさんぼうえき)
『島耕作シリーズ』に登場する企業。初芝電器産業の100%子会社で代表取締役専務として島耕作が赴任。従業員数240名。欧米の家具、食器、住宅機器関連消費、ワイン、食品など取り扱う輸入品目は多岐にわたる。ワイン輸入部門には大町久美子が所属していた。島耕作がフランスで見つけてきたプレスティージュを独占輸入している。
サンライトレコード
『島耕作シリーズ』に登場する企業。初芝電器産業が95%の株式を持つ子会社。赤字が続く同社の立て直しのために代表取締役専務として島耕作が赴任し、リストラが断行される。社長の金子崇ほか大多数の役員がリストラされた。 島耕作のアイデアによる、ベテラン演歌歌手八ッ橋新子の再生、新人歌手Nyaccoの成功によって3期連続で前期比、前年同期比を上回る業績回復を果たす。 しかし初芝電器産業の岡林栄一社長が島耕作を追い出す目的で岡林派だった販売推進部部長高野健介が社長に就任。
福岡初芝販売センター (ふくおかはつしばはんばいせんたー)
『エピソード2 部長島耕作』に登場する事業所。初芝電器産業が原則として各県に1つ配置し、全国50カ所ある販売センターの1つで、ここを拠点に量販店・小売店に商品を卸す。今野輝常が社長を務めていたときに島耕作が赴任。業績が低迷していたが、その後に島耕作が社長に就任すると、業績を急速に回復させて社長賞を獲得するまでになる。 島耕作の後任は常務だった多南護。
曙製作所 (あけぼのせいさくじょ)
『エピソード2 部長島耕作』に登場する企業。本社を静岡県に構え、他に全国に4カ所に工場を持つ。従業員総数488名、発行株数1026万株、家電業界では中堅部品メーカーとして安定している。かつては初芝電器産業の下請け会社だったが初芝電器産業の元社員杉田六朗が婿養子に迎えられ社長に就任、初芝電器産業の下請けから脱却して業績を伸ばし東証二部上場を果たした。 仕手グループ有馬産業の株買い占めによる企業乗っ取りの危機に遭うが、杉田六朗の同期だった中沢喜一が島耕作を派遣し買収を防ぐことに成功する。
コスモス映画社 (こすもすえいがしゃ)
初芝電器産業が72億円で買収したアメリカの大手映画会社。ハリウッド北部の丘陵地帯に立てられた撮影所コスモス・スタジオは5000エーカーの敷地を持ち、映画村として撮影の舞台裏を見せたり、娯楽施設を併設し... 関連ページ:コスモス映画社
岡林派 (おかばやしは)
『エピソード2 部長島耕作』に登場する社内派閥。初芝電器産業社内で岡林栄一を中心とする派閥。専務取締役の奈良橋功、常務取締役の赤井勝介、販売推進部部長高野健介らが属す。旧態依然とした派閥体質で何事にも保守的、派閥を嫌う中沢喜一万亀健太郎島耕作らを目の敵にする。岡林栄一社長就任後、その後継に奈良橋功を立てたが失敗し、主要役員が社を去ったことで派閥は解散した。
場所
CHACO (ちゃこ)
『エピソード2 部長島耕作』に登場する店。新宿ゴールデン街の小さなカウンターバーで、島耕作中沢喜一の隠れ家的な場所。ロンドンから戻ってきた片桐久子が母の跡を継いでいる。島耕作がサンライトレコード出向時には、内部状況を監視していた星康夫高市千鶴と島耕作の連絡場所にもなった。
トンコ
『エピソード2 部長島耕作』に登場する店。福岡市警固の雑居ビル第2モーゼルビル3階にある小さな会員制ワインバー。島耕作を追って福岡に来た高市千鶴と片桐久子が経営。「トンコのトンは白豚の豚(トン)」「トンコのコは女狐の狐(コ)」から。片桐久子の元恋人ロバート・ベーカーの協力で、日本で手に入らない貴重なワインを店に用意できるため、ワイン通がクチコミで集まってくる。
その他キーワード
プレスティージュ
『エピソード2 部長島耕作』に登場するワイン。島耕作が初芝電産貿易に勤務していたときにフランスで発掘したワイン。フランスユイ・サ・ジョルジュ村にある小さなワイナリードメーヌ・バロー・デュボアで作られている。濃度が高く深いザクロ色。タンニンはどこまでもなめらかでビロードのタッチ、そのあと爽やかな酸味が追いかける。 「ニュイ・サ・ジョルジュプレスティージュ」は『ロンドンジャーナル』などでワイン評論家のロバート・ベーカーが高く評価。その評判が広まりグリスビイズのオークションでは1ダース1450ポンド(約29万円)という高値で落札され、名門ワインの仲間入りをした。年間500ケースが作られ、そのうちの250ケースが初芝電産貿易によって独占輸入、100ケースを東京の六分(りくぶ)、150ケースを京都の三陽が扱い、三陽分のうち100ケースは初芝電産貿易保有分としてカーヴに保存され数年後にヴィンテージとして市場に出る。
関連
島耕作シリーズ (しまこうさくしりーず)
大手電機メーカー初芝電器産業に務める島耕作が課長から社長へと昇進して活躍する約30年間を描いた弘兼憲史の代表的シリーズ作品。初期はサラリーマンの悲哀、オフィスラブを中心にした物語だったが、出世するにつ... 関連ページ:島耕作シリーズ
書誌情報
部長 島耕作 7巻 講談社〈講談社漫画文庫〉
第1巻
(2002-09-12発行、 978-4063603637)
第2巻
(2002-09-12発行、 978-4063603644)
第3巻
(2002-10-11発行、 978-4063603903)
第4巻
(2002-10-11発行、 978-4063603910)
第5巻
(2002-11-12発行、 978-4063603927)
第6巻
(2002-11-12発行、 978-4063603934)
第7巻
(2002-12-12発行、 978-4063604207)